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最終更新日:2020.07.13 公開日:2020.07.13

現行車種の安全性能がわかる! JNCAP得点一覧。マツダ・スバル・スズキ編

国土交通省と独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)が、毎年実施している新車の安全性能評価試験JNCAP(自動車アセスメント)。ここでは現行車種の試験結果を、メーカー別にして衝突安全と予防安全の2種類の得点を一覧にして掲載する。ここでは、マツダ、スバル、スズキの3メーカー計30車種を取り上げる。

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マツダの安全運転支援システム「i-ACTIVSENSE」のイメージ図。

 JNCAPの2種類の安全性能評価試験のうち、衝突安全性能評価に関しては、2011年度から2017年度までは208点満点として、ほぼ同一の試験内容と得点算出方法によって評価が行われてきた。そこで今回は現行車種のうち、2011年度以降に評価試験を受けた車種を取り上げた。なお試験内容の変更はないが、2018年度からは得点の算出方法が大きく変更となり、100点満点となった。また衝突安全性能は、その得点によって得られる★の数でも評価が表される。最高評価は★が5つの「ファイブスター賞」だ。

 一方、予防安全性能評価試験は2014年度に40点満点でスタートし、毎年新たな試験項目が追加され、6年目となる2019年度は141点満点だった。予防安全性能評価は、その得点によってASV(※1)としての評価が与えられる。2014年度・2015年度は最高ASV+まで、2016年度・2017年度は最高ASV++(ダブルプラス)までの2段階、2018年度以降はASV+++(トリプルプラス)までの3段階評価となっている。

※1 ASV:Advanced Safety Vehicleの略。先進安全自動車のこと。

 このほか、2017年度までに発売された車種は、安全運転支援システムの機能向上などが行われていることが多い。そこで2020年7月現在、どのような機能を装備しているかがわかるよう、車種ごとに「安全運転支援システムのアップデート履歴」も記載した。

SUV3車種と軽自動車4車種が評価を受けたマツダ

マツダ「CX-5」の基本骨格。SKYACTIV-BODYのコンセプトで開発された基本骨格だ。

 マツダの車両開発に関する先進技術は「SKYACTIV」(スカイアクティブ)と総称される。同技術は、エンジン、トランスミッション、プラットフォーム、それらの統合制御技術など多岐にわたる。その中でボディの衝突安全性能や軽量化、高剛性化などを扱うのが「SKYACTIV-BODY」(スカイアクティブ・ボディ)だ。基本骨格のストレート化と連続化、アッパーボディとアンダーボディをつなぐ4つの環状構造などにより、従来比約30%の高剛性化と、約8%の軽量化を実現したという。さらに、衝撃を骨格全体に分散させる構造を採用し、衝突安全性能を高めている。常に新型モデルでは改良が重ねられており、高張力鋼板の採用比率を増やすなどして、高性能化が進展中だ。

 そしてマツダの安全運転支援(予防安全)システムは、「i-ACTIVSENSE」(アイ・アクティブセンス)と呼ばれる。センサーはミリ波レーダーとカメラで構成され、衝突被害軽減ブレーキのほか、各種安全運転支援機能がパッケージングされた内容だ。

 このほか軽自動車に関しては、マツダはすべてスズキからOEM供給を受けている。そのため、衝突安全に関してはスズキの軽量衝撃吸収ボディ「TECT」(※2)が採用されている。安全運転支援システムも「スズキ セーフティ サポート」だ。ただし、マツダ車ではそれらの名称は使用されていない。

※2 TECT:Total Effective Control Technologyの略。直訳すると、「トータルの効果的な制御技術」。スズキでは「軽量衝撃吸収ボディ」としている。

マツダ「CX-5」の各種センサーの範囲。i-ACTIVSENSEはこのようなセンサー類で構成される。

【SUV】
●CX-3(初代・2015年2月発売)

衝突安全:188.2点/208点満点 ★★★★★(2015年度)
予防安全:99.8点/126点満点 ASV+++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2018年5月に、夜間歩行者検知機能付き衝突被害軽減ブレーキをマツダ車で初採用したほか、全車速追従機能など、i-ACTIVSENSEの一部機能を全車標準装備。2020年5月に、i-ACTIVSENSEを全車標準装備。

●CX-5(2代目・2017年2月発売)

衝突安全:187.3点/208点満点 ★★★★★(2017年度)
予防安全:115.4点/126点満点 ASV+++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2017年8月に、i-ACTIVSENSEを全車標準装備。2018年10月に、衝突被害軽減ブレーキに夜間歩行者検知機能を追加。

●CX-8(初代・2017年12月発売)

衝突安全:193.9点/208点満点 ★★★★★(2017年度)
予防安全:115.0点/126点満点 ASV+++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:i-ACTIVSENSEを全車標準装備。2018年10月に、衝突被害軽減ブレーキに夜間歩行者検知機能を追加。

【軽自動車】
●キャロル(7代目・2014年12月発売)

衝突安全:158.2点/208点満点★★★★☆(2015年度)
予防安全:9.0点/40点満点 ASV(2014年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「キャロル」はスズキ「アルト」のOEM供給車のため、安全運転支援システムはスズキ セーフティ サポートを備える(発売時は、衝突被害軽減ブレーキを全車標準装備)。2018年12月に、衝突被害軽減ブレーキの機能向上を実施したほか、スズキ セーフティ サポートの機能を拡充。

●フレア(2代目・2017年3月発売)

衝突安全:163.0点/208点満点★★★★☆(2017年度)
予防安全:58.9点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「フレア」はスズキ「ワゴンR」のOEM供給車のため、安全運転支援システムはスズキ セーフティ サポートを搭載(発売時は、メーカーオプション設定)。2020年1月に、スズキ セーフティ サポートを全車標準装備に(装備しない選択も可能)。同時に、ペダル踏み間違い時加速抑制(後退時)など、機能も拡充。

●フレアワゴン/フレアワゴン カスタムスタイル(3代目・2018年2月発売 ※3)

衝突安全:157.6点/208点満点★★★★☆(2017年度)
予防安全:56.7点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「フレアワゴン/フレアワゴン カスタムスタイル」はスズキ「スペーシア/スペーシア カスタム」のOEM供給車のため、安全運転支援システムはスズキ セーフティ サポートを搭載(発売時は、衝突被害軽減ブレーキなどを全車標準装備)。

※3 フレアワゴン カスタムスタイル:「フレアワゴン」の上級モデル。

【商用車】
●スクラム(5代目・2015年2月発売)

衝突安全:148.0点/208点満点★★★☆☆(2015年度)
予防安全:7.7点/40点満点(2014年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「スクラム」はスズキ「エブリイ」のOEM供給車のため、安全運転支援システムはスズキ セーフティ サポートを装備(発売時は、衝突被害軽減ブレーキなどを全車標準装備)。

→ 次ページ:
続いてスバル12車種とスズキ11車種

EyeSightで知られたスバルは全12車種

スバル「レガシィ アウトバック」の新環状力骨構造ボディ。

 スバルの衝突安全ボディは「新環状力骨構造ボディ」と呼ばれ、全方位からの衝突に備える構造を特徴としている。ピラーやフレーム類を結合してカゴのようにすることで、どの方位から衝突されてもキャビンの変形を防ぐというコンセプトだ。前後のクラッシャブルゾーンで衝撃を吸収しつつ、ピラーやフレームで一方向からの強い衝撃を全体へ分散・吸収することでキャビンの内部の乗員を保護する仕組みだ。

 そして、2016年10月発売の6代目「インプレッサ」から採用されたのが、次世代プラットフォーム「SUBARU GLOBAL PLATFORM」だ。こちらも高剛性化、軽量化、衝突安全性能の向上などに大きく寄与している。

 安全運転支援システムは、スバルが日立製作所と共同開発したステレオカメラ型の「EyeSight」。現在はバージョン3で、長距離ドライブ時のドライバーの負荷を減らすための機能が追加されたバージョン3.5ともいえる「EyeSight ツーリングアシスト」が最新版となっている。2020年末に発売予定の2代目「レヴォーグ」には、2カメラにミリ波レーダーを加えた次世代型EyeSightが搭載される予定だ。

 またスバルは、軽自動車についてはダイハツからOEM供給を受けている。そのため軽自動車の衝突安全ボディはダイハツの「TAF」(タフ ※4)が採用されている。そして安全運転支援システムも、ダイハツ製の「スマートアシスト」となっている。

※4 TAF:Total Advanced Functionの略。「総合的に衝突安全機能の進化したボディ」という意味の造語。

EyeSightの要である2カメラのシステム。

【セダン/クーペ/ステーションワゴン】
●インプレッサ(5代目・2016年10月発売)

衝突安全:199.7点/208点満点 ★★★★★(2016年度)
予防安全:118.8点/126点満点 ASV+++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:EyeSight(Ver.3)を全車標準装備。2017年11月に、衝突被害軽減ブレーキの夜間歩行者検知機能を強化したほか、後退時用の衝突被害軽減ブレーキを追加。2019年10月にはEyeSight ツーリングアシストに換装。

●WRX(初代・2014年8月発売 ※5)

衝突安全:183.8点/208点満点 ★★★★★(2014年度)
予防安全:76.5点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:EyeSight(Ver.3)を一部グレードに設定。2017年7月に、EyeSight ツーリングアシストを全車標準装備。2018年4月に、衝突被害軽減ブレーキの性能を向上。2019年5月に、高機能前照灯の性能を向上。

※5「WRX」には競技車両向けの「WRX STI」があったが、販売が終了しているため、現行車種はスポーツセダン「WRX S4」のみ。

●BRZ(初代・2012年3月発売)

衝突安全:168.8点/208点満点 ★★★★☆(2012年度)
予防安全:未実施
安全運転支援システムのアップデート履歴:-(EyeSightの装備なし)

●レヴォーグ(初代・2014年6月発売)

衝突安全:183.8点/208点満点 ★★★★★(2014年度)
予防安全:76.5点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:EyeSight(Ver.3)を搭載(一部グレードを除く)。2015年4月、EyeSightを全車標準装備したほか、そのほか安全運転支援機能を強化。2017年7月に、EyeSight ツーリングアシストに換装。2018年4月に、衝突被害軽減ブレーキの性能を向上。2019年5月に、高機能前照灯の性能を向上。

【コンパクトカー】 
●ジャスティ(5代目・2016年11月発売)

衝突安全:169.6点/208点満点 ★★★★☆(2017年度)
予防安全:30.6点/79点満点 ASV+(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「ジャスティ」はダイハツ「トール」のOEM供給車のため、安全運転支援システムはダイハツ製スマートアシストIIを全車標準装備。2018年11月にスマートアシストIIIに換装。

●ジャスティ(サイド・カーテン・エアバッグ付き)

衝突安全:180.3点/208点満点 ★★★★☆(2017年度)

【SUV】
●XV(3代目・2017年5月発売)

衝突安全:199.7点/208点満点 ★★★★★(2016年度)
予防安全:118.8点/126点満点 ASV+++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:EyeSight(Ver.3)を全車標準装備。2018年10月に、後退時用衝突被害軽減ブレーキなどの新機能をEyeSightに追加。

●フォレスター(5代目・2018年7月発売)

衝突安全:96.5点/100点満点 ★★★★★(2018年度)
予防安全:131.4点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2020年7月上旬時点で変更なし(発売時からEyeSight ツーリングアシストを全車標準装備)。

●レガシィ(6代目・2014年10月発売 ※6)

衝突安全:188.8点/208点満点 ★★★★★(2014年度)
予防安全:68.0点/71点満点 ASV++(2016年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:EyeSight(Ver.3)を搭載(一部グレードを除く)。2015年9月に、安全運転支援機能を追加し、EyeSightを全車標準装備に。2017年9月に、EyeSightの従来機能の向上と、後退時用衝突被害軽減ブレーキなどの新機能の追加を実施。2019年10月に、EyeSight ツーリングアシストに換装。

※6「レガシィ」のスポーツセダン「レガシィ B4」は生産終了しており、現行車種はステーションワゴンとSUVのクロスオーバー車「レガシィ アウトバック」のみ。

【軽自動車】
●シフォン/シフォン カスタム(2代目・2019年7月発売)

衝突安全:80.2点/100点満点 ★★★★☆(2019年度)
予防安全:72.0点/141点満点 ASV++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「シフォン/シフォン カスタム」は、ダイハツ「タント/タント カスタム」のOEM供給車のため、安全運転支援システムはダイハツ製スマートアシスト(※7)を全車標準装備。2020年7月上旬時点で変更なし。

※7 スマートアシストは、「II」、「III」とバージョンを重ねていたが、2020年7月現在はバージョンを表す末尾のローマ数字が外されており、単にスマートアシストと呼ばれている。

●ステラ/ステラ カスタム(3代目・2014年12月発売)

衝突安全:165.5点/208点満点 ★★★★☆(2015年度)
予防安全:57.2点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「ステラ/ステラ カスタム」はダイハツ「ムーヴ/ムーヴ カスタム」のOEM供給車のため、安全運転支援システムはダイハツ製スマートアシストをグレード別に設定。2015年5月には、スマートアシストIIに換装(グレード別に設定)。2017年8月には、スマートアシストIIIに換装(1グレードを除き全車標準設定)。

●プレオ プラス(2代目・2017年5月発売)

衝突安全:165.7点/208点満点 ★★★★☆(2017年度)
予防安全:57.2点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「プレオ プラス」はダイハツ「ミラ イース」のOEM供給車のため、安全運転支援システムはダイハツ製スマートアシストIII(コーナーセンサー装備)を搭載(一部グレードを除く)。

コンパクトカーや軽自動車など合計11車種のスズキ

TECTコンセプトで作られた「ジムニー」の基本骨格。

 スズキの衝突安全ボディは「TECT」と呼ばれる。衝撃吸収構造、衝撃分散構造、高強度キャビンで構成されるのは他社の衝突安全ボディと同じだが、スズキ車は車重が軽い小型のコンパクトカーや軽自動車が多いことから、社内テストの安全基準をより厳しく設定して開発しているという。また、車両の基本性能を向上させるため、軽量化を徹底している点も特徴のひとつ。構造部材の効率的な接合、補強材の最適化など、スズキ独自の技術により、フレームの安全性を高めつつ必要のない部分をそぎ落としているとしている。

 そしてボディ同様に重要なプラットフォームも、近年のスズキは高剛性化と軽量化を実現した「HEARTECT」(ハーテクト ※8)を採用。HEARTECTは、強度のある骨格同士の結合部分を部品の固定に利用することで補強部品を削減しており、高剛性化と軽量化を両立させている。

※8 HEARTECT:略称ではなく、スズキの造語である。

 そして安全運転支援システムは、「スズキ セーフティ サポート」と呼ばれる。車両価格をし、スズキでは衝突被害軽減ブレーキなどのメインセンサーとして、デュアルセンサー方式(単眼カメラ+レーザーレーダー)、ステレオカメラ方式、ミリ波レーダー方式、レーザーレーダー方式の4種類を車種ごとに合わせて使い分けている。大多数のメーカーがメインセンサーは1種類の方式に固定しており、細かく使い分けているところが特徴的だ。

 なお、「ランディ」だけは日産「セレナ」のOEM供給車であるため、衝突安全ボディには「ゾーンボディ」が採用され、安全運転支援システムは「全方位運転支援システム」が搭載されている。

「スイフト」は、単眼カメラ+レーザーレーダーのデュアルセンサー方式を採用している。

【コンパクトカー】
●イグニス(初代・2016年2月発売)

衝突安全:164.6点/208点満点 ★★★★☆(2016年度)
予防安全:66.3点/71点満点 ASV++(2016年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:衝突被害軽減ブレーキなど、安全運転支援機能をまとめたメーカーオプションのセーフティパッケージを設定。スズキ セーフティ サポートの名称は2020年2月のマイナーチェンジから使用されている。

●クロスビー(初代・2017年12月発売)

衝突安全:85.2点/100点満点 ★★★★★(2018年度)
予防安全:63.9点/126点満点 ASV++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:ふたつのグレードのうち、ひとつがスズキ セーフティ サポートを標準設定で、もうひとつはメーカーオプション設定。2020年7月上旬時点で発売時より変更なし。

●スイフト(4代目・2017年1月発売)

衝突安全:178.3点/208点満点 ★★★★★(2017年度)
予防安全:63.2点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:衝突被害軽減ブレーキなどの安全運転支援機能をまとめたメーカーオプションのセーフティパッケージを設定。2020年5月に、スズキ セーフティ サポートの複数の安全運転支援機能を一部のマニュアル車などを除いて標準装備とした。

●ソリオ/ソリオ バンディット(3代目・2015年8月発売 ※9)

衝突安全:159.4点/208点満点 ★★★★☆(2015年度)
予防安全:111.1点/126点満点 ASV+++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:衝突被害軽減ブレーキなどをメーカーオプション設定。2018年7月に、スズキ セーフティ サポートとして、安全運転支援機能を拡充。衝突被害軽減ブレーキと後退時用衝突被害軽減ブレーキを一部グレードに標準設定。

※9 ソリオ バンディット:「ソリオ」の上級モデル。

【ミニバン】
●ランディ(3代目・2016年12月発売)

衝突安全:175.8点/208点満点 ★★★★★(2016年度)
予防安全:141.0点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:全方位運転支援システムを全車標準装備。2018年9月、全方位運転支援システムに高機能前照灯などの機能を追加。2020年2月、全方位運転支援システムに車線逸脱抑制機能などの機能を追加。

【クロスカントリー4WD】
●ジムニー(4代目・2018年7月発売)軽自動車

衝突安全:81.4点/100点満点 ★★★★☆(2018年度)
予防安全:61.3点/126点満点 ASV++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:スズキ セーフティ サポートを一部のグレードに標準装備。2020年7月時点で変更なし。

【軽自動車】
●アルト(8代目・2014年12月発売)

衝突安全:158.2点/208点満点 ★★★★☆(2015年度)
予防安全:9.0点/40点満点(2014年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:衝突被害軽減ブレーキなどを全車装備。2018年12月に、スズキ セーフティ サポートとして安全運転支援機能を拡充。衝突被害軽減ブレーキの性能向上を実施したほか、後退時用衝突被害軽減ブレーキなどの機能を追加。スズキ セーフティ サポートの機能は、グレードによって標準装備している種類が異なる。

●アルト ラパン(3代目・2015年6月発売)

衝突安全:158.4点/208点満点 ★★★★☆(2015年度)
予防安全:14.8点/46点満点 ASV+(2015年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:衝突被害軽減ブレーキなどの機能を全車標準装備。2019年6月に、スズキ セーフティ サポートとして安全運転支援機能を拡充。衝突被害軽減ブレーキの性能向上を実施したほか、後退時用衝突被害軽減ブレーキなどの機能を追加。スズキ セーフティ サポートの機能は、グレードによって標準装備している種類が異なる。

●スペーシア/スペーシア カスタム(2代目・2017年12月発売 ※10)

衝突安全:157.6点/208点満点 ★★★★☆(2017年度)
予防安全:56.7点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:衝突被害軽減ブレーキや後退時用衝突被害軽減ブレーキを全車標準装備。スズキ セーフティ サポートのそのほかの機能はメーカーオプション。2020年7月上旬時点で変更なし。

※10 スペーシア カスタム:「スペーシア」の上級モデル。

●ワゴンR/ワゴンR スティングレー(6代目・2017年2月発売 ※11)

衝突安全:163.0点/208点満点 ★★★★☆(2017年度)
予防安全:58.9点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:衝突被害軽減ブレーキや高機能前照灯などの安全運転支援機能をメーカーオプション設定。2020年1月に、スズキ セーフティ サポートとして安全運転支援機能を拡充。衝突被害軽減ブレーキと後退時用衝突被害軽減ブレーキを複数のグレードに標準装備とした。

※11 ワゴンR スティングレー:「ワゴンR」の上級モデル。

【商用車】
●エブリイ(6代目・2015年2月発売)軽自動車

衝突安全:148.0点/208点満点 ★★★☆☆(2015年度)
予防安全:7.7点/40点満点 ASV(2014年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:衝突被害軽減ブレーキなどを全車標準設定。2019年6月に、スズキ セーフティ サポートとして安全運転支援機能を拡充。衝突被害軽減ブレーキの性能向上を実施し、後退時衝突被害軽減ブレーキを標準装備。スズキ セーフティ サポートは一部の車種で標準装備とした。

→ 次ページ:
安全性能評価試験の配点などについて

衝突安全性能評価試験の内容と配点について

 衝突安全性能評価試験は2011年度から2019年度まで試験内容はほぼ同じだ。ただし、得点の算出方式が2018年度に大きく変わり、配点が208点満点から100点満点となった。また、歩行者保護の頭部保護性能試験で、試験車のボンネットなどに向かって射出される頭部インパクタ(※12)の射出速度が2015年度までは時速35kmだったが、2016年度からは時速40kmに変更されている。この変更は係数の変更で調整されており、2011年度からから2015年度までと、2017年度・2018年度に評価試験を受けた全車種が同じ208点満点で比較できるようになっている。

※12 頭部インパクタ:接触して歩行者が車上に乗り上げた際、ボンネットなどに頭部が打ち付けられた際の傷害値を計測するための装置。人の頭部を模している。

【2011年度~2017年度の配点:208点満点】
●乗員保護性能試験(合計100点)
・フルラップ前面衝突試験:30点
・オフセット前面衝突試験:30点
・側面衝突試験:25点
・後面衝突頸部保護試験:15点
●歩行者保護性能試験(合計100点)
・頭部保護性能試験:75点
・脚部保護性能試験:25点
●シートベルトの着用警報装置評価(8点)

【2018・2019年度の配点:100点満点】
乗員保護性能試験(合計59点)
・フルラップ前面衝突試験:21点
・オフセット前面衝突試験:21点
・側面衝突試験:15点
・後面衝突頸部保護試験:2点
●歩行者保護性能試験(合計37点)
・頭部保護性能試験:32点
・脚部保護性能試験:5点
●シートベルトの着用警報装置評価(4点)

予防安全性能評価試験の年度別の試験内容と配点について

 予防安全性能評価試験は、以下のように毎年のように新たな試験が追加され、配点が増えている。

2014年度:40点満点
・衝突被害軽減ブレーキ(対車両):32点
・車線はみ出し警報:8点
2015年度:46点満点
【追加】後方視界情報:6点
2016年度:71点満点
【追加】衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者・昼間):25点
2017年度:79点満点
【変更】車線はみ出し警報:8点⇒車線逸脱抑制:16点
2018年度:126点満点
【追加】衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者・夜間街灯あり):40点
【追加】高機能前照灯:5点
【追加】ペダル踏み間違い時加速抑制:2点
2019年度:141点満点
【追加】衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者・夜間街灯なし):15点

衝突安全と予防安全の評価について

 衝突安全性能評価試験は、2011年度以降、得点によって得られる★の数が異なり、以下の5段階で評価されている。

衝突安全性能評価・2011年度~2017年度
・170.0点以上:★★★★★(ファイブスター賞)
・150.0点以上170.0点未満:★★★★☆
・130.0点以上150.0点未満:★★★☆☆
・110.0点以上130.0点未満:★★☆☆☆
・110.0点未満:★☆☆☆☆

2011年度から2017年度までのファイブスター賞の条件:乗員保護性能試験および歩行者保護・頭部保護性能試験においてレベル4以上、歩行者保護・脚部保護性能評価試験においてレベル3以上が必要。2011年度に関しては、後面衝突頸部保護性能試験で、薄緑色または緑色が必要。なおレベルとは試験ごとの評価で、5段階で表されている。

【衝突安全性能評価・2018年度以降】
・82.0点以上:★★★★★(ファイブスター賞)
・72.5点以上82.0点未満:★★★★☆
・63.0点以上72.5点未満:★★★☆☆
・53.5点以上63.0点未満:★★☆☆☆
・53.5点未満:★☆☆☆☆

2018年度以降のファイブスター賞の条件:シートベルトの着用警報装置評価以外の試験において、レベル4以上の評価を獲得する必要がある。

 予防安全性能評価試験ではASVに「+」をつけて評価を表す。当初は「ASV+」までだったが、予防安全性能評価は毎年のように試験項目が追加されて配点が増えていったことから、2016年度には「ASV++」(ダブルプラス)が、2018年度には「ASV+++」(トリプルプラス)が追加設定された。

【予防安全性能評価(2018年度以降)】
・86点超:ASV+++
・46点超~86点以下:ASV++
・12点超~46点以下:ASV+


 マツダ、スバル、スズキは2019年以降に発売もしくは2020年度中に発売予定のフルモデルチェンジ車や完全新型車が1車種以上あり、まだJNCAPの評価試験を受けていない。それらの車種は、各社の最新技術が導入されていることは間違いないだろう。それらが、評価試験でどれだけの得点を獲得できるのか興味深いところだ。

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