首都高「横浜環状北西線」の工事現場を見てきた! 前編:北八朔トンネル編
建設現場見学イベント「首都高講座」の64時限目として、 「横浜環状北西線へ潜入!建設現場を歩いて学ぼう!」が実施された。 まずは前編としてトンネル区間を紹介!
トンネル内の工事現場見学は、横浜青葉IC・JCT側のトンネル出入口から入って100mほどの地点「北八朔工事現場」。工事関連の車両が何台も止まっていたり、往来したりする中、10倍の倍率を勝ち抜いて当選した一般参加者と多数の報道陣が見学を行った。
首都高株式会社が2020年の開通を目指して建設中の「横浜環状北西線」(以下、北西線)。第三京浜および首都高・横浜北線に接続する横浜港北JCTから、東名高速および国道246号に接続する横浜青葉IC・JCT(仮称)までをつなぐ高速道路だ。全長約7.1kmのうちの約4.1kmのトンネル区間を掘り進んでいたシールドマシンがゴールに到達し、高架区間も建設が進む。
首都高は一般を対象に、こうした建設現場の見学イベント「首都高講座」を実施中だ。そして11月13日にその64限目となる「横浜環状北西線へ潜入!建設現場を歩いて学ぼう!」を実施し、同時に報道公開も行った。
今回訪問した北西線のトンネル(地下)区間への入口に近い北八朔(きたはっさく)トンネル工事現場を前編で、そこから数km離れた東名高速および国道246号に接続する横浜青葉JCTを後編で、それぞれの建設中の様子を紹介する。
首都高・横浜環状北西線のルート。黄色がトンネル区間で、ピンクが高架・地表区間。今回のトンネル工事現場は、横浜青葉IC・JCT側のトンネル出入口から入ってすぐの、北八朔換気所の近辺。画像は横浜環状北西線公式資料より。
前編で訪れたトンネルの出入口付近のスケールモデル。画面左手(方位:北北西)へ向かうと、東名高速と接続する横浜青葉JCTで、さらにその先が国道246号に接続する横浜青葉IC。横浜青葉IC・JCTは後編で紹介。
まずは「北八朔トンネル工事現場」から!
まずは、別記事『【動画あり】巨大シールドマシンが掘り進む! 首都高「横浜環状北西線」』でも訪れた、トンネルを作りながら地下を掘り進む巨大なシールドマシンが発進した地点に再び訪れた。そこからトンネル区間に入り、100mほど横浜港北IC・港北出入口に進んだ地点まで進んで、そこで説明を受けた。
トンネルへの入口は、横浜青葉IC・JCTから北西線を横浜港北IC・港北出入口方面(海側)へおおよそ1.5kmほどの地点にある。画像は、建設用語的には「土工部」といわれる半地下区間だ。まだまだ建設が続いており、大量の資材も積み上げられ、建機やトラックなどが何台も作業をしている。トンネル区間から横浜青葉IC・JCTへ向かうこの辺りの購買は最大で5%になる。
上の画像と同じ地点において、横浜港北JCT・港北出入口方面(右手側)を向いて撮影。半地下区間が終わって、ここからいよいよトンネル区間が始まる。
プラントヤード。北西線のシールド工法は、泥水圧を作用させてシールド先端のカッター(切羽)の安定を図る「泥水式」が用いられた。泥水は再利用され、先端部分から戻ってきた泥水はプラントヤードへと送られる。戻ってきた泥水中から掘削土砂を分離させる施設がプラントヤードで、再び先端へと向かわせる。分離した土砂はほかの工事などで有効利用が可能だ(残った粘土分は産業廃棄物として処理される)。このような経済的有利性があることから、泥水式シールド工法が採用された。
トンネル出入口から100mほど横浜港北JCT・港北出入口側に進んだところに、シールドマシンの発進口がある。ここから、トンネルの出入口(横浜青葉IC・JCT)側を向いて撮影。シールドマシン発進の際に取材したのもこの発進口。
シールドマシンの発進口で、横浜港北JCT・港北出入口側を向いて撮影。ここからシールドマシンが掘り進んでいった。横浜青葉IC・JCT→横浜港北JCTの車線のトンネルは9月4日にゴールに到達し、反対車線は10月2日に到達。
2017年3月27日に発進したシールドマシン発進の様子。同じ発進口で撮影したものだが、撮影位置が異なる。今回撮影したのはこの画像の左手にあるフェンスの前から。
北西線のPRルームに設置されているシールドマシンの模型。下のボタンを押すと、各種装置のランプが光る。
巨大なシールドマシンの先端カッター部分を後方から撮影したところ。2017年3月27日に発進したシールドマシン発進時の取材で撮影。
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トンネル内の様子は? いよいよ中へ!
地下へ下りていよいよトンネル内へ!
シールドマシン発進口の長い仮設階段を下りて、いよいよ地下へ。トンネル区間は約4.1km続き、第三京浜および横浜北線と接続する横浜港北IC・港北出入口の手前で再び地上に出て高架区間となる。
トンネル出入口側を見たところ。ここからトンネルまではトンネルの構造が角のある構造になっている。
シールドマシンはここから進んでいった。シールドマシンは、掘り抜きながら同時に鉄筋コンクリート製の円弧状の履工材である「セグメント」を組み合わせていくので、通ったあとはトンネルの構造が完成している。トンネルの直径は12.4m。セグメントの厚みが45cmあるので、トンネルの内径は11.5mとなる。
天井部分に見えるのが、シールドマシンが組み合わせたセグメント。ひとつのセグメント(1ピースと呼ばれる)はトンネルのカーブにあった弧を描いている。サイズは、円弧の長さ5.194m×幅2m×厚み0.45m。重量は11.5tあり、北西線のRCセグメントは国内最大だ。RCは全セグメントの95%を占める。残りの5%は鋼製とハイブリッド。鋼製は加工性に優れ、トンネルの切り開き部に用いられる特殊なセグメント。RCと鋼製を合わせたのがハイブリッド(合成)で、耐久性が高く、RCでは剛性が不足する箇所に補強用として用いられる。
現在の工事の進捗状況は、クルマが通行する路面の基礎となる床版コンクリートと、その床版コンクリートを支える1次側壁コンクリート、そして火災などが発生した際の避難路となる道路下安全空間の路面となるインバートコンクリートの打設作業などが終了。道路下安全空間が車道の下にあるのは、首都高・横浜北西線と同じ。今後は、事故でクルマが直接セグメントに衝突しないようにするための2次側壁コンクリートの打設工事が行われる。
発進口からおおよそ100mの地点で解説が行われた。取材陣も一般参加者も、安全のために全員がヘルメットと反射材がついたジャケットを着用。
側面には、クルマがセグメントへ直接衝突するのを防ぐための2次側壁コンクリートが、これから設けられる予定。また路面もアスファルトがまだ敷かれていない。左に傾斜しているのはカーブのために内側が低くなるようバンクが設けられているため。
トンネル区間の完成後の様子は、同じ仕様で建設された首都高・横浜北線のトンネル区間と同等となる。完成後は、2次側壁コンクリートや消火設備、車道下の道路下安全空間(避難路)へのすべり台式非常口などが設けられる。北西線と横浜北線は、第三京浜と接続する横浜港北JCTで接続する。
トンネル内からシールドマシン発進口を向いて撮影。まだ路面にアスファルト舗装がされておらず、コンクリートがむき出し。車道は、まず剛性床版鋼パネルを設置したあとに、現場で鉄筋を組み立て、コンクリートを打設。その後にアスファルトの舗装が施される。左側の自転車は、工事関係者の現場移動用として使われている。
まずは、トンネル内をご覧いただいた。後編『土木女子も注目!建設が進む首都高「横浜環状北西線」の工事現場を見てきた! 後編:横浜青葉JCT工事現場編』では、横浜環状北西線が東名高速と国道246号に接続する横浜青葉JCTの高架区間の工事現場の様子をお届けする。
2018年11月26日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)