タンポポでタイヤができる?コンチネンタルがタンポポゴムの研究所を開設。
タンポポと聞くと、春に咲く黄色くて小さな花で草笛にしたり、綿毛を飛ばしたりと子どもの頃に頻繁に遊んだ可愛い花のイメージを抱くのが普通だろう。そんなタンポポは、なんと近年では、天然ゴムの原料にする研究が行われているという。タンポポから天然ゴムが抽出できるとは全く想像できない。どういうことだろうか。
タイヤメーカーとして知られるコンチネンタル(ドイツ)は昨年12月6日、タンポポゴムの研究所「Taraxagum Lab Anklam (タラクサガム・ラボ・アンクラム)」を、ドイツのアンクラム(メクレンブルク=フォアポンメルン州)に開設したと発表した。同研究所では、天然ゴムの原材料であるパラゴムノキの代替原料として、ロシアタンポポを活用する研究開発が行われるという。
タンポポから天然ゴムができる?
そもそもタイヤのゴムは、主に東南アジアの熱帯地域で生育する「パラゴムノキ」の樹液から抽出した天然ゴムを原材料として作られている。しかし、熱帯でしか生育できないというパラゴムノキの性質から、年々拡大する天然ゴムの需要に対して、不作による供給不安や輸送コストの増加、輸送時の環境負荷、さらには生育地である熱帯雨林の環境破壊などのリスクが懸念されている。
そんな中、パラゴムノキに代わる原料として注目されたのが「ロシアンタンポポ」である。ロシアンタンポポの根から採れる白色の液に、従来の天然ゴムと同等の性質を持つ成分が含まれていることが分かった。さらにロシアンタンポポは、熱帯気候以外の場所でも生育可能。世界の多くの地域で天然ゴムを採取することが可能なのだという。
タンポポゴムでトレッド完成!
同社はこれまでも、米・オハイオ州立大学の研究チーム、ブリヂストンなどのメーカーが参画する産学連携コンソーシアム「PENRA」をはじめとするさまざまな研究プロジェクトに参画。2014年には、100%タンポポゴム由来のトレッドを採用した冬用タイヤのサンプルを完成させ、路面テストを実施した。さらに、2016年には、タンポポゴムから作られたトレッドを使ったトラック用タイヤを発表している。
コンチネンタルタイヤ部門プレジデントのニコライ・ゼッツァーは「ロシアタンポポは、従来の天然ゴムの原材料であるパラゴムノキに代わる重要な原材料。今後想定されている天然ゴムの需要増に対して、環境に優しく安定的に対応できる」とコメントした。
同研究所では、農業科学や化学、生産や工程技術を専門とする約20名の研究者が、ロシアタンポポの栽培、加工に使用する機械の開発の研究を行っている。ロシアタンポポを原材料とした天然ゴムの量産化を10年以内に実現することを目指す。