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最終更新日:2020.05.07 公開日:2020.05.07

サポカー整備に新制度導入。フロントガラスやバンパー等の脱着にも注意が必要

国土交通省は2020年4月に道路運送車両法を改正し、衝突被害軽減ブレーキなどの先進運転支援システムに使用されるカメラなどのセンサー類や、レベル3以上の自動運行装置等に対する整備を「電子制御装置整備」と定め、従来の分解整備に電子制御装置の整備を加えた「特定整備」を新たに制度として制定した。これによりどのような影響が発生するのだろうか。

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衝突被害軽減ブレーキなどのセンサーとしてフロントガラス内に設置されたカメラ。写真:スバル

道路運送車両法改正と新制度「特定整備」

 近年のクルマは衝突被害軽減ブレーキ、レーンキープ、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)などといった先進運転支援システムの普及によって、フロントガラスやバンパーなどの内側にさまざまなセンサーが装備されるようになった。それらによって車は周囲の状況を検知し、ブレーキを自動でかけたり、車線を維持するためのハンドル操作を支援したりすることが可能になっている。今後レベル3以上の自動運行装置が普及すれば、センサーの数もさらに増えるだろう。

 そのようなクルマでは、センサーに関する知識のないままフロントガラスやバンパーを交換すると、それらに取り付けられたり、内側や周辺に取り付けられたセンサー等に狂いが生じる恐れがある。

日産スカイラインに取り付けられている先進運転支援システムや自動運転に関するカメラやレーダーなどのセンサー。写真:日産

 従来から、ディーラーの整備工場などで先進運転支援システム(衝突被害軽減ブレーキなど)の整備点検を行う際には、それらが正常に作動するよう校正作業(エーミング・キャリブレーション)を行っていた。しかし、従来の道路運送車両法では、エンジンやブレーキなどの重要な機能の整備点検に定められた分解整備のような制度はなく、法律的な担保はない状況だった。

 そこで国土交通省は202041日に、先進運転支援システムや自動運行装置を「電子制御装置」と命名し、その整備の項目や、それに必要な設備・工具・機器などを明文化した。また整備工場などが、電子制御装置整備を行うには、新たに「特定整備」の制度に従い認証を取得することとした。ただし同制度は経過措置期間が取られており、以前から電子制御装置の整備を行っていた事業者に対しては、202441日までは未認証でも整備を行えるとしており、完全な形での制度施行は202442日以降まで待たなければならない。それでも、点検項目について一定の基準が担保される状況になったことは、ユーザーにとっては安心度が高まるよい話である。

 この特定整備の制度が完全な形で施行される202442日以降は、センサーを内蔵したバンパーやフロントガラスなどの脱着に注意が必要となる。センサーが内蔵されたバンパーやフロントガラスを脱着する作業は認証事業者以外でも可能だが、脱着作業後に行うセンサーの校正作業は認証事業者しか行えない。またクルマの所有者自身がセンサーに影響を及ぼす部品脱着を行う際にも、校正作業が必要なことを覚えておこう。

12か月の定期点検の項目も2021101日より改正

 また2021101日より、普通自動車や軽自動車など乗用車の12か月定期点検は、点検基準が改正される。電子制御装置を車載式故障診断装置で診断し、その結果を記録することが加えられる。もし点検の結果から校正作業・分解整備が必要となれば、認証事業者かユーザー自身が行うことになる。

 なお特定整備制度の開始に伴い、電子制御装置整備の対象となる車両が、下記の国交省のウェブサイトで発表されているので、自分のクルマに被害軽減ブレーキやレーンキープなどが装備されていたと思う方はチェックしてみよう。

国土交通省「電子制御装置整備の対象車両」

https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr9_Target_vehicle.html

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