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最終更新日:2017.10.23 公開日:2017.10.23

[菰田潔]唐突ですが、ドイツの走り方教えます。標識・レンタカー返却他編(全3回:3/3)

@picture alliance / SvenSimon

ドイツを走るときのコツやポイントを紹介する大人気企画第3弾。第2回目はコチラ。初回から見たい人はここへ。

大事な道路標識について

 道路標識には警戒標識と案内標識があるが、日本のように4つ5つとまとめて掲示されることはないので見やすい。とはいっても、文字が書いてある標識はドイツ語だから慣れないと分からないかもしれない。文字が書いていない標識もあるが、日本ではお目にかからない標識もあるので、見落としたくないものについて、ここでご紹介しよう。

 黄色に白い枠がある四角を斜めにした標識は、この道が優先道路という意味。横から出てくるクルマがあってもこちらに優先権がある。

 反対が赤枠の逆三角形の標識。これは前方優先道路という意味。前に横切る道を走るクルマが優先だから、こちらが止まらなくてはならない。クルマが来ていないことがわかれば止まらずに進むことができる。

 案内標識には地名が書かれている。いくつか並んで出てくる地名は、上が遠い場所で下が近い場所ということで統一されている。自分が行くところの地名だけでなく、事前に地図を確認しておき通過する地名も覚えておくと便利だ。ただし最近はカーナビが優秀なので、そんな心配も要らなくなってきている。

 文字や絵に斜線がかかった標識は解除標識だ。写真の場合は、70km/h規制が解除になったということ。他に、追い越し禁止や街の終わり、アウトバーンの終わりなども解除標識で示される。

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ドイツでよくある交差点の通過方法

理屈が分かれば怖くない!環状交差点の走り方

 ラウンドアバウトとは最近日本でも増えてきた環状交差点。信号機はなく、ある程度の交通量までは安全にスムースに交差させることができる。ドイツではごく当たり前の交差点の方式だ。ドイツは右側通行だからラウンドアバウトの中の円形の環道は反時計回り(左回り)になる。

 環道に入る手前には、前方優先道路の逆三角形の標識がある。だから環道の左側から来るクルマがいればこちらが止まらなくてはならないし、左側からクルマが来なければそのまま環道に入ることができる。手前でタイミングを測って入ることもできるので、スムースだし無駄な燃料を使わなくても済む。

 環道から出る場合は、一つ手前の枝道からウインカーを右側に点ける。十字路をラウンドアバウトにした交差点なら、直進のときは2番目の枝道に出る。このときは1番目の枝道を通るときに右にウインカーを点けるのだ。

 もし1番目で出たい場合(つまり右折)は環道に入る前から右にウインカーを点けることになっている。手前でウインカーを点けることで、前方の枝道から入ってこようとするクルマにその手前で枝道に出ることを知らせることができれば、クルマの流れがスムースになるのだ。

 ラウンドアバウトの環道に入る手前と出た直後には横断歩道があるから、そこに歩行者がいれば止まって待たなくてはならない。

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日本の常識は通用しない!

日本の感覚では通用しないところ

アイドリングについて

@picture alliance / dpa

 日本では止まったままエンジンをかけていること寛容だが、ドイツでは走っていないクルマのエンジンがかかっていると通報されることもある。これは州によって異なるが、騒音防止条例によって停止中にはエンジンと止めなくてはならないことになっている。

 友達を迎えにいって出て来るまでエンジンをかけて待っているというケースはドイツでは考えられないのだ。とはいっても街中の信号待ちでは自動アイドリングストップやハイブリッド車でない限りわざわざエンジンを止めない。ドライバーが走る意志があるときにはエンジンをオフにしない。

ドアの開閉音について

@picture alliance / blickwinkel/McPHOTOs

 これも騒音防止条例に関連するが、バタンと大きな音でドアを閉めていると通報される。特に夜間は注意した方がいい。夜は7時過ぎると家で洗濯機を回せないくらい音に関しては過敏だからだ。ドアハンドルを持ったまま押し込むように閉めると静かに閉まるので、ぜひ日本にいるときから試してみよう。

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ドイツの給油の仕方は?

給油や洗車はどうする?

給油時のポイント

 給油所はタンケシュテレンと呼び、日本でもお馴染みのブランドのスタンドもある。

 ドイツではほとんどがセルフスタンドである。自分のクルマの給油口が左右どちら側かを確認して、給油機の前にクルマを止める。あまり給油機に近すぎても給油しにくいから人が歩けるくらいのスペースは空けて止める。

 クルマの給油口の蓋を開け、中のキャップ(最近はキャップなしも増えた)を開けて、クルマ指定の燃料を入れる。ディーゼルエンジンの場合にはDieselを選び、ガソリンエンジンの場合にはSuperを選ぶ。ターボ付きエンジンの場合にはオクタン価が高い燃料をクルマが要求するからSuper Plusを選ぶ。

 スタンドによってはDieselが2種類あるが、レンタカーの場合には普通の方でいい。高級なDieselは燃焼室の中を綺麗にする添加剤などが入っているものだ。

 ガソリンエンジン車にはDiesel燃料は入らないし、ディーゼルエンジン車にはSuper燃料は入らないように、クルマ側の給油口とスタンドの給油ガンのノズルに工夫が凝らされているから、入れ間違いの心配は少ない。

 日本と違って給油ガンのトリガーを引っ掛ける小さな装置が付いているので、それを使えば握っていなくても給油できる。この間に窓に付いた虫などを水とスポンジで落としておくと時間の節約になる。

 満タン近くなりオートストップで止まったところで給油は完了だ。ギリギリまで入れようとするとこぼすなどのトラブルが起きる。

@picture alliance / Caroline Seidel/dpa

 さて給油が終わったら次はどうするか。日本人が間違えるのは、後ろに給油待ちのクルマが待っていると、気を使って先にクルマを動かそうとすることだ。ここはクルマを動かす前に、建物の中のコンビニのような場所の奥のカウンターがキャッシャーになっているから、そこでまず支払いをする。どのポンプで入れたかを申告しなくてはならないので、ポンプの横に書いてあるナンバーを覚えて、それを言えばいい。ドイツ語で言えれば一番良いが英語でも通じる。二つ上の写真のケースなら「ポンプナンバーツー」と言えばいい。ほとんどのスタンドでクレジットカードが使える。

 ドイツの給油所は街中でもアウトバーンでも建物の中には商品が並べてあり、ちょうど日本のコンビニの役割を果たしている。クルマ用品だけでなく、ドリンク、アイスクリーム、お菓子、雑誌などもある。

洗車はどうする?

picture alliance / dpa Themendienst

 自宅も含めてドイツではやたらな場所で洗車はできない。ほとんどの人が給油所にある洗車機を使う。それは自宅の前で洗っていると汚れた水が流れて下水に入るからで、環境保護のための法律に基づいている。

 ちなみに給油所の洗車機の水はフィルターを通して循環している。

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いよいよ帰国。レンタカーの返却は?

いよいよ帰国!レンタカーの返却方法

レンタカーを返却しよう

 レンタカーを返却する際には普通給油してからだ。空港で返すなら、空港からあまり遠くない給油所で満タンにすればいい。

 契約の仕方によっては、給油しないで返却という方法もある。

 また後でレンタカー会社に給油してもらい、クレジットカードで引き落としてもらう方法もある。飛行機に時間ギリギリで間に合わないなどいうケースではこの方法を使えばいい。ただし少し割高になることは承知していた方がいいだろう。

 空港に返却する場合には、案内標識の中に「Rental Car Return」という文字を見つけ、それに従って行けば簡単だ。

 フランクフルト空港の場合は、駐車場の建物の中に入ってからレンタカーのブランドごとに分かれているからそこに入れる。

 ミュンヘン空港の場合にはどのレンタカー会社も一緒の場所に返却し、共通の係員が受け取りのチェックをする。何も書類を受け取らないで終了ということになるので、返却した証明をするのに借りたレンタカーのナンバープレートが写るアングルで駐車場の雰囲気を撮っておくといい。

 それでは、安全運転で楽しくドイツをドライブしてください。グートファート!(よいドライブを!)

2017年10月23日(モータージャーナリスト 菰田潔)

菰田潔(こもだきよし):モータージャーナリスト。1950年生まれ。 自動車レース、タイヤテストドライバーを経て、1984年から現職。日本自動車ジャーナリスト協会会長 / 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員 / 一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)交通安全・環境委員会 委員 / 警察庁 運転免許課懇談会委員 / 国土交通省 道路局環境安全課 検討会 委員 / 一般社団法人 全国道路標識・表示業協会 理事 / NPO法人 ジャパン スマート ドライバー機構 副理事長 / BMW Driving Experienceチーフインストラクター / 運送会社など企業向けの実践的なエコドライブ講習、安全運転講習、教習所の教官の教育なども行う。

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