ヴァレオジャパン「幼児置き去り検知システム」を日本初展示。【人とくるまのテクノロジー展2019】
車内に置き去りされた幼児が熱中症で死亡する事故が発生するなど、幼児の車内置き去りが問題となっている。そんな問題を解決すべく開発された「幼児置き去り検知システム」を紹介しよう。
ヴァレオジャパンは5月22日~24日の3日間、自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展2019 横浜」において「幼児置き去り検知システム」を展示した。
幼児置き去り検知システムとは
幼児置き去り検知システムは、車内の天井に設置する小型のレーダーセンサー。77~81GHzの周波数帯の電波を発信し、人体など水分を含む対象物に反射して戻ってきた電波を受信・分析する。その精度は高く、0.1mm単位の動きを検知。呼吸による胸部の動きなどから生体であるかを判断できるという。
赤外線による体温検知では車内温度が高温になった時、生体の体温を判別できない。また、カメラによる動体検知では、カメラの死角を検知することができなかった。しかしミリ波なら、温度変化に影響されずかつ可視光と比べて透過性があり、壁や衣服、紙、プラスチックなどで遮られていても対象物まで電波が届くという。例えば、幼児が毛布に包まれた状態で置き去りにされていたり、ペットがケージに入れられたまま置き去りにされている場合でも、その存在を検知することができるのだ。
小型センサー1台で2列シートの範囲をカバー
ミリ波レーダーで検知したあとのシステムの反応はまだ検討段階だが。車内に取り残された幼児やペットなどの生体を検知したまま、一定時間が経過すると、ドライバーの持つスマートフォンにアラートを発信する。車外の人に危険を知らせるため、ハザードランプを点灯するなどの方法で幼児やペットの車内置き去りによる事故の防止を考えているという。
また、下向きに160度の範囲にある生体を検知できるので、同システム1台で通常の2列シートの車両をカバーできる。さらに使用している電波の波長が短いため、アンテナの小型化が可能で設置スペースを小さくできるメリットもあるそうだ。
欧州の自動車安全性評価試験である「Euro-NCAP」では、2022年から幼児置き去りを検知するシステムの搭載有無をテスト項目に追加する予定。ヴァレオジャパンでは、2022年ごろの製品化を目指しているという。