JR東日本が終電繰り上げを発表。ダイヤ改正は2021年春予定。
JR東日本は、主に東京100km圏の路線における終電時刻の繰り上げを発表した。これは、新型コロナウイルスを契機として乗客の利用状況が変化したことへの対応と、鉄道設備の改良・保守などの作業時間確保が目的。2021年春のダイヤ改正で30分程度終電時刻が繰り上げられる。
JR東日本は来春に終電繰り上げ
JR東日本は2021年春のダイヤ改正において、主に東京100km圏の路線の終電時刻を繰り上げることを発表した。終電を繰り上げるのは、1987年にJRが発足してから初だという。
具体的には、終電から始発までの間隔(列車間合い)を240分程度確保するため、各方面への終電時刻を現行より30分程度繰り上げ、終着駅への到着時刻をおおむね翌1時ごろとする。また、一部路線においては、始発時刻の繰り下げも行う。
終電付近の利用者数は66%減
今回のダイヤ改正には、新型コロナウイルスの感染拡大を契機とした鉄道利用状況の変化が大きく影響しているという。例えば、山手線・上野駅~御徒町駅における新型コロナウイルス流行前後の利用者数変化は以下の通り。
【山手線・上野駅~御徒町駅の利用状況】
・終日(外回り288本):38%減
・朝のピーク3時間(外回り56本):36%減
・終電付近(内回り6本):66%減
山手線・上野駅~御徒町駅における終日の利用者数は38%減。時間帯別に見てみると、朝のピーク3時間は36%減、終電付近は66%減となっており、終電付近の方が大きく減少していることがわかる。
また、同社は、新型コロナウイルスの感染収束後も、テレワークやeコマースの拡大により日常の行動様式が変化し、鉄道の利用状況が元に戻ることはないと考えているという。
鉄道設備の改良・保守を効率化
さらに同社管内では、線路保守作業員が10年前と比較すると約2割減少。2030年までに、さらに1~2割ほど作業員が減少する見込みだ。一方、設備の老朽化や、ホームドア・バリアフリー設備といった新規設備の増加により、工事量は10年前から約1割増加。今後もその傾向は変わらず、作業員の負担が増加する見込みだという。
そのため、作業員の労力軽減と工期短縮を目指して大型の保守用機械を導入予定。保守用機械の設置・撤去を含めると作業時間は240分以上必要となるが、現在の終電から始発までの間隔は、200~240分で十分な作業時間が確保できない。この作業時間を確保することも終電繰り上げの狙いである。
同社は今後、朝の通勤時間帯や、その他の時間帯についても利用状況を踏まえたダイヤの見直しを実施。終電繰り上げを実施する路線や具体的なダイヤについては10月に発表する予定。