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最終更新日:2019.06.14 公開日:2019.06.14

災害食がおいしく進化!災害食大賞2019受賞食品を試食してみた。

昨今の防災意識の高まりから、災害食を備蓄している人も増えてきたようだ。災害食は長期間の賞味期限を保証するだけでなく「美味しく食べ慣れた味」を目指して進化しているようだ。そんな災害食の中から災害食大賞2019を受賞した食品を紹介しよう。

 一般社団法人 防災安全協会は6月6日、東京ビッグサイトで開催された「2019防災産業展」において、「災害食大賞2019」の表彰式を実施した。

災害食大賞とは?

災害食大賞2019の受賞食品の表彰式の様子。

 災害食大賞とは、「うまみ部門」「アレルギー対応部門」「新製品・開発部門」「インバウンド食ハラール対応部門」の各部門において、最も優れた非常食・災害食に贈られるアワード。

 4年目となる今年は、エントリーした33社70製品の中から各部門の専門家である審査員によって、金賞・銀賞・銅賞が選出された。同会場で試食が供されていた一部受賞食品の味をレポートしよう(全受賞結果は本記事最下部に示した)。

うまみ部門・金賞「そのまんまOKカレー」(賞味期限5年)・三徳屋株式会社 

うまみ部門・金賞を受賞した「そのまんまOKカレー」。黄色のパッケージが甘口、赤色が中辛である。

 金賞を受賞した「そのまんまOKカレー」は、温めなくてもそのまま食べられるという特徴からネーミングされたカレーである。パッケージを見ると、通常のレトルトカレーのようだが、どんな違いがあるのだろう。

そのまんまOKカレーの中辛。パッケージからお皿に移したそのままの状態でご飯とカレーが混ざっている。

 さっそく試食してみよう。

 「む! こ、これは! ご飯が混ざったカレーだ。とろみがあって食べやすいカレーリゾットという感じ。袋から出したままの状態とは思えない美味しさである。災害食というよりは”いつもの”カレーの味である。」

 食べてみてもいつものカレーと違いは感じられないので、三徳屋の担当者に尋ねてみた。するとこの”いつもの”カレーであることに秘密が隠されているという。

 三徳屋によると「通常のカレーは動物性油脂を使用しているので、常温で保存していると油脂が固まってカレーのとろみがなくなり食べにくくなってしまう。しかし、同商品は植物性の油脂を使用することで常温でも固まらず、とろみのあるカレーを楽しむことができる」のだという。

 災害時にコンロやお湯が使えない状況では、カレーを温めることができない。固まったままでは食べにくく、いつも通り美味しく食べられないだろう。そんな時でも同商品は、いつものとろみで美味しく食べられるのだ。

 同社はさらにカレールーに混ざったご飯にも秘密があるとコメント。

「実はこのご飯はお米ではなく、こんにゃくのでんぷんを加工したこんにゃく米。通常のお米をルーに混ぜると柔らかくなり過ぎてしまうが、こんにゃく米は粒が残るのでいつものお米の食感を楽しめる」と教えてくれた。

 こんにゃく米というと香りが気になりそうなものだが、食べた感じはまさにお米。言われなければ気づけなかった。

うまみ部門・銀賞「Hot!ぐるべん7 備蓄王 鶏そぼろ玉子とじ丼」(賞味期限7年)・株式会社非常食研究所 

うまみ部門・銀賞を受賞した「Hot!ぐるべん7 備蓄王 鶏そぼろ玉子とじ丼」。一般的な駅弁と同じくらいの大きさ。

 銀賞を受賞した「Hot!ぐるべん7 備蓄王 鶏そぼろ玉子とじ丼」は、駅弁などで見かけるような本体付属のヒモを引っ張ることで発熱して温まるタイプの備蓄食。

緑色のごはんの袋の下に仕切りがあり、発熱剤が入っている2層構造。

赤いヒモを引っ張ることで発熱する仕組み。

 写真のように、器が2層になっていて下の部分に発熱剤が入っている。ヒモを引っ張って8分で温まり、発熱剤の温かさは3時間ほど持続するという。残念ながら今回は、温まった状態を食べることはできなかったのだが、試食してみた。

 「うん。甘口の玉子とじと鶏そぼろの旨味がマッチして美味しい! もし温かくなっていれば一層美味しく感じられるだろう」

 非常食研究所の担当者によると「被災地にこの商品を支給した時に、温かくなることでたくさんの方に喜んでいただいた。カイロ代わりに抱きかかえていたおばあちゃんもいた」そうだ。

 なかなか温かい食事をすることのできない災害時において、胃袋を満たすだけでなく、温かさで心の疲れも癒してくれるようだ。

インバウンド食ハラール対応部門・特別賞「農協の飲めるごはん」(賞味期限5年)・北大阪農業協同組合 

インバウンド食ハラール対応部門・特別賞を受賞した「農協の飲めるごはん」。細めの缶に入っている。

 特別賞を受賞した「農協の飲めるごはん」は、米、はとむぎ、小豆を主原料とした穀物飲料。水分が貴重な被災地において、ビスケットや乾パンなどは食べにくかったことから、子どもや高齢者でも食べやすく、水分も摂取できる食事として開発されたという。さっそく試食ならぬ試飲をしてみよう。

 「ゴクリ。甘くて美味しい! 食感は甘酒とおかゆの中間くらいで柔らかく、優しい甘さの中に風味を感じる」

 同商品の風味は、ココア、シナモン、梅こんぶ茶の3種類。どれも素材の甘さの中に風味を感じる優しい味だ。

 北大阪農協によると「コーヒーやジュースなどと同様の飲料用の缶に入っているので、保存や持ち運びに適している。被災者が避難所に移動する際や帰宅困難者が徒歩で帰宅する際などに、カバンに入れて携行できるメリットがある」という。

インバウンド食ハラール対応部門・特別賞「揖保乃糸 防災食 にゅうめん」(賞味期限3年)・マルキ株式会社

インバウンド食ハラール対応部門・特別賞を受賞した「揖保乃糸 防災食 にゅうめん」。

容器と割りばしも入っているので、お湯さえあればすぐに食べることができる。

 特別賞を受賞した「揖保乃糸 防災食 にゅうめん」は、手延べそうめんで有名な「揖保乃糸」を使った防災用にゅうめんセット。銀色のアルミフィルム包装の中に乾燥麺、スープ、折り畳み式の紙容器、割りばしが入っている。

容器を組み立てて乾燥麺を入れた状態。ここにお湯を注いで3分待つ。

 作り方は一般的なカッブヌードルと同じで、組み立てた容器に乾燥麺を入れお湯を注いで3分待ち、お湯にスープを溶かすだけである。果たしてにゅうめんの味はどうだろうか。

 「美味しい! 普段から食べている揖保乃糸と同じ味だ。スープはしょうゆ味のシンプルなもので、災害時に食べたらホッとしそうである」

 マルキによると「東日本大震災の直後に、市販用の即席にゅうめんを仙台に届けたところ非常に喜ばれた。それを機に開発を始め、従来は半年だった賞味期限を、アルミフィルムのパッケージにすることで3年まで延ばした」そうだ。

 また、同封された折り畳み式の紙容器もこだわりで、ゴミ処理時にかさばらないこと、運搬時にも省スペースであるというメリットがあるという。

 このように、近年の災害食は栄養を補給できるだけでなく、温かさや食べなれた美味しさで心のケアも考えた食品に進化していた。災害食の賞味期限は3~5年。富士経済によると、2021年に多くの災害食が買い替え時期を迎えるという。万が一に備えて災害食を備蓄し、買い替えの時に、備蓄していた災害食を美味しく食べる「ローリングストック」を繰り返しながら、災害に備える心を忘れずに過ごしたい。

災害食大賞2019 受賞食品一覧

1.うまみ部門

金賞「そのまんまOKカレー」 三徳屋株式会社
銀賞「Hotぐるべん7備蓄王鶏そぼろ玉子とじ丼」 株式会社非常食研究所
銅賞「忍者食 ひじきごぼうごはん」 株式会社味きっこう
奨励賞:「野菜一日これ一本 長期保存」 カゴメ株式会社
奨励賞:「ペコちゃんどこでもビスケット保存缶」 株式会社不二家

2.アレルギー対応部門

金賞「美味しい防災食 赤魚の煮付」 アルファフーズ株式会社
銀賞「えいようかん」 井村屋株式会社
銅賞「災害備蓄用 焚黒糖 上野佐藤株式会社
銅賞「備蓄氷糖」 中日本氷糖株式会社

3.新製品・セット部門

金賞「アイクレオ赤ちゃんミルク 江崎グリコ株式会社
銀賞(辞退)「明治ほほえみらくらくミルク 株式会社明治
銅賞「にんじん だしがゆ~リゾット風~トマト味」 株式会社ユニーク総合防災
奨励賞「しっかりまんぞく。非常食セット3日分」 ファシル株式会社

4.インバウンド食ハラール対応部門

金賞「災害用備蓄食(ハラール対応食セット)」 日乃本食産株式会社
銀賞「5095(プレミアムスピリナ)」 ニュージーランドプラス
銅賞「ハラール対応・7年保存3日分食品セット」 グリーンデザイン&コンサルティング株式会社
奨励賞「ハラール筑前煮」 アルファフーズ株式会社
特別賞「農協の飲めるごはん」 北大阪農業協同組合
特別賞「揖保乃糸 防災食にゅうめん」 マルキ株式会社
特別賞「inゼリー」 森永製菓株式会社

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