ホモロゲの先輩たち、1990-2000年代のWRCホモロゲモデルPart4インプレッサ編
東京オートサロン2020で発表されたGRヤリスは、トヨタがWRC出場に必要なホモロゲーションを取得するために販売するハイスペックなクルマだ。このようなクルマが、1990年-2000年代は各社から販売されていた。Part4では、この時代に発売されたスバル インプレッサのホモロゲーションモデルと限定モデルを紹介。
ホモロゲーションモデルをさらにチューンしたスバル
スバルは、4WDのクルマを初めてWRCに持ち込んだメーカーでもある。1980年サファリラリーにレオーネの4WDで参戦した。
その後スバルは、1988年にモータースポーツ活動を行うための会社としてSTI(スバル・テクニカ・インターナショナル)を設立。
STIは、1990年からレガシィでWRCチャンピオンを目標としたフル参戦を開始。そしてレガシィは1993年のニュージーランドでWRC初優勝を遂げる。一方、スバルは次期ベース車であるインプレッサを1992年に販売。レガシィで得た4WDや2リットルターボエンジンの技術を、新しくコンパクトなボディのインプレッサに搭載することでWRCの覇権を狙った。
そして1994年になるとスバルは、トヨタや三菱などとの競争が激化するWRCで勝つことを目的としたグレードをインプレッサに追加する。追加グレードは、スバルのWRC活動を担うSTIが開発の中心となり開発がすすめられ、1994年1月にWRX STiという名称で販売された。
スバルは同年9月にインプレッサをマイナーチェンジ。そのマイナーチェンジしたクルマをベースに、WRX type RA STiというラリー用のベース車を、同年11月に販売。そのエンジンは出力が275PSに向上され、リアの駆動系を機械式LSDで強化、外装にはルーフベンチレーター(ラリーカーのルーフにある空気取り入れ口)を装備していた。
さらにWRX type RA STiを改良した、WRX STi Version IIを1995年8月に販売。スバルは、2年未満のうちに3つのホモロゲーションモデルを世に送り出した。
スバル インプレッサWRX STi主要諸元
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ホモロゲーションモデルをさらにSTIがチューンナップした限定車
ホモロゲーションモデルをさらにチューンした限定車
その後のインプレッサはWRX STiを、ランサーエボリューションと競うように、改良版を毎年販売した。それらのホモロゲーションモデル以外に、さらにSTIによってチューンされた数百台単位の限定モデルも数種販売している。1998年に販売された22B STi versionや、2002年に販売されたS201 STi versionなどである。STIが吟味した高性能なパーツで強化されるだけでなく、その製造に関しても手間をかけた作業となっており、まさにスペシャルなクルマだった。
歴代スバルインプレッサWRX STI販売時期
※赤い文字のものはホモロゲーションモデルではなく台数限定モデル・グレードなど。
1993年のWRC初優勝後のスバルは、トヨタ、三菱と拮抗する勢力までに成長する。1995年にはスバル初のドライバーズチャンピオンとマニファクチャラーチャンピオンの両方を獲得。特にマニファクチャラーチャンピオンは1997年までの3連覇を達成した。
ちなみに1997年からWRCのレギュレーションが変更され、グループAよりも改造範囲の広い「WRカー」が導入された。スバルは1997年からWRカーに対応するベース車として、インプレッサの2ドアクーペを採用している。その後、4ドアセダンや5ドアハッチバックなどとインプレッサは時代によってボディタイプを変更させながら、ドライバーズチャンピオンを2回獲得。しかし会社の経営状況から2008年を最後にWRCから撤退した。