「クイックアタッカー」や「火災調査車」など。日本最強の装備を誇る東京消防庁の消防車に迫ってみた! その2
日本で最も装備と人員が充実した消防組織、東京消防庁。その2で取り上げるのは、ポンプ車やはしご車といった主力の消防車が活躍するための支援車輌と消火活動の指揮拠点となる指揮車、そして特殊な消防車両などだ。
2018年4月1日現在、1977台の消防車・救急車を配備する東京消防庁。その中には、8機の消防ヘリ、10艇の消防艇も含まれる。この中に含まれないのが、無人走行放水設備(ロボット消防車)が4組(2台1組)とドローン2台などもある。
今回は、消防車両のうち、指揮車輌や支援車両など、7種類の車両をピックアップ。撮影は、2019年1月6日に東京ビッグサイトで行われた出初め式およびその一環として実施された車両広報展示にて行った。
2台1組のオフロードバイクで編成される「クイックアタッカー」
渋滞の発生している高速道路や、狭くアップダウンの厳しい山間地域など、大型の消防車では現場到着に時間がかかったり、近づくこと自体が難しかったりする場合もある。そうした状況に備え、真っ先に現場に入って初期消火や救助・救急活動を行えるようにと、1997年に結成されたのが消防活動二輪車、通称「クイックアタッカー」だ。オフロードバイク2台1組で編成されている。その通称は、火災に素早く立ち向かい、迅速な消防活動を行うことから命名された。
2台1組の理由は、それぞれ装備が異なるからだ。I型(1号車)は可搬式消火器具「インパルス銃」を装備。II型(2号車)は、簡易救助器具、消火器、応急救護資機材などだ。主に高速道路の出入り口が付近にある消防署や山間部に近い八王子消防署などに配備されている。
広域的な災害時でも指揮本部が運用する「指揮統制車」
「指揮統制車」は、各種災害現場において指揮本部が運用したり、広域消防支援に用いられたりする指揮系の車両だ。車両総重量14トン級トラックをベースとした高床四輪駆動車となっている。後部に乗員室が架装されており、トイレや給水設備なども装備。
指揮系の車両としては、ほかにもトヨタ「ハイエース」などの9人乗りワンボックス型車両をベースに、無線機架台や指揮台などを装備した「指揮隊車」もある。
火災現場で発生原因の調査を行う「火災調査車」
火災の発生現場において、その原因を調査するための専用車両。発電機やエアコンプレッサーなどを初め、調査に必要な資機材を搭載している。反転式の座席および折り畳み式のテーブル、窓にはプライバシーを確保するためのカーテンなどが用意されており、関係者からの状況聴取や供述書の作成、資料分析などを行えるようになっている。普通免許(AT限定)で運転可能。調査現場で電動工具類を使用できるよう、車内と車体側面にAC100Vコンセントも備えられている。
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続いては「照明電源車(小型)」や「資材搬送車」などを紹介!
夜間の火災現場における消火・救助活動を支える「照明電源車(小型)」
「照明電源車(小型)」は、夜間の災害・事故現場を照らして消火・救助活動をしやすくするための車両だ。装備した発電機により電動の消防・救助用機器に電力を供給することも可能。従来の「照明電源車」は全長約6710×全幅約2350×全高約3450mm、総重量約9825kgと大型だったが、小型化したことで取り回しがよくなったという。
1万Lという大量の消火用水を輸送できる「10トン水槽車」
「10トン水槽車」は、その名の通り10トン=1万Lの消火用水を運ぶことが可能だ。これにより近場に消火栓などのない山間部や高速道路上での火災、または震災が発生した際に消火用水を輸送できる。車両後部の水槽はステンレス製。また可搬式動力ポンプおよび放水銃を装備している。
サンダーバード2号のようにコンテナごと資機材を運べる「資材搬送車」
「資材搬送車」の大きな特徴は、コンテナ着脱装置を備えていること。災害や事故の状況に合わせ、一般的な内容の一般救助用コンテナ、小型コンテナ、危険物用コンテナの3種類から選択して搭載できる仕組みを持つ。コンテナを取り替えるだけなので、たとえていうなら”走るサンダーバード2号”ともいうべき支援車両だ。
また、全長約8600×全幅約2500×全高約3100mm、総重量14500kgという「大型資材搬送車」もある。こちらもコンテナ着脱装置を備えており、一般救助用、小型、ロボット用、危険物用、粉末消火薬剤放射装置の5種類がある。ロボット用とは、消防ロボット「無人走行放水車装備(デュアルファイター)」の「無人走行放水車ドラゴン」と「障害物除去車セーバー」のコンビの搬送用だ。
油圧リフト付きで特殊なストレッチャーも積載可能な「特殊救急車」
「特殊救急車」は、感染傷病者搬送用のカプセル型ストレッチャーおよび体重のある傷病者に対応したストレッチャーを後部ドアから積載できるよう、油圧式リフトを備えた大型救急車だ。
また展示車両はマイクロバスがベースだが、さらに大型のトラックベースの全長約1100×全幅約2500×全高3780mm、総重量1万9000kgの「特殊救急車」もある。こちらは通称「スーパーアンビュランス」と呼ばれている。
どのような状況下でも確実に現場に駆けつけ、市民の命と財産を守れるよう、東京消防庁はさまざまな車両を開発して配備してきた。
危険な火災や災害の最前線で活躍するのはポンプ車やはしご車。そしてその活躍を支えているのが、今回紹介した指揮車や支援車である。東京は、こうした頼りになる日本最強の装備で守られているのだ。
その1とその2で紹介した以外にもまだまださまざまな用途の消防車がある。今後、近くの消防署の前を通るときは、どのような消防車が配備されているのか、あなたもぜひチェックしてみてほしい。