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最終更新日:2023.08.04 公開日:2023.08.02

電動キックボード、ヘルメット非着用で衝突するとどうなる? JAFの実験結果を紹介!

一般社団法人日本自動車連盟(JAF)は、電動キックボードが衝突した際に頭部にかかる衝撃について、実際に衝突実験を行いその結果を発表した。ヘルメット着用の重要性が分かる映像を"転倒時の頭部損傷値"と共に確認してみよう。

文=岩井リョースケ(KURU KURA)

7月1日からの改正道路交通法に合わせた実証実験!

この実験動画は公開から2週間で33万回以上再生されており、世間の関心がいかに高いかを物語っている。動画=JAF Channel

7月から改正道路交通法の一部が施行され、一部の電動キックボードで走行する際のヘルメット着用が”努力義務”に緩和され、安全性が疑問視されている。

JAFが今回行った実験では、電動キックボードが街中で遭遇しそうな3つの交通場面を再現し、それぞれ走行速度やヘルメット着用の有無で、衝突や転倒時の傷害などにどのような変化が起こるかを検証している。

写真=JAF

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ヘルメット非着用だと二次衝突時の死亡リスクが高くなる!

(1)縁石に乗り上げて転倒した場合

実験内容:ダミー人形を乗せた電動キックボードを時速20kmで高さ10cmの縁石に衝突させ、転倒時の頭部損傷値(HIC値※)を計測。

※HIC値とは、衝突や落下などの衝撃による脳や頭蓋骨への損傷程度を表す数値のこと。交通事故におけるケガのリスクに詳しい名古屋大学の水野教授によると、数値が1000を超えると脳傷害の可能性、3000を超えると非常に高い確率で重篤な傷害が発生するという。

結果:縁石に衝突して転倒したところ、ヘルメット着用時のHIC値が1231.8に対し、非着用時は7766.2と約6.3倍になり、重篤な頭部損傷になるリスクや死亡するリスクが高い結果が出ている。

ヘルメット着用(左上写真)とヘルメット非着用(右上写真)で比較検証。前輪が縁石を乗り上げ、ダミー人形が前方に転倒、頭部を地面に叩きつけられた。

(2)歩行者や自転車に衝突した場合

実験内容:ダミー人形を乗せた電動キックボードを時速6kmと時速20kmで、静止している歩行者と自転車に衝突させた。

結果1:歩行者に時速6kmで衝突した場合でも、歩行者の一次衝突(衝突した瞬間)のHIC値は9.9、二次衝突(転倒して地面に打ち付けた瞬間)のHIC値は4351.8と大きなものであった。時速20kmの場合はさらに大きな損傷値となる。衝突された歩行者側が、非常に大きな被害を受ける結果となった。

歩行者に電動キックボードが衝突した場合。衝突後に歩行者を押し倒して転倒。歩行者は転倒して後頭部を地面に叩きつけられた。電動キックボードのドライバーも前方に倒れ、頭部を地面に打ち付けた。

結果2:自転車に電動キックボードが衝突する実験では、双方にヘルメットを着用させたところ、時速20kmで自転車に衝突した際の自転車の二次衝突時の508.9が最大値となった。ヘルメット着用が大きな効果を持つことを示す結果となった。

自転車に電動キックボードが衝突した場合。歩行者の左腕に衝突後、歩行者を押し倒して転倒。自転車は転倒してドライバーは後頭部を地面に叩きつけられた。電動キックボードのドライバーも前方に倒れ、頭部を地面に打ち付けた。

(3)自動車に衝突した場合

実験内容:ダミー人形を乗せた電動キックボードを時速20kmで、静止している自動車に衝突させた。

結果:電動キックボードでのヘルメット着用での二次衝突時のHIC値が147.9に対し、非着用時での二次衝突時は6346.3と、大怪我や死亡のリスクが高い結果が出ている。

自動車に衝突した際の危険性について。ヘルメット着用の場合、衝突後ドライバーは前方に倒れ、自動車のピラーに頭部をぶつけた。その後、お尻から地面にうちつけ、頭部を地面に叩きつけた。

ヘルメットは必ず着用すべし!

今回のJAFのユーザーテストにより、電動キックボードが対象物に一次衝突したときよりも、転倒して地面に二次衝突したときのほうがHIC値が高くなることが明らかとなった。

電動キックボード(特定小型原付の場合)は、16歳以上であれば免許不要で乗れる便利な乗り物であると同時に、走行中に転倒して地面に頭を打ち付けた場合、深刻な事故につながる可能性が高いため、ヘルメット着用は重要な役割を持っている。電動キックボードに乗る際には、ヘルメットを正しく着用し(あご紐を確実に締めるなど)、交通ルールやマナーを守り、安全に走行しよう。

ヘルメットの安全性について。自動車と縁石に時速20kmで衝突した場合(二次衝突)のHIC値比較

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