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クルマ2017.07.10

【動画で見る衝突安全性能試験#1】時速55kmのJNCAPフルラップ前面衝突試験

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3種類行われる衝突試験の内、真正面からコンクリートバリアに衝突する「フルラップ前面衝突試験」の様子。

 国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)が毎年発表している「自動車アセスメント(JNCAP)」。

 メーカーには安全性の高いクルマの開発を、ユーザーには安全性の高いクルマの選択を促すことを目的に、予防安全と衝突安全の2点から厳密な試験を行い、それを点数化した内容だ。最新の平成28年度の評価結果は5月28日に発表され、すでにお伝えした通りだ(関連記事は最終ページ末でまとめて紹介)。

実際に3台のクルマをクラッシュさせる過酷な試験

 衝突安全性能評価試験はわかりやすくいえば、事故に遭った際に乗員をどれだけ保護できるか、そして歩行者との事故の場合は歩行者をどれだけ保護できるかを評価する試験だ。

 乗員保護性能評価試験では、試験対象の同一車種3台を用いて、「フルラップ前面衝突試験」、「オフセット前面衝突試験」、「側面衝突試験」という3種類で衝突試験を実際に行ってデータを測定する。

 運転席や助手席などに乗せられたダミーの頭部や胸部、腹部などにセンサーが取り付けられており、それらがどの程度の衝撃を受けるか測定するのである。そして同時に、キャビン(室内)の変形の度合いなどからも安全性能が確かめられるのだ。

 そして歩行者保護性能評価試験は、ボンネット上に跳ね上げられてしまった歩行者の頭部に加わる衝撃を測定する「頭部保護性能試験」と、バンパーにはねられた脚部の衝撃を測定する「脚部保護性能試験」の2種類が行われる。

 こうした5種類の入念な衝突試験を用いて、そのクルマの衝突安全性能を評価しているのである。ここでは、こうした衝突安全性能試験の実態をご覧いただくべく、『JNCAP衝突試験動画シリーズ』として、3種類の衝突試験と、歩行者保護性能評価試験の合計4回に分けてお届けする。今回はフルラップ前面衝突試験編だ。

 衝突の瞬間を捉えたスーパースロー映像も要注目だ。

→ 次ページ:
フルラップ前面衝突試験とはどんな試験? まずは軽自動車から!

時速55kmでコンクリートの障壁に正面衝突!

 フルラップ前面衝突試験は時速55kmで真正面からコンクリートの障壁に衝突させる内容で、クルマ同士の正面衝突を模擬している。車内には運転席と助手席にダミーが乗せられており、衝突の衝撃を頭部、胸部などで計測。それに加えてキャビンがどれだけ変形したかを基にして、乗員保護性能の度合いが評価されるのである。

平成28年度の試験を受けた9車種

 今回紹介する動画は9車種。カッコ内はメーカー名。その後ろの数字は、運転席と助手席のフルラップ前面衝突試験での乗員保護性能評価。5段階評価で、最高が5だ。なお、各カテゴリー別にページ分けをしており、下の一覧表からそれぞれのページにリンクを張ってある。

軽自動車
・ウェイク(ダイハツ)/運転席2:助手席4
・キャストシリーズ(ダイハツ)/4:4
コンパクトカー
・イグニス(スズキ)/4:3
・パッソ(トヨタ)/ブーン(ダイハツ)/4:4
セダン
・インプレッサ(スバル)/5:5
・プリウス(トヨタ)/4:5
ミニバン
・ヴェルファイア(トヨタ)/4:5
・セレナ(日産)/4:5
・フリード(ホンダ)/4:5

軽自動車編:「ウェイク」&「キャスト」

 まずは、軽自動車から紹介する。ダイハツの「ウェイク」と「キャスト」シリーズだ。なお、ウェイクは「ピクシス メガ」として、キャストシリーズは「ピクシスジョイ」シリーズとして、トヨタにOEM供給されている。

ダイハツ「ウェイク」

ダイハツの衝突安全ボディ「TAF(タフ:Total Advanced Function)」の進化型を採用。フロントサイドメンバーを高効率エネルギー吸収構造としており、さらに最適化・合理化を推し進めた新しい骨格構造となっている。

ダイハツ「キャスト」シリーズ

ウェイク同様に進化型TAFを採用。また、ダイハツ車は安全インテリア「SOFI(ソフィ:Safety-Oriented Friendly Interior)」の考え方を採用しており、乗員保護を強化している。

→ 次ページ:
続いてはコンパクトカー!

コンパクトカー編:「イグニス」&「パッソ/ブーン」

 続いては、コンパクトカーを紹介。スズキ「イグニス」と、トヨタとダイハツが共同開発した「パッソ/ブーン」を紹介。

スズキ「イグニス」

高張力鋼板と超高張力鋼板を広範囲に使用し、衝突時の衝撃を効率よく吸収・分散させる軽量衝撃吸収ボディ「TECT(テクト:Total Effective Control Technology)」を採用。

トヨタ「パッソ」/ダイハツ「ブーン」

パッソ/ブーンはトヨタとダイハツの共同開発だが、技術的にはダイハツの開発であり、同車にも進化型TAFが搭載されている。なおダイハツでは、JNCAPでは実施していない時速55kmでの後面衝突試験も独自に実施し、安全性を確認している。

→ 次ページ:
次はセダンを紹介!

セダン編:「インプレッサ」&「プリウス」

 セダンはスバル「インプレッサ」と、トヨタ「プリウス」だ。なお、スバルのSUV車「XV」はセグメントは異なるがインプレッサの兄弟車扱いとなっており、同様に「プリウスPHV」もプリウスと兄弟車として扱われている。

スバル「インプレッサ」

スバルがインプレッサから導入を始めた新開発の「スバルグローバルプラットフォーム」は、強度の向上とフレームワークの最適化などにより、同社の従来車に対して1.4倍の衝突エネルギーに対応できるようになったという。

トヨタ「プリウス」

トヨタ車に採用されているのが、衝撃吸収ボディと高強度キャビンからなる衝突安全ボディ「GOA(ゴア:Global Outstanding Assessment)」だ。超高張力鋼板(ホットスタンプ材)を最適配置することで、強固な骨格を実現したという。

→ 次ページ:
最後はミニバンを紹介!

ミニバン編:「ヴェルファイア」&「セレナ」&「フリード」

 最後はトヨタ「ヴェルファイア」、日産「セレナ」、ホンダ「フリード」の、ミニバン3車種を紹介。なお、ヴェルファイアには兄弟車としてトヨタ「アルファード」が、フリードにはホンダ「フリード+」があり、セレナはスズキに対して「ランディ」としてOEM供給されている。

トヨタ「ヴェルファイア」

衝突安全ボディGOAを採用。なおGOAでは、クルマ同士の衝突で双方の被害を軽減する「コンパティビリティ」の考え方をさらに深化させ、車重と車高が異なる場合も想定。軽い側の衝突安全性の確保と、重い側の加害性低減によって双方の安全性を図る。

日産「セレナ」

高強度キャビンと衝撃吸収ボディで構成される進化型「ゾーンボディ」を採用。セレナは、自動ブレーキなどの予防安全性能にも優れ、平成28年度の予防安全性能評価試験では22車種中で唯一の71点満点を獲得した。

ホンダ「フリード」

衝撃時の衝撃を制御する衝突安全設計ボディ「G-CON(G-Force Control Technology)」を採用。エアバッグも独自の工夫が施されており、運転者や助手席の搭乗者の体格と衝突状況に対応する「連続容量変化タイプ」を前列に装備。

2017年7月10日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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