2022年に製品化が決定! 自由の象徴ワーゲンバスがEV、自動運転で帰ってくる
伝説的な旧ワーゲンバス(左)とEV化した新しい車種(右)。
日本でも「ワーゲンバス」の愛称で親しまれてフォルクスワーゲン(VW)社のワゴンが電気自動車(EV)として復活する。ファンにとってはなんとも嬉しいニュースが届いた。
復活といってもワーゲンバスは、1949年の最初のモデルT1から最新T6まで様々な車種が存在する。
中でも1951年に発売されたT1の8人乗り「サンバ」は、ドイツではバカンス・カーやキャンピング・カーとして、米カリフォルニアでは60~70年代にサーファーやヒッピーに愛されてきた「自由なライフスタイルを象徴する」アイコン的クルマである。
ドイツ本国で「サンバ」という名前で発売された8人乗りのT1は、今でも毎年ファンイベントが開かれるほど人気の車種だ。© Volkswagen AG
T1のデザインを受け継ぐワーゲンバス! おまけにEV!
今回の新車は、伝説的なT1のデザインを踏襲しているというだけでも話題を集めるのは間違いない。それに加え、排ガス不正問題で打撃を受けたVWのイメージを新しくする意味でも、ハイテクを搭載したクリーンなエネルギーの新型EVワーゲンバス「I.D. Buzz(アイ・ディ・バス)」は、EV化が加速する時代の流れにあったクルマであるといえよう。
© Volkswagen AG
I.D. Buzz は、2017年1月にデトロイトで開催された北米国際オートショーにて、初めてコンセプトモデルが紹介された。ジュネーブでの国際自動車見本市でも出展され多くの反響を得た後、VWは8月19日米カリフォルニアのぺブル・ビーチにて、2022年の製品化を発表した。
北米国際オートショーで初めて紹介されたI.D. Buzzのコンセプトカー。紹介しているのはヘルベルト・ディースCEO。© Volkswagen AG
「2つの展示会を経て、顧客から『是非とも製品化して欲しい!』という熱烈なアプローチを受けました。E(エレクトロ)ジェネレーションと呼ばれるテクノロジーで、今ワーゲンバスは新しく生まれ変わります」。
VWヘルベルト・ディースCEO(最高経営責任者)は、ワーゲンバスの復活を喜びとともに明らかにした。
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新ワーゲンバスの特徴としてディース氏は、バッテリーが床下に搭載されるため、前輪と後輪の間にフラットで広いスペースがとれること、電気駆動のシステムはエンジンよりもコンパクトなため、フロント部分とリア部分も小さくすることが可能で、一見、ミニバンのようなサイズでありながら、トランスポーターなみの車内容量を備えていることを上げている。
車内は4人がけにしたり、シートを倒してベッドのようにして使うこともできる。乗車定員は8人である。© Volkswagen AG
フロントの荷室。コンセプトカーのサイズスペックは、全長4,942mm、全幅1,976mm、全高1,963mm、ホイールベース3,300mmである。© Volkswagen AG
ドイツの自動車マガジン「Auto Motor und Sport」の試乗リポートによると、新ワーゲンバスは自動運転に対応しており、自動運転に切り替えるとハンドルがインストゥメンタルパネル内に収納される。
I.D.Boxと呼ばれるスマートフォンとも連携した大画面のタブレットがナビ、エアコンの調整などの操作を行う。このタブレットは後部座席までスライド移動することができる。
コックピットは近未来的だ。© Volkswagen AG
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最高時速は160km、時速0kmから約100kmへの加速が約5秒で可能、バッテリーの充電は、ワイヤレスでできるという。
カリフォルニアと独ドレスデンで試乗された動画では、走行中に通行人が振り向いたり、駐車しているワーゲンバスに人の輪ができ撮影したりするシーンがある。これを見ると、ワーゲンバスがいかに人々に愛されてる乗り物であるかを再認識させられる。
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EVワーゲンバスの市販化モデルは、アメリカ、ヨーロッパ、中国での発売が予定されている。ワーゲンバス・ファンの多い日本での発売も期待したいところだ。
新ワーゲンバス「I.D. Buzz」のイメージ動画。リンク先=Volkswagen AG YouTube
参考:現地プレスリリース
2017年8月29日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)