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最終更新日:2023.06.21 公開日:2019.04.23

動画で”聞く”、お台場にしみ入る「リーフ NISMO RC」の静けさ【モータースポーツジャパン2019】

首都圏最大級のモータースポーツ系イベントである「モータースポーツジャパン2019 フェスティバル・イン・お台場」。4月6日(土)・7日(日)にお台場で開催され、日産が走らせた1台が、2代目「リーフ」をベースにした「リーフ NISMO RC」。純然たるEVレーシングカーのその静けさを動画でお見せする。

デモ走行を行った日産「リーフ NISMO RC」。とても静かでインバーター音と、タイヤに張り付いた小石が立てる音、タイヤがスリップしたときの音ぐらいしか聞こえない。将来的には、エキゾースト・ノートではなく、インバーター音がレースの醍醐味のひとつになる?

 モータースポーツの魅力のひとつが、大迫力のエキゾースト・ノート。しかし時代も変わり、”EVのF1″といわれる「フォーミュラE」のように、エンジンの爆音が轟かないメジャーな国際レースも開催されるようになってきた。

 国内では、今のところメジャーなEVレースは開催されていないが、将来的には既存のレースの中にEVクラスが設定されたり、さらにはEVオンリーのレースも開催されたりするようになるかもしれない。そんな想像が膨らんでしまうのが、日産「リーフ NISMO RC」だ。

日産は2011年からEVレーシングカーを開発してきた

 そうした中、日産は初代「リーフ」の頃から、モータースポーツ部門NISMOが持てるレーシングテクノロジーを注ぎ込んだレーシングカーを開発してきた。そして2018年12月に発表したのが、現行「リーフ」をベースとした2代目「リーフ NISMO RC」だ(※1)。2018年12月にフジスピードウェイで開催されたNISMOフェスティバルに続き、その2代目がデモ走行を行った。

※1 別記事『日産リーフのレーシングカー登場。ニスモの「走り」へのこだわりが、たくさん詰まったその中身とは。

初代「リーフ NISMO RC」。2011年4月のニューヨーク国際オートショーで初披露され、同年のル・マン24時間レースでデモランを行った。バッテリー、インバーター、モーターなどの主要機器の搭載位置を、ベースとなった市販「リーフ」から車体中央の重心に近い位置に変更している。

2代目「リーフ NISMO RC」。全長4546mm、全高1212mm、ホイールベース2750mm、最高出力240kW(120kWモーターを2基、前後に搭載)、最大トルク640N・m。どちらも初代の2倍以上となった。車重1220kg。時速0→100km加速3.4秒(初代の約半分)。

将来のモータースポーツではインバーター音を堪能する!?

 初代のときから開発ドライバーを担当しているのが、スーパーGTなどで日産のエースとして活躍している松田次生選手。今回のデモランも自らステアリングを握って、2代目「リーフ NISMO RC」のその静かな走りを披露した。

 松田選手はデモ走行エリアを一回りした後に一度降りて、ステージに登壇。MC担当のモータースポーツ系フリーアナウンサーのピエール北川氏と共に、「リーフ NISMO RC」の特徴や将来のモータースポーツについて語った。

 その中で、松田選手は「インバーター音に注目してください」とコメント。インバーターとは、モーターの回転数の制御に使用されている電源回路のこと。動画で「リーフ NISMO RC」が走行時に発生させている高い音が、そのインバーターの音である。さらに松田選手は、「将来は”ドレミファ・インバーター”(※1)のようなEVレーシングカーも出てくるかもしれませんね(笑)」など、鉄道マニアぶりも披露した。

 そのインバーター音と、タイヤが小石などを拾う音がよく聞こえるほど静かな「リーフ NISMO RC」の走りを動画でご覧いただきたい。

※1 電車もモーター駆動のため、インバーターを搭載している。モーターの制御の仕方は、インバーターやモーターのメーカーによってそれぞれ異なり、一部の電車は加速していく際に、シフトアップするようにインバーター音の音階が数段階にわたって上がっていくという特徴を持つ。それが”ドレミファ”のように聞こえることから、日本の鉄道ファンが「ドレミファ・インバーター」と呼ぶようになったといわれる。

松田次生選手による、「リーフ NISMO RC」のデモ走行の様子。これだけ静かだと、大都市の公道を利用したレースでも開催しやすくなるはずだ。もしかしたら20xx年には、日本全国の大都市を回る”スーパーEV-GT”なんてレースが開催されてるようになるかも!?


 EVレーシングカーは、静かすぎて物足りないと感じてしまう人もいるかと思う。しかしフォーミュラEはその静かさをプラスにとらえ、通常は開催しにくい大都市の公道を閉鎖して特設したシティサーキットで全戦を開催している。

 日本の場合、サーキットまで足を運ぶとなると、どうしても大都市圏からは距離があるため、軽い気持ちでは出かけにくい。しかし、レースが逆に各地の主要都市にやってきてくれたら、もっと気軽に見られることだろう。EVレーシングカーによる、1年かけて日本の主要都市を回るようなレースが開催できたらおもしろい。いろいろな可能性を思わずにはいられない「リーフ NISMO RC」の静けさであった。

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