“空飛ぶタクシー”実現化への大きな一歩。ボーイングが飛行試験に成功
アメリカの航空機大手メーカー、ボーイングは1月23日、自律飛行可能な電動有人機(Autonomous Passenger Air Vehicle=PAV)、いわゆる“空飛ぶタクシー”の初の飛行試験に成功したと発表した。
まるで巨大なドローン
今回テスト飛行に成功したPAVは、ボーイングの子会社であるオーロラ・フライト・サイエンシズによって設計・開発された。航続距離は最長80.47kmで、東京~箱根間ぐらいの距離の飛行が可能。都市間を空で結ぶ、全く新しいオンデマンド型の輸送手段として実現を目指す。
PAVは、滑走路を必要としない電動垂直離着陸機(eVTOL)だ。効率的な浮揚と前進飛行を実現するため、推進システムと翼を機体に統合している。全長は9.14m、全幅8.53mで、左右の脚部にモーター駆動のプロペラを4機ずつ、計8機を搭載。公開された動画には、まるで巨大なドローンのようにスムーズに離陸する姿が収められている。
ボーイングはこのPAVを、空飛ぶタクシーとしての活用以外に無人貨物機としての運用も検討しており、昨年、屋内での飛行試験を成功させている。最大227kgまでの積載が可能だという。
「私たちは、わずか1年で、コンセプト設計から実際に飛行する試験機を作りました。世界で最も安全かつ最も効率的な輸送手段としての航空輸送の開発には、ボーイングの知識とイノベーションは欠かせません」と語るのは、同社のチーフ・テクノロジー・オフィサーであるグレッグ ハイスロップ氏だ。
空飛ぶタクシーを巡っては、アメリカの配車大手ウーバー・テクノロジーズが2020年前半の実用化を目指しているほか、アウディはエアバスとイタルデザインと組んで開発を進めている。
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絵空事と思われていたクルマが空を飛ぶSFの世界も、今は昔か。マイカーを所有せず、使いたいときだけお金を払って利用するという、来たるべき「MaaS(Mobility as a Service)」社会に向けて、自動車メーカーだけでなく、航空機メーカーも急ピッチで開発を進めている。