珍しい警告灯・表示灯を紹介。メーターパネルに「カメ」マーク!?
メーターパネルにはクルマの状態を教えてくれる表示灯・警告灯が備えられている。そのデザインは国際規格や各国の法規などで規定されているため、昭和のころはどのクルマでもデザインや意味はほぼ同じだった。しかし平成になると、動力が多様化し、先進運転支援システムなど電子制御装置も普及。それにより法規以外の新種が誕生している。あなたは「カメ」の警告灯の意味を知っていますか?
「カメ」「靴に矢印」「コーヒーカップ」の意味を知っていますか?
エンジントラブルなどの警告灯や、ハイビームやドア開閉などの表示灯は、ISO(国際規格)によってデザインが統一されていると同時に、欧州のUNR(国連規則)、米国のFMVSS(米国自動車安全基準)といった各国の法規でもデザインを定めている。しかし各国の法規に定められていない警告灯に関しては、メーカーが独自にデザインすることも認められているのだ。
クルマの動力が内燃機関を主としていたころは、ISOや各国の法規で定められた警告灯・表示灯ばかりだったので、国産車、輸入車でも大差がなかった。ところが近年はクルマの動力がハイブリッド、EVなどと多様化。またレーンキープやACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)など、自動制御する先進運転支援システムの発達。これに伴い、メーカー独自の表示灯・警告灯が出現している。本記事では、それらが点灯しているときのクルマの状態や対処を紹介しよう。
なお、警告灯・表示灯の名称や意味、デザインはメーカーにより異なるので、すべてが紹介したものと同じとは限らない。詳細は取扱説明書等を確認してほしい。
カメマークが点灯すると車速が上がらなくなる
まずはEVやハイブリッド車に関する警告灯・表示灯を紹介しよう。冒頭のカメのマークは、日産のEVなどに装備されている表示灯だ。
出力制限表示灯:日産、三菱、トヨタなど
「カメ」は、初代プリウスの「出力制限警告灯」が元祖。以降、EV等で使われ、日産車の名称は「出力制限表示灯」、三菱車の名称は「パワーダウン警告灯」。動力用バッテリーの残量が減っていたり、システムの温度が低すぎる、高すぎるなどの際に点灯する。この警告灯が点灯中は、走行用・発電用モーターの出力が制限され、アクセルペダルを踏んでも速度が上がりにくくなる。充電などでメインバッテリーの状態が正常に戻れば消灯され、車速も上げられるようになる。消灯しない場合は故障のおそれがあるので、整備工場などで点検・修理を受けよう。
ハイブリッドシステム警告灯:トヨタなど
ハイブリッド車やEVのシステム自体の異常を検知すると点灯する。そのまま走行すると、突然運転操作ができなくなるなど、危険な状態に陥る可能性もあるので、すぐに停車して救援を要請しよう。似たようなデザインの警告灯を、日産では「e-POWERシステム警告灯」、三菱は「パワーユニット警告灯(プラグインハイブリッドEVシステム警告灯)」と呼んでいる。
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電子制御に関する警告灯
ハンドル、アクセル、シフトの電子制御化に関する警告灯
先進運転支援システムに関する警告灯は、電気モーターを装備したハンドル、アクセル・ブレーキペダル、シフトに関するものが多い。新しい警告灯なので、各社で警告灯のデザインが異なることが見受けられる。
EPS(電動パワーステアリング)システム警告灯:ホンダなど
電動パワーステアリングに異常がある場合に点灯する。症状はハンドルが重くなることがある。ハンドルが重くならないこともあるが、重くならないからといって放置するのは危険。点灯時は速やかに点検・修理を受けよう。同じものをトヨタではパワーステアリング警告灯と呼んでいる。
EPS(電動パワーステアリング)警告灯:日産
電動パワーステアリングに異常があると点灯する。ハンドルに長時間、力をかけた状態が続いたり、停車中にハンドル操作を繰り返すと、電動パワーステアリングシステムが過熱を防ぐためにハンドルが重くなる。過熱するようなハンドル操作を控え、システムの温度が下がれば消灯して、通常のハンドル操作力に戻る。それでも点灯している場合は、速やかに点検・修理を受けよう。
AT警告灯:三菱など
オートマチックトランスミッション(以下AT)にトラブルや故障が発生すると点灯。赤色と黄色があり、赤色の場合は速やかにクルマを停め、停車後にパーキングブレーキをかける。黄色の場合は、ATフルードの高温もしくは減少や、シフトポジションがすぐに切り替わらない、オートP機能が作動しないなどの症状が発生している。なお赤色で点灯した際には、速やかに点検・修理を受けよう。同じマークを日産では電制シフト警告灯と呼んでいる。
ブレーキオーバーライドシステム警告灯、
ドライブスタートコントロール警告灯:トヨタ
アクセルペダルの誤操作を知らせてくれる警告灯。アクセルペダルとブレーキペダルを同時に踏むとブレーキオーバーライドシステムが検知し点灯する。アクセルペダルを踏んだ状態でシフト操作を行うとドライブスタートコントロールが検知し、警告ブザーとともに点灯。ブレーキオーバーライドシステムの対処は、アクセルペダルを離し、ブレーキペダルを踏むと消灯する。ドライブスタートコントロールの対処は、アクセルペダルを離すと消灯。これらペダル操作しても消灯しない場合は、システム異常が考えられるので整備工場などで点検・修理を受けよう。
電動パーキングブレーキ警告灯:マツダなど
電気モーターでパーキングブレーキをかけるシステムが故障していると点灯。パーキングブレーキがかからない、弱いなどの症状が出るので、停車の際にATのシフトポジションをPにする。駐車ブレーキ異常なので、駐車して車から離れるときは輪留めなどの処置が必要。パーキングブレーキを解除しても点灯しているなら整備工場で点検・修理を受けること。
電子制御ブレーキ警告灯:トヨタ、日産など
停車時に赤色で点灯している場合は、パーキングブレーキをかけていることを知らせる警告灯だが、パーキングブレーキを解除してもオレンジ色に点灯している場合は、電子制御ブレーキシステムの異常を知らせている。パーキングブレーキを解除しても赤で点灯する場合は、ブレーキフルード不足やブレーキ系統の異常などといった危険な故障が発生しているので、速やかに停車。停車の際にはブレーキの利きが弱くなっていることもあるので要注意。どちらの色とも点灯した場合は、すぐに整備工場などで点検・修理。
マスターウォーニング:トヨタ、日産など
クルマに緊急性の高い異常が発生していることを知らせる警告灯で、各システムで異常が発生すると点灯・点滅。同時にブザーが鳴る車種もある。走行中に点灯した場合は、安全かつ速やかにクルマを停車して救援を要請しよう。センターディスプレイが装備されているクルマでは、マスターウォーニング点灯の理由が表示されることもある。同じものをマツダではマスター警告灯、フォルクスワーゲンは中央警告灯と呼んでいる。
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ディーゼルエンジン車や装備限定の警告灯・表示灯
自家用車にディーゼルエンジン車が増加したら
ディーゼルエンジン車といえばトラックやバスなどの大型商用車というイメージが強いが、最近では自家用車にも普及してきている。ガソリン車から乗り換えたディーゼル初体験のドライバーにとっては、見慣れぬ警告灯も多いだろう。
DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)警告灯:マツダ
マツダのディーゼルエンジン車に装備されている警告灯。ディーゼルエンジンの排ガスに含まれているPM(粒子状物質)を捕集・除去するシステム内のフィルターに、PMが蓄積すると点灯。エンジン冷却水温を80度以上に暖機し、アクセルを踏み時速20km以上で約20分走行すれば消灯する。点滅している場合は、システムに異常が発生しているので、すみやかに整備工場で点検・整備。
ディーゼルパティキュレートフィルター警告灯:三菱など
ディーゼルエンジン車の排出ガス浄化装置にPMが溜まっていると点灯。前述したマツダのものと同様。トヨタは同じものを排出ガス浄化装置警告灯と呼んでいる。
コーヒーブレークってことですか? 希少な警告灯・表示灯
近年ではドライバーの疲労度などを監視するセンサーを装備したクルマが登場しており、その作動に関する警告灯には目新しい者もある。またオープンカーならではの表示灯を設定している場合もあるようだ。
ドライバー・アテンション・アラート (DAA) 警告表示:マツダ
ドライバーの疲労増加や注意力低下を検知し、ドライバーへ休憩を促すドライバー・アテンション・アラート (以下DAA)のシステムに異常があると点灯する。DAAは、時速60km以上で走行しているときに、フォワードセンシングカメラや各種車両情報からドライバーの疲労増加や注意力低下を推定するシステム。疲労増加、注意力低下を検知すると、インフォメーションディスプレイやチャイムによってドライバーに知らせる。このDAAにトラブルが生じていると警告灯が点灯。点灯した場合は、整備工場で点検を受けよう。
ソフトトップ開閉中・表示灯:フォルクスワーゲン
オープンカーなどのソフトトップの開閉中、もしくは開閉が完全に終了していない、ソフトトップが故障している時に点灯。オープンカーならでの表示灯だろう。
このようにクルマの進化に伴い警告灯・表示灯は多様化している。EV、先進運転支援システムを装備したサポカーなどを運転するときは、一度取扱説明書の警告灯・表示灯の項目に目を通しておこう。
【お詫びと訂正】公開時、画像のキャプションの表記に誤りがありましたので、正しい表記に修正いたしました。お詫びして訂正させていただきます。