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最終更新日:2021.02.02 公開日:2021.02.02

踏切で閉じ込められたらどうする?高齢者の8割が知らない対処法とは。

クルマで踏切を横断する時に、万が一、踏切内に閉じ込められてしまった場合、どうすればいいのだろうか? JR西日本によると、その対処法を高齢者の8割が知らなかったという。踏切事故の特徴や交通ルール、閉じ込められた時の対処法を紹介しよう。

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踏切障害事故は鉄軌道事故全体の約3割

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 国土交通省によると、2019年度に発生した踏切事故は211件。死傷者は216人、うち死亡者は84人だった。鉄軌道における運転事故(※)の総数は614件なので、踏切事故はその約35%にものぼる。

 ※鉄軌道における運転事故:鉄軌道上で起こった、列車事故、踏切障害事故、道路障害事故、人身障害事故、物損事故のこと。鉄軌道における事故分類では、運行障害が発生したかどうかという視点で集計されるため、「傷害」ではなく「障害」と表記する。

踏切事故の件数および死傷者数の推移。 出典:国土交通省資料

 踏切事故件数の推移を見てみると、1990年度の754件から500件以上減少しており、直近30年を長期的に見ると右肩下がりに減少している。しかし、近年は減少スピードが緩やかになり、200件程度で停滞。依然として踏切事故はなくならない。

踏切事故の原因は直前横断が最多

 踏切事故はどのような原因で発生しているのだろうか。

踏切事故の原因別件数。 出典:国土交通省資料

 踏切事故を原因別に見てみると、最も多いのは直前横断で108件(51.2%)。次いで落輪、エンスト、停滞が65件(30.8%)。側面衝撃、限界支障が28件(13.3%)と、踏切で起こる事故の半数以上が直前横断によって起こっていることが分かる。

直前横断:踏切において列車が接近しているにもかかわらず、車両もしくは歩行者が無理にまたは不注意に踏切内に進入して列車と衝突したもの。
落輪、エンスト、停滞:自動車などが落輪、エンスト、交通渋滞、運転操作の誤りなどにより、踏切から進退が不可能となり列車等と衝突したもの。
側面衝撃、限界支障(※):自動車などが通過中の列車の側面に接触したもの。歩行者などの停止した位置が不適切であり列車と衝突したもの。

※限界支障:列車の車両断面範囲(限界範囲)を超えて人や自動車が侵入することにより、進入した人や自動車に電車が衝突してしまう状態。踏切内には、電車に衝突しない範囲もあり、その範囲を超えて鉄軌道側に侵入してしまうことを、「限界範囲を超える」という。

踏切事故の衝撃物別の件数。 出典:国土交通省資料

 踏切事故を衝撃物別に見てみよう。衝撃物とは、列車と衝突した対象物のことである。最も多いのは自動車で91件(43.1%)。次いで、歩行者が89件(42.2%)。軽車両が27件(12.8%)となっており、自動車と歩行者が同じくらい踏切事故を起こしている。

踏切事故の年代別件数。 出典:国土交通省資料

 また、踏切事故を年代別に見ると、最も多いのは70歳代で44件(20.9%)。次いで80歳代が40件(19.0%)、60歳代が35件(16.6%)と、60歳以上の高齢者が全体の半数以上を占めることも分かる。

 このことから、踏切事故の要因の1つは、高齢のドライバーや歩行者が、列車が接近しているにもかかわらず、直前で踏切を横断することから発生していることが分かる。

踏切に閉じ込められた際の対処法

踏切で閉じ込められた場合、クルマが動かなくなった場合の対処法。 出典:北海道運輸局資料

 万が一、クルマを運転中に踏切に閉じ込められてしまったらどうすればいいのだろう。

 その推奨行動とはズバリ、クルマを前進、あるいはバックさせて、車体で遮断桿(遮断機の棒)を押し上げて踏切から脱出するという方法だ。最近の遮断桿は、クルマの力で簡単に押し上げられ、そのまま脱出できる。なお、遮断機が下りてから列車が通過するまでの時間は最短で15秒。長くはないが、脱出するだけの時間はあるので、焦らず、すみやかに踏切外へ移動したい。

 車の故障やエンスト、脱輪などで前進できなくなり、踏切に閉じ込められた場合には、すみやかに車から降りて警報機付近に設置されている非常ボタンを押し、列車に踏切内でクルマが立ち往生していることを知らせる。踏切に非常ボタンがない場合は、車に付いている発炎筒を使おう。いざという時にすぐ使えるよう、発炎筒の使い方は普段からしっかり覚えておこう。

踏切に閉じ込められた場合の推奨行動認知割合。 出典:JR西日本資料

 なお、JR西日本は、70歳以上の高齢ドライバーと、40~65歳の若年ドライバーに対して、「運転中に踏切内に閉じ込められたらどうするか?」という質問をし、推奨行動を知っているか調査した。すると70歳以上では約8割、若年層では約6割と、多くのドライバーが推奨行動を知らなかった。

【JR西日本の調査概要】
対象者:高齢群(75歳以上のドライバー)60人
    若年群(40~65歳のドライバー)80人
調査場所:門真運転免許試験場
調査方法:運転中に踏切内に閉じ込められるCG映像を視聴中に口頭質問

クルマで踏切を渡る時の交通ルールと注意点

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 ここで改めて踏切通過時の交通ルールを見てみよう。踏切での交通ルールは、道路交通法第33条において以下のように定められている。

【第33条】

第1項:車両等は踏切を通過しようとするときは、踏切の直前(※)で停止し、かつ、安全であることを確認した後でなければ進行してはならない。ただし、信号機の表示する信号に従うときは、踏切の直前で停止しないで進行することができる。

※道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。

第2項:車両等は、踏切を通過しようとする場合において、踏切の遮断機が閉じようとし、もしくは閉じている間または踏切の警報機が警報している間は、当該踏切に入ってはならない。

第3項:車両等の運転者は、故障その他の理由により踏切において当該車両等を運転することができなくなったときは、直ちに非常信号を行う等踏切に支障その他の理由により停止している車両等があることを鉄道若しくは軌道の係員又は警察官に知らせるための措置を講ずるとともに、当該車両等を踏切以外の場所に移動するため必要な措置を講じなければならない。

 このように踏切では遮断機や警報機の作動の有無に関係なく、一旦停止をして、前方や踏切の向こう側のスペース、そして左右の安全を確認する必要がある。また、警報機が鳴りはじめたら、停止線で停止し列車の通過を待たなくてはならない。決して、間に合いそうだからと直前で横断してはならないのだ。

 踏切事故の大半は直前横断によって起こっている。つまり、踏切事故を減少させるためには、ドライバー1人1人が安全運転を心がけ、ルールを守って横断することが重要である。また、万が一の場合に、慌てずに行動できるよう、日頃から対処法を意識しておきたい。

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