オートモーティブワールド2019。東洋紡のコンセプトカーに見る最新技術!
1月16日~18日の3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)で「第11回 オートモーティブワールド」が開催された。自動車業界の最新技術が集まる展示会で、東洋紡株式会社のコンセプトカーが注目を集めていた。
オートモーティブワールドは、自動運転やクルマの電子化・電動化、コネクティッド・カー、クルマの軽量化など自動車業界における重要なテーマの最新技術が一堂に集まる展示会。今回は、同展示会の構成展の一つである「クルマの軽量化技術展」に出展された東洋紡株式会社のコンセプトカーを紹介する。
未来的なコンセプトカーの新素材はどこに
「未来への挑戦」をテーマにしたコンセプトカーは、東洋紡およびグループ企業の化学製品、材料技術を詰め込み、軽量かつ高強度な車両開発のモデルとして打ち出されていた。未来的な流線型が目を引くルーフアウター、バンパービームに使用されていたのは、QuickForm(クイックフォーム)という樹脂素材。QuickFormは、軽量で金属よりも高強度。そしてスタンピング成型において、高い流動性を持つので、従来のスタンパブルシートに比べて短時間で自由度の高い形状を成型できるという。
ドアの外側には、印象的な六角形のハニカム構造の装飾が見える。これば単なる装飾ではなくドアクッションで、PELPRENE(ペルプレン)という熱可塑性のポリエステルエラストマーを使用している。PELPRENEは、さまざまな発泡成型法に対応し、高い発泡倍率によって軽量化を実現している素材。さらに反発弾性率は、高反発ウレタン発泡体の1.4倍も優れていて、ボディを守るのに適しているという。
デザインもカッコイイ! エアレスタイヤ。
同車の足回りにはエアレスタイヤが採用されていた。素材は先程のドアクッションと同じくPELPRENE。六角形のハニカム型に成型されていてゴムの10倍以上の剛性と衝撃吸収性があるという。また、センターホイールには、前述したQuickFormが使用されている。
シートクッションには、BREATHAIRという3次元スプリング構造体が使用されていた。PELPRENEを繊維状にして三次元状に複雑に組み合わせた、例えるならインスタントラーメンの麺のような構造である。通気性、クッション性、透水性、耐久性にも優れているという。リアシートでは、カバーなしで設置されていて、その不思議な見た目に来場者の注目を集めていた。BREATHAIRは、新幹線N700系をはじめとする鉄道のシートや介護用のマットレスなどに採用されているという。
他にも、インテークターンランプや冷却ダクト、ドアビーム、ステアリング、センターコンソールに至るまで49か所に同社の技術が使用されていた。軽量化や高剛性化を念頭に置いた金属の代替として、樹脂素材が注目されている。成型の容易さも樹脂素材の長所として、自動車のさまざまな部品で採用できる時代となったことを物語っていた。