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最終更新日:2020.02.20 公開日:2020.02.20

ホモロゲの先輩たち、1990-2000年代のWRCホモロゲモデルPart2セリカ&ファミリア編

東京オートサロン2020で発表されたGRヤリスは、トヨタがWRC出場に必要なホモロゲーションを取得するために販売するハイスペックなクルマだ。このようなクルマが、1990年-2000年代は各社から販売されていた。Part2では、この時代に発売されたトヨタ セリカとマツダ ファミリアのホモロゲーションモデルを紹介。

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日本車初のWRCチャンピオンマシン、セリカGT-FOUR

GT-FOUR RCの外装は、正面の開口部が大きくなったフロントバンパーと、エンジンフードにインタークーラー用のパワーバルジ+エアスクープ、そしてボディがワイドフェンダーとなっているのが特徴。写真は海外仕様のカルロス・サインツ リミテッドエディション。写真:トヨタUK

 トヨタがWRCのシリーズチャンピオンを目標とした参戦を始めたのは、グループA時代からだった。ベース車には4代目セリカ(ST165)が選ばれた。

 その4代目セリカに、トヨタ初の2リットル4気筒エンジンターボチャージャー+4WDを備えたGT-FOURというグレードが設定された。このGT-FOURをベースにしたラリーカーで、1990年にカルロス・サインツが日本車初のドライバーズチャンピオンを獲得。

1990年サファリラリーを走るセリカ(ST165)。カルロス・サインツがこのクルマで、ドライバーズチャンピオンを獲得する。写真:トヨタUK

 チャンピオン獲得の裏では次期WRCのベースマシンがすでに販売されていた。それが1989年に登場した5代目セリカ(ST185)。その5代目のGT-FOURに、大型インタークーラーや、機械式LSDなどの装備でさらに戦闘力を高めたホモロゲーションモデルが「GT-FOUR RC」。19919月に販売されたもので、RCは「ラリー・コンペティション」の略。海外ではGT-FOUR カルロス・サインツ リミテッドエディションとう車名だった。

 RCは1992年シーズンからWRCに投入され、同年から3年連続のドライバーズチャンピオン、そして19931994年には自動車メーカーに与えられるチャンピオンであるマニファクチャラーチャンピオンの連覇を果たす。

トヨタ セリカGT-FOUR RC主要諸元

販売時期:19919月 当時新車価格317.1万円(税抜)
型式:E-ST185H
全長×全幅×全高:4410×1745×1305mm
ホイールベース:2525 mm
車両重量:1460kg
乗車定員:5
エンジン:直列4気筒DOHC16バルブ インタークーラー付きターボチャージャー
エンジン型式:3S-GTE
排気量:1998cc
最高出力:173 kW235PS
最大トルク:304.0Nm31.0kgfm
トランスミッション:5MT
駆動方式:フルタイム4WD
LSD
:トルセン式
サスペンション(前、後):ストラット式、ストラット式
ブレーキ(前、後):ベンチレーテッドディスク、ディスク
タイヤサイズ(前、後):215/50R15215/50R15

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もう1台のホモロゲーションモデル、セリカ「WRC仕様」

もう1台のホモロゲーションモデル、セリカ「WRC仕様」

 大成功を収めたST165の後継者として、1993年10月にセリカはST205へとモデルチェンジ。1994年2月にホモロゲーションモデルであるGT-FOUR「WRC仕様」が2500台限定で販売された。

 WRC仕様の外装は、エンジンフードやフロントバンパーなどの形状が変更され、ワイドボディーになっていることは先代のST165型のホモロゲーションモデルと同じだが、エンジンフードを軽量なアルミへと材質変更し、リアウイングを大型化していることが特徴。

WRC仕様がリアウイングを大型化したのは、グループAのレギュレーションで外装の形状を変更する改造が許されなかったため。このリアウイングは1997年のマイナーチェンジで、他グレードのGT-FOURSS-IIIにも標準装備された。

トヨタ セリカGT-FOUR WRC仕様主要諸元

販売時期:19942月 当時新車価格327.1万円(税抜)
型式:E-ST205
全長×全幅×全高:4420×1750×1305mm
ホイールベース:2535 mm
車両重量:1380kg
乗車定員:5
エンジン:直列4気筒DOHC16バルブ インタークーラー付きターボチャージャー
エンジン型式:3S-GTE
排気量:1998cc
最高出力:188 kW255PS
最大トルク:304.0Nm31.0kgfm
トランスミッション:5MT
駆動方式:フルタイム4WD
LSD
:トルセン式
サスペンション(前、後):ストラット式、ストラット式
ブレーキ(前、後):ベンチレーテッドディスク、ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(前、後):215/50R16215/50R16

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グループNからAの過程で生まれたファミリアGT-R

グループNからAの過程で生まれたファミリアGT-R

ファミリアGT-Rの外装の特徴は、フォグランプを内蔵した大型フロントバンパーや、排熱のために設けられたエンジンフードの3連バルジが特徴。フェンダーにはモールアーチが追加されている。

 マツダのWRC参戦のきっかけは、ヨーロッパ各国のインポーター(輸入代理店)からの要望だった。1981年からWRCに参戦したが、その体制は日本が統括するワークスチームを組織するのでなく、インポーターが組織したプライベートチームを、日本から支援するというものだった。

 そのベース車には、「323」という名で輸出されていたファミリアが選ばれた。ファミリアには4WDを装備したグレード「GT-X」が存在し、これでグループAよりも改造範囲の狭い下位カテゴリーであるグループNに出場していた。

 1989年にフルモデルチェンジした7代目ファミリアとなってから、マツダのWRC参戦は大きな節目を迎える。グループN1989年にマニファクチャラーチャンピオン、1991年にドライバーズチャンピオンとなり、GT-Xの性能の高さが証明された。それならファミリアでグループAに参戦、という構想が持ち上がった。しかしグループAのトヨタ、三菱、スバルのクルマが2リットルエンジンなのに対して、ファミリアは1.8リットルという排気量だった。排気量差はエンジンパワーの優劣につながる。

1987年スウェデッシュラリーに参戦するマツダ3236代目ファミリア)。4WDが装備されたグレードGT-Xをベース車にして、WRCへ参戦していた。写真:マツダ

 そこで1992年に登場したのが「GT-R」だ。ターボチャージャーやインタークーラーを大型化し、チタン製コンロッドを採用するなどして、1.6リットルエンジンながら210PSというハイパワーを達成した。また駆動系も4WDにビスカスLSDで強化。ブレーキディスクの大型化や、ステアリングのギア比変更などといった強化も行っている。

マツダ ファミリアGT-R主要諸元

販売時期:19921月 当時新車価格248万円(税抜)
型式:E-BG8Z
全長×全幅×全高:4075×1690×1390mm
ホイールベース:2450 mm
車両重量:1210kg
乗車定員:5
エンジン:直列4気筒DOHC16バルブ インタークーラー付きターボチャージャー
エンジン型式:BP
排気量:1839cc
最高出力:154 kW210PS
最大トルク:250.1Nm25.5kgfm
トランスミッション:5MT
駆動方式:フルタイム4WD
LSD
:ビスカス式
サスペンション(前、後):ストラット式、ストラット式
ブレーキ(前、後):ベンチレーテッドディスク、ディスク
タイヤサイズ(前、後):195/50R15195/50R15

 ファミリアGT-R1993年からグループAへのワークス参戦を計画していたが、バブル崩壊の時期と重なってしまった。会社の経営状況からワークス参戦の計画は中止となる。しかしプライベーターたちがGT-R1993年のグループNに参戦させ、同クラスのドライバーズチャンピオンを獲得した。

次回、Part3はランサーエボリューション編

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