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最終更新日:2020.06.16 公開日:2020.06.16

【JNCAP2019】夜間の安全性能が高い車種はどれだ!?

近年、歩行中の交通事故死者数のうち、夜間の死者数は昼間の2倍以上となっており、その削減が課題となっている。そこで、対歩行者の衝突被害軽減ブレーキの夜間における性能の向上が期待されている。2019年度のJNCAPの評価試験結果を振り返り、夜間の予防安全性能が高い車種を紹介しよう。

JNCAPの予防安全性能評価における、「夜間・街灯あり」における対歩行者・衝突被害軽減ブレーキ試験の様子。

 JNCAPとは、国土交通省と独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)が毎年実施している、新車の安全性能評価試験のことだ。その年度において販売台数の多い新車から試験車種が選定され、すべて同一条件下で厳密な試験を実施し、安全性能が評価されている。

 安全性能評価は、大別して予防と衝突の2種類がある。ここでは、衝突被害軽減ブレーキなど、衝突事故を未然に防ぐ(もしくは軽減する)ための機能を評価する予防安全性能評価の試験のうち、夜間に関連する3種類の試験にフォーカスする。その3種類の試験の成績を基に、2019年度に評価を受けた全16車種の中から、夜間の安全性能が最も高い車種を取り上げる。

  2019年度に実施された夜間の評価試験は、対歩行者の衝突被害軽減ブレーキが「夜間・街灯あり」と「夜間・街灯なし」の2種類。そしてヘッドランプの機能性を評価する「高機能前照灯」の3種類となっている。

夜間・街灯ありで最大40点を獲得したのは7車種

夜間・街灯ありの環境下における対歩行者・衝突被害軽減ブレーキの試験の様子。車両はレクサス「UX」。

 「夜間・街灯あり」は、対歩行者の衝突被害軽減ブレーキの評価試験のひとつだ。夜間の街灯がある環境下で、道路を横断してきた歩行者(ダミー人形)を検知して衝突せずに停止できるか、もし衝突したとしても被害を軽減できるかが評価される。なお明るさは、街灯15±2ルクス+試験車両のヘッドランプだ。

 全16車種のうち、「夜間・街灯あり」で最大の40点を獲得したのは7車種。このほか6車種が夜間の歩行者検知性能を有しており、35.2~39.6点を獲得した。100点満点に換算すれば88~99点で、全般的に高得点だったといえよう。夜間に対応していないクルマは3車種だった。

【トヨタ】
アルファード/ヴェルファイア(大型ミニバン兄弟車・3代目・2015年1月発売)

【日産】
セレナ(大型ミニバン・5代目・2016年8月発売 ※1)

※1 「セレナ」のOEM供給車であるスズキ「ランディ」も同一性能。

【ホンダ】
アコード(中上級セダン・10代目・2020年2月発売)

【メルセデス・ベンツ】
Cクラス(4代目・2014年7月発売 ※2)

※2 メルセデス・ベンツでは、独自の分類として「クラス」を用いており、「Cクラス」は中上級を指す。その中には、セダン、クーペ、ステーションワゴンなどが含まれている。試験を受けた車種は「C 200 アバンギャルド」。

【レクサス】
●ES(
高級セダン・7代目・2018年10月発売)
NX(小型クロスオーバーSUV・初代・2014年7月発売)
UX(小型クロスオーバーSUV・初代・2018年11月発売)

夜間・街灯なしで最大15点を獲得したのも7車種

夜間・街灯なしの環境下における対歩行者・被害軽減ブレーキ試験の様子(車内から撮影されたもの)。車両はレクサス「NX」。

 「夜間・街灯なし」も試験内容は、対向車の位置が異なる以外は「夜間・街灯なし」と同じで、異なるのは明るさだけだ。街灯がないため、光源は試験車両のヘッドランプのみとなる。

 「夜間・街灯なし」で最大15点を獲得したのは7車種で、顔ぶれは1車種を除いて「夜間・街灯あり」と同じだ。それ以外の夜間に対応した6車種は、6.1~14.4点を獲得した。100点満点に換算すると、40.7~93.3点。夜間には対応していても、街灯がない環境下を苦手とする車種もいくつかあった。

【トヨタ】
RAV4(中型クロスオーバーSUV・5代目・2019年4月発売)
アルファード/ヴェルファイア

【日産】
セレナ(※3)

※3 「セレナ」のOEM供給車であるスズキ「ランディ」も同一性能。

【ホンダ】
アコード(中上級セダン・10代目・2020年2月発売)

【メルセデス・ベンツ】
Cクラス

【レクサス】
●ES

NX
UX

高機能前照灯で最大15点を獲得したのは9車種

自動防眩型高機能前照灯の照射範囲のイメージ(左側の車両)。車両はトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」。

 続いては、高機能前照灯についてだ。高機能前照灯は2種類ある。ひとつが、対向車や前走車を検知してヘッドライトの照射範囲を自動的に調整し、相手のドライバーがまぶしくないようにする「自動防眩型」だ。もうひとつが、対向車や前走車を検知して、ハイ/ローの自動切替を行う「自動切替型」である。

 評価試験においては、どちらのタイプでも低速から作動するほどより高得点となる。自動防眩型は最大5点、自動切替型は最大1.4点を獲得することが可能だ。自動防眩型を装備し、最大5点を獲得した車種は、以下の9車種だ。

【スバル】
フォレスター(クロスオーバーSUV・5代目・2018年9月発売)

【ダイハツ】
タント/タント カスタム(軽トールワゴン・4代目・2019年7月発売 ※4 ※5)
ロッキー(小型クロスオーバーSUV・2代目・2019年11月発売 ※6)

※4 タント カスタム:「タント」の上級モデル。
※5 「タント/タント カスタム」のOEM供給車であるスバル「シフォン/シフォンカスタム」も同一性能。
※6 「ロッキー」のOEM供給車であるトヨタ「ライズ」も同一性能。

【トヨタ】
アルファード/ヴェルファイア

【日産】
セレナ(※7)

※7 「セレナ」のOEM供給車であるスズキ「ランディ」も同一性能。

【メルセデス・ベンツ】
Cクラス

【レクサス】
●ES

NX
UX

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3種類の試験すべてで満点を取ったクルマは?

夜間の3種類の試験すべてで最大得点を獲得したのは6車種

 3種類の試験すべてで最大得点(合計60点)を獲得したのが、以下の6車種だ。これらの車種は、夜間の歩行者検知に優れていることから、接触事故を回避しやすいといえるだろう。

 また、自動防眩型高機能前照灯を備えているということは、対向車のドライバーをハイビームで眩惑させないということであり、他車の事故を誘発する危険性が低いといえる。また、常に自分の走る車線をハイビームで遠方まで見通しやすいことから(前走車がいない場合)、早いタイミングで歩行者にも気がつきやすいといえるだろう。

アルファード/ヴェルファイア(トヨタ)

「アルファード/ヴェルファイア」は、2019年度の予防安全性能評価において満点の141点を獲得し、全16車中の第1位となった。画像は「ヴェルファイア」。

セレナ(日産)

「セレナ」は、2019年度の予防安全性能評価でにおいて満点の141点を獲得し、全16車中の第1位となった。満点を獲得するのは2016年度に続いて2回目。

Cクラス(メルセデス・ベンツ)

「Cクラス」は2019年度の予防安全性能評価において139.8点を獲得し、全16車中の第6位となった。テストを受けた車種は、「C 200 アバンギャルド」。

ES(レクサス)

「ES」は2019年度の予防安全性能評価において140.2点を獲得し、全16車種中の第5位となった。

NX(レクサス)

「NX」は2019年度の予防安全性能評価において満点の141点を獲得し、全16車種中の第1位となった。

UX(レクサス)

「UX」は、2019年度の予防安全性能評価で満点の141点を獲得し、全16車中の第1位となった。


 評価試験で満点を獲得できるような高い夜間の歩行者検知性能と、自動防眩型高機能前照灯を装備することは、事故の危険性を減らすことにつながると期待される。現時点ではこれらを装備する車種が中級車以上に限られているが、安価かつ高性能なセンサーやシステムを、軽自動車やコンパクトカーなどのエントリーモデルに搭載し、普及させることが重要と思われる。

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