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最終更新日:2020.03.31 公開日:2020.03.31

自由にデザイン可能な「地理院地図Vector(仮称)」。全国データを国土地理院が公開。

国土地理院は3月19日、利用目的に応じて自由にデザインできるWEB地図「地理院地図Vector(仮称)」の全国データを公開した。

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ベクトルデータにより全国地図データのカスタマイズが可能に。

地図の拡大縮小はもちろん、表示される項目の編集や地図回転などにも対応している。 出典:国土交通省国土地理院

 国土地理院が今までに公開していたWEB地図「地理院地図」は、画像(ラスター)データで提供されていた。そのため、拡大すると画像が粗くなったり、地図を変更するのも手間がかかった。今回アップデートして公開された「地理院地図Vector(仮称)」では、提供データの形式をベクトルデータへ変更。ベクトルデータとは、輪郭線の情報を記録していく方式で、拡大や縮小が画像の劣化なく自由自在に行える。また、地図の変更も容易なため、利用者の目的に応じて変更するサービスなどの提供も可能となった。既に、20197月のアップデートで関東一部のデータが試験公開されていたが、319日からはついに全国のデータが公開された。国土地理院は、このデータ公開による「地理院地図Vector(仮称)」の、授業教材や防災分野などへの活用を期待しているとのことだ。

標準地図をはじめ、情報を書き込みやすい白地図や淡色地図などもある。 出典:国土交通省国土地理院

 基本機能としては、「おすすめの地図」として標準地図、淡色地図、白地図などが搭載されている。それらをベース地図に選択してから、用途に応じて地名や境界、道路名など、さまざまな項目の編集をすることができる。特に白地図や淡色地図は情報を書き込みやすいので、小学校の社会科や、自由研究の際に活躍しそうだ。

【「おすすめの地図」概要】
・標準地図(標準地図②は立体交差あり)
・淡色地図(淡色地図②は立体交差あり)
・白地図(白地図②は立体交差あり)
・最新の空中写真
・空中写真+地名
・文字が大きい地図

「地理院地図Vector(仮称)」の編集例。 出典:国土交通省国土地理院

 地図上のさまざまな項目の編集は、「おすすめの地図」の右下、「表示中の地図」の「編集」から各項目を選択して行う。道路や線路、川、建物などさまざまなデータを必要に応じて色分けすることが可能なのだ。さらに、「地図や写真を追加」を選択すると、標高や避難場所などの情報を追加できる。このツールを活用すれば、利用者の行動範囲内での防災マップ作成もラクラクと作成できてしまうという優れものだ。

試しに「神保町カレーマップ」を作ってみた。

「地理院地図Vector(仮称)」の新機能概要。 出典:国土交通省国土地理院

 また、PC版が印刷と作図機能、スマホ版が現在位置機能、そしてPC版スマホ版ともに色分けできる標高地図作図機能に対応した。これらを活用して、実際にオリジナルの地図を作成してみたので、作業手順とともに紹介しよう。

出典:国土交通省国土地理院

 自由度が高いので、どんな地図を作成しようかとテーマを考えるのも楽しい。せっかくなので、楽しめるマップをと思い今回はカレーの街としても名高い神保町の「カレーマップ」を作成してみることにした。
 まずは、ベースとなる地図を「おすすめの地図」から選ぶ。淡色地図を選ぶと、編集した場所がより見やすいのでおすすめだ。

 もし、鉄道情報など地図上の情報を非表示にしたい場合には、左柄の表示項目一覧から該当する項目を選ぶことができる。項目欄右端の、目のマークをクリックすれば表示/非表示の切り替えが可能だ。

 次に表記したい店舗の住所を、上部検索バーに入力。検索結果で表示される住所にカーソルを合わせると、地図上にアイコンが表示される。

出典:国土地理院

 店舗の家形を色分けするために、右上のメニューバーから「作図」を選択する。「面を追加」で家形を囲むと、「作図情報の編集」画面が出てくるのでそこで名称や色の設定が可能だ。

出典:国土地理院

 今回作成した「カレーマップ」では、食べに行ったことがある店は緑、それ以外は赤で色分けをしてみた。こうして編集した地図データは、保存することが可能だ。保存したデータファイルを画面にドラックすれば、簡単に開くことができる。カレー店制覇を目指して、新しい店に行くたびに色を塗り替えていく、という使い方も楽しそうだ。

戦前の空中写真で土地の変遷を見る。

標準地図に1936年頃の空中写真データを重ねると、土地の変遷を見ることができる。 出典:出典:国土交通省国土地理院

 地図編集の機能について紹介をしてきたが、もうひとつ紹介したい機能がある。実は「地理院地図Vector(仮称)」の空中写真には、年代別の写真が搭載されているのだ。1936年頃から数年刻みの地図データがあり、現在のデータを重ねれば土地の変遷を一見して知ることができる。ただしこちらは、東京圏の一部のみのデータ提供となっている。主要都市の変遷を見ることができるかと思っていたので少々残念ではあるが、それでも気軽に過去の空中写真を見ることができるのは地図マニアにもたまらないのではないだろうか。

 なお、公開されているベクトルタイルは2020年1月1日時点のデータであるため、最新の状況が反映されていない場合があるとのことだ。しかし、多彩な地図編集機能は、利用者の用途やアイディア次第でいくらでも幅が拡がるに違いない。詳細な地図を気軽かつ自在にカスタマイズできる「地理院地図Vector(仮称)」は、利用者にとって今までよりも地図を身近に感じさせてくれるきっかけとなりそうだ。

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