歩きスマホ防止条例施行、神奈川県大和市で全国初
「歩きスマホ」を禁止する条例が、6月25日、神奈川県大和市議会で可決・成立し、7月1日に施行された。市によると、「歩きスマホ」に特化した条例は全国初だという。
歩きスマホによる事故を防ぐ。全国初の「歩きスマホ防止条例」
道路や公園など公共の場で、歩きながらスマートフォンや携帯電話などを操作する「歩きスマホ」を禁じる条例が、神奈川県大和市議会で6月25日に可決・成立し、7月1日に施行された。「大和市歩きスマホの防止に関する条例」は、「歩きスマホ」にかかわる条例としては全国初となる。
総務省の情報通信白書(2019年版)によると、スマートフォンの世帯保有率は2010年には9.7%だったのに対し、2013年には62.6%にまで急上昇している。4年で約6.5倍という驚異的な普及スピードによって、公共の場で歩きながらスマートフォンを操作する「歩きスマホ」による事故が急増し、社会問題化した。東京消防庁によると、こうした「歩きスマホ」が原因となる救急搬送は、2013年から2018年の5年間で165人であったという。
大和市では、2020年1月に大和駅前、中央林間駅前の2か所で、通行人約6000人の歩行状況調査を実施。全体の12%が歩きスマホをしている実態が明らかになった。こうした現状を踏まえて、7月1日に施行された「大和市歩きスマホの防止に関する条例」では、第5条に「何人も、公共の場所において歩きスマホを行ってはならない」と定めた。これにより、今後は路上などの公共空間での「歩きスマホ」に対する注意喚起を行う根拠を示すことが可能となる。
ちなみに、歩きスマホと同様の社会問題である「路上喫煙」においても、全国で取り締まるための条例化が進められてきた。大和市でも、2008年6月に「大和市路上喫煙の防止に関する条例」を制定し、条例に基づきマナーやモラルの向上に努めてきた。その結果、2010年度と2018年度では路上喫煙率が約93%も減少したという。大和市は、今回の「大和市歩きスマホの防止に関する条例」制定においても、意識向上を呼びかけ続けることで「スマートフォンは立ち止まって操作するもの」という意識を浸透させ、歩きスマホ率減少を目指していきたいとしている。
なお、本条例に罰則規定はなく、将来的にも罰則の導入は考えていないという。大和市役所都市施設部道路安全対策課の担当者によると、新型コロナの飛沫感染防止の観点から、当面の間は交通安全パトロールカーやゴミ収集車、また駅前に設置したカセットからの音声によって注意喚起を図っていく予定だという。