立ち寄らずにはいられない、歴史がテーマのユニークSA・PA5選
全国に800か所以上あるSA・PAのなかでも、地域性やテーマ性にフォーカスしたユニークな場所があるのをご存じだろうか。本記事では、中でも忍者や戦国武将、江戸の街並みなど歴史を楽しむことができるユニークな施設を紹介していこう。
旧国鉄時代の車両の中で名物の釜めしを味わう。横川SA(上)
群馬県に位置する上信越自動車道・横川SA(上)には、昭和30年代の信越本線・横川駅のホームが再現された「メモリアルコーナー」がある。そのホームには旧国鉄時代のキハ57系の車両も設置されており、電車ファンにはたまらないSAだ。実はこの車両、前頭部のみJR九州の廃車(キハ58系)を移設し、当時の横川~軽井沢間を走っていたキハ57系にあわせて再現したカットモデルなのだそう。
このメモリアルコーナーの車内では、当時のままの運転台が見学できる。また、天井の扇風機など当時の様子が再現された座席はイートインコーナーを兼ねており、昭和の雰囲気たっぷりの座席で食事をすることも可能だ。
この雰囲気の中で食べるなら、横川駅名物・おぎのや「峠の釜めし」(1,100円/税込)は外せないだろう。栗や椎茸、うずらの卵など9種類が益子焼の土釜に隙間なく敷き詰められた釜めしは、発売当時から変わらない素朴な味わいが魅力だという。レトロな雰囲気に浸りながら、その味わいを楽しんでみてはいかがだろうか。ちなみに、峠の釜めしはお土産として持ち帰ることも可能だ。また、この釜めしは施設内のレストランで、小鉢や二八そばとセットになった「峠の釜めし御膳」(1,980円/税込)などセットメニューとしても提供されている。
その他のお土産では、スイーツも充実している。甘さ控えめの「碓氷峠の力餅 16個入り」(864円/税込)や焦がしカラメルと濃厚なカスタードの「軽井沢プディングバーム」(1,296円/税込)など和洋が揃っている。
「鬼平犯科帳」とコラボした江戸の町並みを歩く。羽生PA(上)
池波正太郎の著した時代小説「鬼平犯科帳」とコラボレーションした東北自動車道・羽生PA(上)は、一歩足を踏み入れた瞬間に江戸の町並み風の建物に圧倒される。立ち並ぶ建物たちは、作中に登場する大店だ。そして、建物だけではなくPA内には江戸の日常を感じられるよう、さまざまな仕掛けがある。例えば、今でいう掲示板のような役目だった「高札」や、火事を知らせる鐘「半鐘」なども設置されているのだ。
グルメにも注目したい。作中で “鬼平” こと長谷川平蔵が馴染みにしていた店名が並ぶフードコートで、老舗が監修したこだわりの料理を味わうことができる。「五鉄のしゃも鍋定食」(1,500円/税込)や「五鉄名物 一本うどん(850円/税込)」など、鬼平が作中で食べていた料理もあるのが、ファンには嬉しい。
さらに世界観に浸りたい人は、鬼平が密偵と軍鶏鍋をつついていた「五鉄」をモデルにした客席での食事をおすすめしたい。鬼平の気分になって、こだわりのグルメに舌鼓を打ってみてはいかがだろうか。
お土産コーナーは、両国広小路を再現したというショッピングゾーン「屋台連」だ。ここでは、老舗の食品や菓子、和雑貨など、ほかのSA・PAとは一味違ったお土産を買うことができる。
ユニークなお土産としては、鬼平の十手をイメージしたというパッケージが印象的な「ロングバウムクーヘン」(1,512円/税込)が人気だ。独自の配合で、しっとりと優しい味わいに仕上げられているのだとか。コラボPAならではのお土産は、ぜひひとつ買って帰りたい。
戦国史に残る合戦の本陣に潜入!?長篠設楽原PA(上下)
新東名高速道路・長篠設楽原PA(上下)は、織田・徳川軍と武田軍の合戦として有名な「長篠・設楽原の戦い」がコンセプトのPAだ。上り線は武田軍、下り線は織田・徳川軍の本陣がイメージされた建物で、それぞれの家紋によって飾り立てられている。
各軍をイメージしたラッピング自動販売機では、それぞれ購入時に武田信玄か織田信長、徳川家康のセリフが流れる仕組みなのだとか。
フードコートでも、戦国武将をイメージしたメニューを食べることができる。上り線では、武田勝頼公と添い遂げた北条夫人をイメージして、長い麺を使用した「奥方梅うどん」(480円/税込)などが味わえる。トッピングされた梅は、愛知県下随一の産地である新城産。梅の酸味が、ドライブで疲れた体を回復させてくれそうだ。
また、下り線では家康の好物だったといわれる、鯛の天ぷらが2切れ贅沢に盛られた「家康 鯛天丼」(1,280円/税込)など、がっつり食べたい人にも嬉しいメニューがある。
お土産コーナー(下)では、通路脇にかがり火風のオブジェが設置されているなど、買い物中にも戦国時代の雰囲気を楽しむことができる。お土産も、武将の愛刀を模したペーパーナイフやフォーク、歯ブラシなど、多彩な品ぞろえだ。何より特徴的なのは、火縄銃と日本刀のレプリカも販売されているということ。国宝「圧切長谷部」や「大般若長光」をはじめとする名刀のレプリカは、眺めるだけでも圧倒されること間違いなしだろう。
ちなみに、PA(下)から徒歩5分ほどで織田本陣跡がある茶臼山(ちゃうすやま)に行くこともできる。ドライブの気分転換として、散歩がてら歴史散策をしてみてはいかがだろう。
甲賀流忍者と写真撮影ができる。甲南PA(上下)
新名神高速道路・甲南PA(上下)のテーマは、近江国甲賀に伝わっていた忍術流派・甲賀流忍者だ。まず、建物の入り口横には甲賀流忍者が描かれた「からくりアート」が設置されている。この大きなパネルの前では、ポーズを取りながら甲賀流忍者の世界に入り込んだような立体感と迫力のある写真を撮ることが可能だ。
グルメも、忍者風にアレンジされたものが並ぶ。「忍術うどん」(670円/税込)は、上り線のPAで食べることができる。地元産の「黒影米」という、古代黒米のもち米が使用された黒いうどんである。黒影米は、甲賀流忍者が健康維持のために食べていたともいわれているほど、栄養が豊富なのだとか。手裏剣型の黒い練り物と、巻物風に結ばれたお揚げも忍者らしい雰囲気を感じさせる見た目だ。黒影米を使用したうどんは、「黒影天ぷらうどん」(710円/税込)として下り線でも味わうことが可能だ。
気軽に食べることができるスナックは「忍術茶屋」で購入できる。上り線では、地元の食材を使用した商品をコンセプトに、甲南高校とコラボしたという「忍者バーガー」(400円/税込)、下り線では、ふっくらした生地に忍者の焼き印が押された「近江牛入り肉まん」(400円/税込)などがある。上下線それぞれのPA限定のメニューがあるので、こちらも見逃せない。
お土産の人気No.1は上下線ともに「忍福餅」(756円/税込)で、なめらかな羽二重餅が良質な餡で包まれている。漆黒の背景に忍者の姿が描かれたパッケージも印象的なこの商品も、甲南PA(上下)の限定販売だ。
ノスタルジーを感じる昭和の名車が並ぶ。広川SA(上)
2020年1月31日にリニューアルした九州自動車道・広川SA(上)のレストラン「昭和食堂館」では、その名の通り “昭和” をテーマにしたノスタルジックな店内で食事を楽しむことができる。そして店内には、世界初の2ローターエンジン車・コスモスポーツをはじめ、昔懐かしい昭和30年~40年代の名車が展示されている。旧車ファンはもちろんのこと、往年の日々に思いをはせて懐かしむ楽しみ方もできそうだ。展示されているのは、以下の乗用車4台と単車2台となっている。
乗用車
・マツダコスモスポーツ(昭和43年式)
・スバル360(昭和42年式)
・マツダR360(昭和36年式)
・ホンダS800(昭和41年式)
単車
・メグロ(昭和38年式)
・ラビット(昭和41年式)
そして、提供される料理にも昔懐かしい昭和メニューが並んでいる。当時はハイカラであった「じっくり煮込んだとろ~りビーフシチュー」(1,680円/税込)は、牛肉と野菜が長時間煮込まれているので旨味をたっぷり味わえそうだ。喫茶店の定番メニューだった「厚切りベーコンのナポリタン」(1,000円/税込)も、ケチャップの素朴な味わいとベーコンの塩気がマッチすること間違いなしだろう。テラス席もあるので、晴れた日には開放的な食事をするのもまた味わい深いかもしれない。
また、レストランの昭和レトロと連動させて、昭和を代表するお菓子メーカーのひとつ「不二家」のスイーツコーナーが設置されている。ふわふわのスポンジと、なめらかなクリームが優しい味わいの「ペコちゃんのほっぺ」(108円/税込)は、カスタードが一番人気なのだそう。こちらの商品は、九州のSA・PAでは、ここ広川SA(上)のみの販売とのことだ。
今回紹介したSA・PAでは、ドライブ先でその土地の歴史や魅力をより感じることができそうだ。「ドライブしたいけど、どこに行こうかなあ」という人は、ユニークSA・PAを目的地にしてみてはいかがだろうか。