「アメリカンミニチュアホース」|第18回アニマル”しっかり”みるみる
世界中から集まったさまざまな動物たちを、間近で見て・感じられる施設がサファリパーク。そんなサファリパークで動物たちの世話をする飼育員さんに、知っておくとちょっぴり動物通になれるポイントを、 "しっかり" ご指導いただきました。富士山の自然豊かな環境にある富士サファリパークの動物ふれあい課飼育担当小林さんに、「アメリカンミニチュアホース」を解説してもらいました。
小さいながらもサラブレッド体型
馬をぎゅぎゅーっと大型犬ぐらいの大きさにまで縮めたようなアメリカンミニチュアホース。元になったのは「ファラベラ」種という小型馬ですが、アメリカに渡った後、さらに小型の馬同士を交配して長い時間をかけて人工的に作り出した品種です。体長は約0.8~1m、体重は60~80kgほどです。小さいながらもサラブレッドのような比較的スラっとした体型をしています。
体が小さいので、アメリカなどではペットとして飼われることがあり、従順で賢いことから盲導犬代わりを務めるアメリカンミニチュアホースもいるそうです。
もともと観賞用として改良された品種のため、人や重い荷物を載せて運ぶことはあまり得意ではないので乗馬はできませんが、「15㎏くらいまでの荷重なら耐えられるので、人間でも2~3歳児くらいの子供であれば乗せることができます」(※小林さん以下同)。
耳を自在に動かして音を探る
アメリカンミニチュアホースの特徴は、体の小さいことです。
馬の場合、地面から背中の肩(厳密には「き甲」という、首と背の境にある膨らんだ部分)までの高さを「体高」と呼んでいます。この体高が83㎝以下であることが、アメリカンミニチュアホースの定義となっています。ちなみにサラブレッドの体高は160~170㎝くらいです。
小さい馬ということで、ポニーとの違いを尋ねられるのですが、「体高147cm以下の小型の馬のことを総称してポニーと呼んでおり、アメリカンミニチュアホースもこのポニーの中に含まれます」。種類や品種によって分類されているわけではなくて、体高の高さで呼び名が変わります。
アメリカンミニチュアホースは、馬と同様に聴覚や嗅覚が優れた動物です。
音にはとても敏感で、「例えば、普段は聞きなれない落ち葉を踏みしめる音などにも反応してビクッとして怖がることがあります」。
耳を自在に動かすことで物音を巧みにキャッチします。耳の周りには10を数える筋肉が存在しており、音のする方向を探って耳を180°回転させることができます。また左右の耳を別々に動かすことも可能です。
嗅覚は、自分の子供や飼い主をその匂いによって区別できるほどに優れています。一般的に馬という動物は、「帰巣本能(知らない場所であっても何かを頼りに家に帰ることができる能力)」が強い動物と言われていますが、これも匂いを頼りにしているためとも言われています。
またアメリカンミニチュアホースの歯ですが、草食動物の食性に適した形になっています。比較的丈の短い草類を食べるのに適した切歯と、それをすり潰すための大きな臼歯があります。短い草を噛みきって食べられるよう、前歯が上下に生えています(同じ草食動物でも、ウシやヤギは長い舌で巻き取るため下側のみに歯が生えている)。
子供じゃなくて大人です
そんなアメリカンミニチュアホースって、どんな性格の動物なのでしょうか?
一般的な馬と同様に、比較的おとなしく、ちょっぴり繊細で怖がりな面があります。
また「素直で賢くて、私たち飼育員が思った通りに動いてくれます。園内の個体の中には『お手』や『おじぎ』までこなすものもいます」。とても芸達者なんです。
最後に「アメリカンミニチュアホースあるある」について伺いました。
それは「体が小さいため、よく子馬と間違われること」です。大人になっても大型犬くらいの大きさまでにしかならない馬もいるんですよ。