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最終更新日:2023.06.19 公開日:2020.09.14

珍しい道路標識の先の道はどうなっている? ストリートビューで行ってみた。

運転していると「?」と思う、珍しい道路標識を見かけることがある。この先の道はどうなっているかのと疑問を抱えたまま通り過ぎてしまうことも。そんな珍しい道路標識の先の道がどうなっているかをストリートビューで調べてみた。

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珍しい標識の先は、新幹線、川、環状交差点、アジア諸国縦断!?

左の道路標識を知っていますか? 全国に101か所ある交差点のみにあります。

 道路標識は、ドライバーに行き先を示す案内標識や、勾配や路面状況の注意喚起をする警戒標識、法定速度を示す規制標識など、さまざまな種類がある。しかし、ときどき「?」が頭の中に浮かぶ珍しい道路標識に遭遇することがある。そんな珍しい標識の、その先がどうなっているのかストリートビューで確認してみた。

道路標識には法令上、いくつかの種類がある。まず「本標識」と「補助標識」という2つに大きく分類できる。さらに本標識は「案内標識」「警戒標識」「規制標識」「指示標識」の4つに分類される。この記事の最後にある「この記事の写真を見る」に、代表的な道路標識の一覧を掲載しておこう。

踏切では400系新幹線に注意!


左手に山形新幹線が描かれた道路標識が見える。

 踏切ありの道路標識の多くは、汽車や電車の側面をシンプルに記号化したデザインとなっている。しかし山形県南陽市のJR中川駅西側にある踏切の道路標識はデザインの趣が他とは少し異なる。そこには400系と思われる山形新幹線が斜め前からパースをつけた構図で描かれている。イラストのタッチも、ゆるキャラのような愛らしさが漂い、色使いも黄色と黒のツートンにグリーンが加えられている。

もちろん標識先にある踏切は山形新幹線が往来している。新幹線で踏切が存在するのは山形新幹線などのミニ新幹線だけだ(整備工場などに入るための線路は除く)。そのうえ、イラストのタッチでさらに珍しさが増している。

よーく見ると珍しい。そして道路には川が流れていた

路面凹凸ありの警戒標識のように見えるが、中央にある水色は?

 滋賀県東近江市の山中を走る県道34号多賀永源寺線は舗装路ではあるが、細く曲がりくねりながら山中を抜ける。落石のおそれありや急カーブを知らせる警戒標識を確認しながら進むと、路面凹凸ありの警戒標識が見えてくる。しかし通常と異なり、凹んでいる部分に水色で塗られている。何だろうと思いながら、先に進むと、路面が凹み川が流れている!

このような道に川が流れているところを「洗い越し(あらいごし)」と呼ぶ。洗い越しを設ける理由の1つは、橋を架けることや維持することが困難な道が、川によって浸食・崩壊されるのを防ぐためだ。浸食・崩壊対策としては、この県道34号のように石畳を敷いて水路にするなどの手法がある。この警戒標識の横には、「流水有り」という看板も設置されている。

なお洗い越しをクルマで通過する際は一旦停止して、川の流れや深さ、凹んでいる部分の段差などを確認。また徒歩やバイクでは、川底に苔などが発生して滑りやすくなっていることもあるので注意しよう。

一見すると橋のように見えるが川上と洗い越しの高さは同じで、洗い越しのところで滝のようになっている。

全国に101か所ある丸い交差点

東京都多摩市桜ケ丘にある環状交差点(ラウンドアバウト)の規制標識(中段のもの)。標識の名称は「環状の交差点における右回り通行」。

 東京都多摩市桜ヶ丘の住宅街にあるいろは坂通りの交差点には、弧を描いた矢印が3つ配された道路標識がある。この標識の正式名称は「環状の交差点における右回り通行」だ。設置された交差点は、環状交差点(ラウンドアバウト)であり、交差点内(道路が環状になっている部分)が右回りの一方通行であることを知らせている。環状交差点は2010年代から国内に導入され始めたが、2020年3月末現在で全国に101か所ある。つまり、この101か所でしか見られない道路標識となる。


環状交差点の交通ルールは、交差点内は右回りの一方通行なので、進入する車両は左折しかできない。また交差点内を通行している車両が優先。進入する際は、徐行して交差点内に車両がいないことを確認してから進入する。

このような交通ルールのため、右方向の道路に進入したい場合は交差点内をぐるりと周回することになる。交差点で右折する場合は遠回りになるものの、環状交差点に信号がないので信号待ちの時間が無いことや、環状部はクルマの車速が下がるので重大な事故の発生が少ない、停電で信号機が使えないときも安全に通れるというメリットから導入されている。

また環状交差点では進入時に一時停止の必要はないとされている。しかし多摩市桜ケ丘のように「停まれ」の規制標識が併設されているところもあるので、進入の際には道路標識をしっかり確認しよう。

環状交差点に進入する際の交通ルール。出典:警視庁 交通規制課資料

環状交差点? ロータリー? どちらですか?

千葉県千葉市、京成千葉線みどり台駅近くの学園通りにある2つの標識。

 千葉県千葉市の市立緑町小学校の北側を通る学園通りを南西に進むと環状交差点に通じている。その手前に、「環状の交差点における右回り通行」(以下 環状交差点)の規制標識と、「ロータリーあり」の警戒標識の2つが並んで立っている。実は環状交差点とロータリーでは交通ルールが異なる部分がある。環状交差点は交差点内の車両が優先だが、ロータリーは進入するクルマが優先となる。このように2つの標識があることについて千葉県警察本部交通規制課に取材してみた。

そもそも道路標識は、種類によって管轄する官庁が異なっている。交通ルールに関する指示標識、規制標識は主に都道府県公安委員会。道路状況などを知らせる案内標識、警戒標識は主に国土交通省や市町村などの地方自治体となっている。千葉県警察本部交通規制課によると、環状交差点の規制標識は都道府県公安委員会が管轄するもので、ロータリーありの警戒標識は千葉市が管轄するものということだ。この交差点内の交通ルールについて聞くと、環状交差点のものが運用されているそうだ。つまり、この交差点では交差点内の車両が優先となる。

環状交差点は十字路などを環状へと大きく作り直しているところがある一方で、ロータリーだった交差点を環状交差点に変更したところもある。この千葉市の学園通りの環状交差点は後者だ。そのため、以前から設置されていた道路の状況を知らせるロータリーありの警戒標識がそのままとなっているようだ。

日本橋からトルコへ。アジアを縦断する道路標識

「AH1」の道路標識は、この日本橋を含め国内には18か所しか設置されていない。

 日本の道路の起点(元標)は日本橋だ。そのことを記した道路元標が日本橋にはあるが、その真上を走るC1首都高環状線にも「道路元標」の案内標識が設置されている。その下には「AH1 ASIAN HIGHWAY」というものがある。このASIAN HIGHWAY(以下アジアハイウェイ)とは、アジア諸国を結ぶ高速道路網のこと。その目的は、高速道路網によって、アジア諸国間の経済・文化の交流や友好親善を図り、各国の平和的な発展を促すことだ。

その1号線の略称がAH1であり、東京・日本橋から14か国を経て、トルコとブルガリアの国境までの約2万1000kmを結んでいる。日本国内のAH1は、東京都・日本橋から福岡県・福岡市(東浜出入口)まで。そして博多港から韓国・釜山に渡ると、韓国の高速1号線である京釜高速道路がAH1に指定されている。

京釜高速道路の入り口で「AH1」の標識を確認できる。

 AH1は地図上では1本の高速道路網となっているが、国際情勢などにより入国が規制されている地域もあるため、自由に往来できない状況だ。今回は韓国とトルコでAH1の案内標識を探すため、ストリートビューでアジアハイウェイを探訪した。その過程で、各国の景色だけでなく、高速道路の車線数やサービスエリア、ガソリンスタンド、ジャンクションなどにも触れることができ、いつの間にか心は旅気分に浸っていた。

【お詫びと訂正】公開時、地名の表記に誤りがありましたので、正しい表記に修正いたしました。お詫びして訂正させていただきます。


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