第7世代ドラレコ「ドラドラまるっと」、その特徴に迫る
JAFメディアワークスのドライブレコーダー第7世代「ドラドラまるっと」。2つのフルHDカメラを搭載し、水平方向360度の全周囲を高解像度で撮影可能だ。側面を走行するバイクや自転車、後方からの追突やあおり運転も確実に録画。その機能に迫る!
水平方向360度・垂直方向80度の広画角をフルHDで撮影!
ドライブレコーダー「ドラドラ」シリーズの第7世代「ドラドラまるっと(DD-W01)」最大の機能は、その名の通りに水平方向全周囲をまるっと撮影できること。前方はもちろん、側面衝突やサイドの当て逃げ、追突やあおり運転などにも対応している。
水平方向全周囲というと、じゃあ「上下は360度じゃないんだね」と突っ込まれそうだが、ここがこだわりの全周囲機「ドラドラまるっと」のポイントのひとつ。垂直方向を360度にすると、その大部分は不必要な天井やフロアなどの画像になってしまう。そこで、不要な部分は映さないよう上下は80度に調節してあるのだ。これによってカメラの能力を必要なところに集中でき、見たいところをよりしっかりと記録できる。
また、夜になると暗くなる天井やフロアを映さないことで、映像の黒つぶれや、白とびの発生を減らせるメリットもある。
カメラはソニー製2K対応CMOSセンサーを前後に2つ搭載。その解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)×2だ。全周囲機の中にはひとつのレンズで360度を押さえるタイプもあるが、2レンズタイプの方が有利なのは理解できるだろう。下の動画は昼間撮影したものだ。
もちろん、夜間の撮影も心配ない。暗い場所での撮影に定評のあるソニー製センサーの威力と、さらにWDR/HDR(※1)による明るさ補正も行っている。
実はここにも「ドラドラまるっと」のこだわりがあり、まずは暗所に強いセンサーを使い、それでも足りないところをWDR/HDRで補正するという思想で設計された。というのも、WDR/HDRの補正は黒つぶれや白とび防止には有効だが、強く利かせると見た目が平板な画像になりやすい。つまり、見た目もきれいな画像を求めるなら、WDR/HDRに頼りすぎない方がよいわけだ。そこで「ドラドラまるっと」では、まずセンサーの性能にしっかりとこだわった。それがわかりやすいのが、夜間に撮影した下の動画だ。
取り付けはフロントウインドーに貼るだけでとても簡単
ドライブレコーダーの取り付けというと、ETC車載器を取り付けるような、素人では難しそうなイメージを持っている人も多いはず。ところが「ドラドラまるっと」は工具不要で、ブラケットの両面テープでフロントウインドーに接着するだけ(詳しくは以下の通り)。運転の妨げにならないようにケーブルをシガーソケットまで取り回すのが難しく感じるかもしれないが、やってみると意外と簡単である。
(1)フロントウインドーに両面テープを貼ってブラケットを取り付ける
(2)ブラケットに本体を取り付ける(つまみネジで固定)
(3)電源ケーブルを本体に接続する
(4)電源ケーブルを運転の妨げにならないように車内を取り回す
(5)シガーソケットに接続
簡単取り付けガイドもYouTubeに公式動画としてアップしているので、スマホで確認しながらの取り付けもできる。ただし1点だけ注意が必要なのが取り付ける位置。法令によって定められており、フロントウインドー上端部から、ガラスの上下の長さの5分の1以内となっている。この範囲で、できるだけ左右中央付近に取り付けるのがポイントである。
取付位置はセンターよりも助手席側がベター
最近のクルマは、被害軽減ブレーキなどのセンサーがルームミラーの周辺に装備されていることがある。その場合は車両のセンサー類の近くを避け、少し助手席寄りに取り付けよう(運転席から見てルームミラーの死角になるぐらいの位置)。従来型のドライブレコーダーでは、取付位置が中央から離れるほど、側面の一方に記録できない部分が増えてしまうが、その点「ドラドラまるっと」ならどこへ付けてもすべて撮影できるので、少々取り付け位置が左右にずれても大きな問題はない。これも全周囲型の有利な点だろう。
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「ドラドラまるっと」ならではの録画方式の特徴や連携アプリについて!
録画はエンジンを始動して切るまでをシームレスに
「ドラドラまるっと」には、電源スイッチのようなものはない。クルマのキーをONにすると(今はスイッチも多いが)同時に電源が入り、しばらくしたら録画がスタート。クルマのキーをOFFにすると、必要なシャットダウン処理を行った後、自動的に電源が切れる。つまり、一度取り付けてしまえば、普段のドライブでは基本的には何もすることはない。
しかも、連続録画は複数のファイルに分けて行うのではなく、独自開発のシームレス方式を採用。エンジンをかけてから切るまでを独自のTOF形式によるひとつの動画ファイルとして保存する。これにより、常時録画を複数のファイルに分けて記録するタイプのドライブレコーダーでは発生することもあった、ファイル間の画像の抜け、いわゆるファイル間ギャップが原理的に発生しないようになっている。肝心な場面が記録されていなかった、という事態が起きない仕組みになっているのだ。
イベント録画は内蔵Gセンサーにより自動でスタート
録画機能は、常時録画に加えてイベント録画も備えており、内蔵Gセンサーにより衝撃を自動検知するか、本体の赤いボタンを押すことで、前15秒間と後10秒間をイベント録画として保存するようになっている。
また保存されたイベント録画は、独自の波形解析アルゴリズムにより、「急ブレーキ」、「急ハンドル」、「急加速」の3種類に自動振り分けが行われ、それをドライバーに音声で教えてくれる(設定で止めることもできる)。自分の運転はもちろん、ちょっと運転が気になる家族の運転状況を確認するのにも活用できる機能だ。
SDカードに優しくて、フォーマットも不必要
また、映像ファイルを過度に上書きしない設計なので、SDカードに優しいのも特徴。実は、動画ファイルという大容量データを何度も上書きするドライブレコーダーは、SDカードにとっては非常に厳しい条件のデバイスである。ドラドラはそこを少しでもいたわって扱うことで、消耗品であるSDカードを長持ちさせる配慮がされている。
さらにSDカードの負担の軽減という点では、独自のフォーマットの仕組みを採用している点もこだわりのポイント。このおかげで、まず最初にフォーマットをする必要もないし、その後も定期的にフォーマットする必要がない。
実はこのフォーマット忘れの問題は、昨年、国民生活センターから発表されたドライブレコーダーのレポートでも注意点として強く挙げられていたもので、肝心なときに録画がされていない原因のひとつとされていた。この点で、「ドラドラまるっと」は、少なくともフォーマット忘れによる録画ミスは起こり得ない。地味かもしれないが、ユーザーにとっては安心感の大きい実用本位の機能であるといえるだろう。
とはいえ、SDカードが消耗品であることには変わりがない。SDカードに優しい設計がなされた「ドラドラまるっと」であっても、使っていると必ずSDカードの寿命はくる。もちろんその際には、エラーランプやエラー音で伝えてくれる仕組みになっているが、確実な記録のために、定期的な映像チェックは忘れないようにしてほしい。
スマホ専用アプリ「ドラドラLive」が便利度アップ
iOS(※2)およびAndroid(※3)用の専用スマートフォンアプリ「ドラドラLive」を使用すれば、Wi-Fiを通じて本体の設定が可能だ。さらにSDカードの抜き差しなしで、スマートフォンからイベント録画の映像を確認したり、ダウンロードすることもできる(現状、常時録画の映像はアプリからは見たりダウンロードできない)。さらに、「ドラドラまるっと」のカメラが映す映像を、ほぼリアルタイムでスマホで見ることもできる(※4)。
またアプリ初心者の方には、YouTube動画「ドラドラまるっと(DD-W01)専用アプリ『ドラドラLive』使い方ガイド」も用意されている。
PC用専用ビュアーなら前後の映像を同時再生可能
公式サイトからダウンロード可能なPC用の専用ビュアーも用意されている。「ドラドラまるっと」にはGPSが搭載されているので、位置および速度情報を取得可能。この専用ビュアーで録画地点の緯度経度情報を確認することが可能だ。また、前方映像と後方映像の同時再生も可能となっている。
さらにSDカードに記録された映像から、任意の部分を指定してMP4形式の動画ファイルを保存することもできる。ちなみにSDカードに記録されたTOF形式の動画ファイルは専用ビュアーでのみ再生可能だ。
こだわりの全周囲機「ドラドラまるっと」は、従来のドライブレコーダーの弱点を克服し、さらに可能性を広げた1台といえる。価格は3万9800円+消費税と少し高めではあるが、新しいドライブレコーダー体験ができることを考えれば、検討の1台に加えてみてはいかがだろうか。
購入は、通販サイト「JAF通販紀行」もしくはAmazonで可能だ(品切れの場合もあり)。現在、基本的に店舗販売はなく、入手経路が限られているレア感の高い機種であることも、僕のようなマニアックな人間にはポイントかも。