自動車税・軽自動車税は増えたり、減ったり? 複雑な税率を知っていますか?
クルマを所有していると、さまざまな維持費を支払うことになる。税金もその1つで、「自動車税」や「軽自動車税」がその代表だろう。その自動車税は、2019年10月1日以降に購入した新車と、それ以前に購入したものでは税額が異なってくる。さらに初回新規検査を受けた時期や排出ガス規制適合によって税額が増えたり減ったりという【軽課】【重課】もある。
新車は消費税増税後に【減税】。さらにグリーン化特例と複雑
2019年10月1日に消費税増税と同時に、自動車税が引き下げられた。ただし減税されるのは同年10月1日以降に新車で購入された場合のみだ。引き下げの理由は、増税後の新車購入の減少を抑えるための施策であった。これは数年後に元の税額に戻るといった一時的な装置ではなく、新車購入に関しては恒久的な減税となるのがポイントだ。
さらに新車には初回新規登録された翌年の1年間に限り、グリーン化特例の対象車なら税率が軽減【軽課】される特例措置も加わる。グリーン化特例とは、電気自動車(※1)などや、排ガス基準(※2)や燃費性能(※3)をクリアした自動車に適応される軽課制度だ。クリアの度合いに応じて、自動車税が50~75%軽減される。
※1 燃料電池車、プラグインハイブリッド自動車、一定の排ガス基準を満たす天然ガス自動車、平成30年度排出ガス規制適合または平成21年排出ガス規制適合のクリーンディーゼル乗用車も含まれる。
※2 平成30年度排出ガス規制50%低減達成、または平成17年排出ガス規制75%低減達成
※3 令和2年燃費基準+30%達成もしくは令和2年燃費基準+10%達成
2019年10月1日から3月31日までに新車購入した場合の、2020年度に課税される自動車税額
対して2019年4月1日から9月30日に購入した新車は、引き下げ前の税額に対してグリーン化特例が適用される。
2019年4月1日から9月30日までに新車購入した場合の、2020年度に課税される自動車税額
古いクルマはグリーン化特例で税率が重くなる
グリーン化特例では軽課だけでなく重課されるケースもある。初回新規登録から13年を経過しているガソリン車・LPG車と、初回新規登録から11年を経過しているディーゼル車は15%も税率が重い「重課」となる。つまりガソリン・LPG車は2007(平成19)年3月31日以前のもの、ディーゼル車は2009(平成21)年3月31日以前のものに対して重課される。これは永久抹消登録(廃車)するまで継続される税率だ。ただし電気自動車やハイブリッド、燃料が天然ガス、混合メタノールのクルマと、一般乗合用バス、被けん引車は重課の適用外となる。
グリーン化特例で重課された場合の自動車税
軽自動車税は3種類の税率に、グリーン化特例、重課もあり
排気量660cc以下の軽自動車税は消費税増税に伴う減税は行われていない。現在の税制では、最初の新規登録時期で税額が、「旧税額」「標準税額」「重課税額」の3段階に分けられている。
1段階目の「旧税額」は、2007(平成19)年4月1日から2015(平成27)年3月31以前に最初の新規登録を受けたクルマ。2段階目の「標準税額」は、2015(平成27)年4月1日以後に最初の新規登録を受けたクルマ。3段階目「重課税額」は、最初の新規登録から13年を経過したクルマとなる。2020年で重課税に該当するクルマは、2007(平成19)年3月31日以前に最初の新規登録を受けたクルマとなる。なお軽自動車税でも自動車税と同様に、電気自動車やハイブリッド、燃料が天然ガス、混合メタノールのクルマは重課の対象にならない。
軽自動車税の税額
軽自動車にもグリーン化特例が設けられている。対象は2017年4月1日から2021年3月1日までに新規登録を受けたクルマ。つまり「標準税額」のみがグリーン化特例の対象になる。それらは初回新規登録された翌年の1年間に限り、クリアした度合いに応じた税率で軽課となる。軽課は、電気自動車(※1)などや、排ガス基準(※2)や燃費性能(※4)をクリアしたに応じて25~75%の自動車税が軽減される。
※4乗用は令和2年燃費基準+30%もしくは+10%達成。貨物は平成27年燃費基準+35%もしくは+15%達成。
グリーン化特例で軽課された場合の軽自動車税「標準税額」
このように今年の自動車税・軽自動車税は、消費税に伴う減税や、グリーン化特例によりさまざまな税額が存在する。自分の税額は?と思ったら、車検証にある新規登録や排出ガス規制適合、燃費基準達成など年度と、5月頃に届く自動車税納税通知書を照らし合わせてみよう。