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最終更新日:2020.04.16 公開日:2020.04.16

ユーザー代行車検の約8割は未認証整備工場。国交省アンケート

多くのユーザーは、ディーラーなどの指定または認証整備工場へ車検と点検整備を依頼していると思うが、より安価に済ませるためにユーザー車検代行業者を利用しているなら、少し注意が必要かもしれない。国土交通省のアンケートによると、それらのうち8割強は、未認証整備工場で点検整備が行われている。

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クルマの下回りを点検するイメージ写真© dreamnikon – stock.adobe.com

ユーザー車検代行の整備の約8割が未認証事業者だった

国土交通省が発表した2018年度「ユーザー代行車検を受検した自動車の分解整備に関するアンケートート」の調査結果より。点検整備を行った上で、本人以外が車検を受けた人、つまりユーザー車検代行を利用した人の依頼先の調査である。出典:国土交通省資料

国土交通省:2018年度「ユーザー代行車検を受検した自動車の分解整備に関するアンケート調査」

◆アンケート対象:約12万人
◆アンケートの対象となる自動車ユーザー
120185月から6月(軽自動車にあっては8月から9月)に車検を受検したもの
2)車検申請時に、点検整備記録簿を提示したもの
3)受験形態が「その他(使用者以外の者により受検が代行された場合)」のもの
◆アンケートの内容
1)点検整備記録簿の保管状況
2)定期点検整備における交換部品
3)定期点検整備の実施者
4)車検の依頼先の形態      など
◆調査実施期間
2019
1月下旬にアンケートを送付、同年2月末までにアンケートを回収

 国土交通省は、このアンケートの結果・考察で「8割超が、本来、分解整備を行ってはならない整備工場、中古販売店、車検代行業者、ガソリンスタンドへ依頼」。また「ユーザーは、認証工場と未認証工場を混同している恐れ」とまとめている。しかし、車検をユーザーや代行業者が行うこと自体は違法ではない。なぜ国交省は、代行業者に依頼することを注意喚起しているのだろうか。そもそも認証工場と未認証工場を混同するとはどういうことなのだろうか?

車検と点検の違い

 まず最初に、車検と点検整備の違いをご存じだろうか? 車検は、道路運送車両法という法令で定められているもので、「自動車検査登録制度」というのが正式名称。クルマが道路運送車両法の保安基準に適合していることを検査するもので、所有者に定期的に受検することを義務付けている。保安基準とは、クルマの構造や装置の安全性や公害防止などの基準を定めた法令のこと。つまり車検は、クルマが安全かつ公害をもたらさない状態であることを検査する制度なのだ。

 ただし車検は、次の車検まで安全で公害をもたらさないことを保証するものではない。あくまでも、その時点で基準を満たしていることを確認しているだけである。そのため、さらに次の車検まで、法定点検(定期点検)や日常点検などで、クルマを保安基準に適合するように維持することを、道路運送車両法第四十七条と四十八条で定め、所有者に義務付けている。法定点検は、1年ごとに行うことが、ユーザーに義務付けられている。

 なお法定点検はユーザー自ら行うことも可能だが、しっかりとした知識がないと適切に行うことは難しい。また、メーカーによってはディーラーの整備工場などで法定点検を受けないと、その後に発生した故障に関する保証をしてくれないこともある。

点検を行い、部品交換や分解整備が必要になったら

 法定点検によって部品の消耗や不具合が見つかれば、部品交換などの分解整備を行う必要が生じてくる。その部品がエンジンや駆動系、サスペンション、ステアリング、ブレーキなどであれば、分解整備を行う必要があるが、それを行えるのは国からの認証を受けた「認証整備工場」だけだ(後で説明する「指定整備工場」は「認証整備工場」に含まれる)。ちなみに、自分の車をユーザー自らが分解整備することは認められている。

これら装置の分解整備は、国からの認証を受けた整備工場しか行えない。出典:国土交通省資料

 このことは道路運送車両法第七十八条で定められている。前述の国交省のアンケートでは、車検をユーザー車検代行業者に依頼した場合、その点検整備の約8割が未認証工場などで行われていたため、その際にエンジンや駆動系、サスペンション、ステアリング、ブレーキなどに分解整備が行われたなら、それらは違法整備にあたるといっているのである。もちろん、点検だけで分解整備を行っていなければ、この点については問題ないともいえる。ただ、これから車を乗り続ける上で、十分な整備ができているのかというと、それはまた別の問題でもある。

 自分のクルマが分解整備を受けたかを確認するには、点検整備記録簿または分解整備記録簿を確認しよう。点検・整備記録簿には、各装置に点検・分解整備のどちらを行ったかが記載されている。また交換した部品がリストとして記載されている場合もある。ブレーキやステアリング、サスペンションなどに点検ではなく、分解整備や部品交換の記載があった場合は、点検を実施した「事業場名、所在地、認証番号」を確認しよう。もし「認証番号」が記載されていなければ、違法整備の可能性が高い。

 万が一違法整備だったとしても、車検が無効になることはない。なぜなら前述したように、車検と点検整備は別のもので、点検整備の記録がなくても、車検を通すことはできる。だが、安心してクルマを運転したいと考えるなら、車検時にはしっかりと点検整備も行いたいものである。そのためには、認証整備工場や次に説明する指定整備工場が安心だし、ユーザー車検代行業者に依頼する場合は、何を、どこで、どのように点検整備した上で車検を通してくれるのか、しっかりと確認する必要がある。

分解整備できる「認証」整備工場、「指定」整備工場

 ディーラーや自動車整備工場の中には、「認証整備工場」の他に、「指定整備工場」といった看板をあげている工場もある。この指定整備工場とは、認証整備工場の中でも、さらに一定の基準に適合する設備、技術及び管理組織を有し、自動車検査員がいる工場のことである。

 認証整備工場は分解整備を行える整備士と施設を備えているが、車検を依頼された場合は、点検・分解整備を行った後に、運輸支局、自動車検査登録事務所などの車検場にクルマを持ち込んで検査を受けている。なお認証整備工場には「自動車分解整備事業」と書かれた黄色い標識(地方運輸局長認証)が掲げてある。

 対して指定整備工場は分解整備を行える整備士と施設に加え、車検の検査を行える自動車検査員がおり、車検に必要な検査設備も有している。指定工場に車検を依頼した場合は、点検・分解整備の後、自動車検査員が検査を行い、保安基準適合証を交付する。この証書を運輸支局、自動車検査登録事務所などに提出することにより、車検場にクルマを持ち込む検査を省略できる。このようなことから指定整備工場は「民間車検場」「民間車検工場」とも呼ばれる(道路運送車両法第九十四条の二第一項)。指定整備工場の標識は「指定自動車整備事業」と書かれた青い標識(地方運輸局長認証)が掲げられている。

 国交省では、2019年度に車検を受けたユーザーについても、同様なアンケートを実施しており、今後結果が発表されると思われる。

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