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最終更新日:2020.04.24 公開日:2020.04.24

「シロサイ」|第2回アニマル”しっかり”みるみる

世界中から集まった様々な動物たちを、間近で見て・感じられる施設がサファリパーク。事前に知っておけば一味違う動物通になれる観察ポイントを、担当飼育員さんに "しっかり" ご指導いただきました。教えてくれるのは、富士山の自然豊かな環境をバックに動物たちの姿を楽しめる "富士サファリパーク" の植木さん。草食動物担当の植木さんに、「シロサイ」を解説してもらいました。

JAFメディアワークス IT Media部 上條 謙二

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シロサイが 走り回って 雨上がり

雨の日や雪の日は、興奮して走り回ることが多いというシロサイ。

 シロサイってどんな性格の動物ですか?

「ちょっとした物音にも敏感に反応します。体は大きいけどすごく臆病な動物です」と植木さん。体重は1.5~2t、体長は3.5~4mというちょっとしたSUVなみの体躯の持ち主なのに。ごつい外見に似合わず、意外でした。

 ところが臆病な性格だから常にじーっとおとなしく暮らしているかと思いきや、「雨が降った後は、テンションが上がってとても活動的になります。大きな体を揺らしながら走り回る姿が見られることがあります」(植木さん※以下同)

雨降りの最中は雨の上がるのをじっと待っていることが多いという。

 走り回るのはオスもメスもどちらも。ただ雨が降っている最中はじっとしているとのこと。しかも雪の日は雨よりもっとテンションが上がるのだそうです。ちなみにシロサイは時速40㎞程度で走行可能です。

「雨が降った後にテンションが上がるのは、ムフロンなどの山岳に暮らす動物にも顕著に見られる傾向です」

 人間だと「雨の日と月曜日」は、普通ちょっとテンション下がっちゃいますけど…。雨でテンションが上がるんですね。

雨の日は「角研ぎ」や「泥浴び」に励みます

雨の湿気で柔らかくなった角を自分のお気に入りの形に研ぐシロサイ。

 雨の日はテンションが上がったシロサイが角研ぎをすることがあるそうです。

「角が湿気で柔らかくなる雨の日は、角のお手入れ日和です。柔らかくなった角を、木や石などの硬いところにゴリゴリと音がするように擦りつける姿を、もしかしたら目撃できるかもしれません」

 シロサイの角は頭部に2本あって、前方の角がより長く突き出ています。角は人間の爪などと同じで、皮膚が角質化したもの。骨が変化したものではないんですって。

「シロサイの角の形は、それぞれの個体が自分のお気に入りの形に仕上げているんです」

 先をすごく尖らせたり、エッジを利かせた仕上げにこだわるもの、丸みを帯びたラウンドシェイプでまとめるものなど、一頭一頭で形が違っています。すごく個性が表れています。ちなみに飼育員さんは個体識別を角の形でしているそうです。

 角はオスもメスもあります。基本的にオスは外敵と戦うため、またオス同士の突き合いに角を使うので、細く鋭く尖らせることが多いようです。メスは子を守るために角を使います。たまにオスとメスでも角の突き合いをすることもあるそうですが、まあ人間でいえば、軽い痴話げんかみたいなものでしょうか。

 雨でテンションが上がったシロサイは「泥浴び」をすることもあるそうです。

「シロサイの泥浴びですが、これと決まったときにするわけではありません。泥状になった水たまりで行います。体を低く構えて水たまりのなかに身を沈めたり、体をゴロンと横たえたりして泥を体に塗り付けます」

 泥浴びの目的は、体温調節、皮膚の保湿、体に付いた寄生虫などをとることなんだそうです。

うんこタワー(!?)は縄張りのランドマーク

一夫多妻のシロサイ。角はオスもメスもある。

 シロサイは一夫多妻。富士サファリパークの場合、オス1頭にメス3頭からなる群れになっているそうです。

「視力が弱い反面、聴覚・嗅覚は発達しています。とくに嗅覚は鋭く、オスはメスが発情しているかどうかを尿の臭いから見分けられます」

 そんなシロサイですが、排便・排尿の方法が一種独特です。

「群れごとにトイレの場所がきちんと決まっています。園内では1、2か所。どのシロサイも同じ場所に排便します。だから糞がうず高く盛り上がっています。掃除はしやすいですけど。これ自分たちの縄張りを主張する意味があるんです」

 自然界のシロサイの排便場所には、糞が数mも積み重なっていることもあるとのこと。またオスのおしっこの仕方が独特で、スプレーのように噴霧します。

「これにはマーキングの意味があります」とのことです。

 シロサイのトイレは、情報交換の役目があって一種の伝言板みたいなものなんですね。

デッキブラシを孫の手の代わりに

ナビゲーションカーにプリントされたシロサイ親子のロゴマーク。

 最後に「シロサイあるある」についても伺いました。

「私たち飼育員がデッキブラシを持っているとほとんどのシロサイが物欲しげに近づいてきます。理由は、『デッキブラシで体を掻いてほしいから』なんです。どうやら体のしわの間がかゆいらしいんです。それで近寄ってくるんです」

 デッキブラシで擦ってあげると、気持ちよいらしくとても喜ぶんだそうです。常日頃から体のかゆみをじっと耐えているんですね。シロサイ、健気です。

 ちなみに富士サファリパークのロゴマークには、施設がオープンしたときに赤ちゃんが生まれたシロサイが使われています。ナビゲーションカー(園内を周遊するゼブラ模様のレンタカー)や施設内の作業車、ごみ箱などにロゴマークがついています。


※富士サファリパークは、当面の間、新型コロナウイルスによる感染症の流行拡大を受けた政府の緊急事態宣言の発出に伴い臨時休業中です。【2020年5月7日現在】

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