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最終更新日:2017.05.27 公開日:2017.05.27

【人とくるまのテクノロジー展:その1】トヨタはPHV、日産は「e-POWER」、ホンダは自動運転

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 5月24日~26日開催の「自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展 2017 横浜」(パシフィコ横浜)。26回目となる今回は、過去最大規模の562社が出展。自動車メーカーやパーツサプライヤー、そのほかさまざまな自動車に関するテクノロジーをシリーズで紹介する。まずは国内3大メーカーからお届けだ。


トヨタは「プリウスPHV」に搭載されたさまざまな技術を披露

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画像1。トヨタブースは、パワートレインやバッテリーなど、「プリウスPHV」を構成する主要機器をほぼ実機の通りに配置した展示物が縦に配置されていた。(1)ワンウェイクラッチ。(2)トランスアクスル。(3)ジェネレーター。(4)パワーコントロールユニット。(5)補機バッテリー。(6)エンジン。(7)パワーケーブル。(8)廃熱回収装置。

 トヨタブースでは、新型「プリウスPHV」に搭載された技術と、TNGA(Toyota New Global Architecture)で開発されたエンジンやATミッションなどのカットモデルが紹介されていた。

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新型プリウスPHV。なお、今回は実車は展示されていない(「スマートコミュニティJapan 2016」で撮影)。

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画像1の画面右側、車両の後部側の機器類。(1)充電ユニット。(2)パワーケーブル。(3)駆動用バッテリー(リチウムイオン)。(4)燃料タンク。(5)充電器。(6)AC100Vインバーター。(7)ダブルウィッシュボーン式リヤサスペンション。(8)ソーラーバッテリー(ニッケル水素)。この下には「ソーラーECU」があり、オレンジ色のパワーケーブルはそちらにつながっている。(9)普通充電インレット(100V/200V)。(10)急速充電インレット。(11)充電テーブル。

 新型プリウスPHVの特徴のひとつであるソーラーパネルは、基本的には住宅用と同じものだそうだが、ルーフの形状に合わせて曲面を描いているところが大きな特徴。ソーラーパネルは普通なら曲げると簡単に割れてしまうが、そこを技術でもって実現している。ただし残念なことに、その技術は公開されていない。

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新型プリウスPHVの特徴のひとつが、ルーフのソーラーパネル。丸々1日充電したとすると、JC08モードでの走行距離で平均して2.9km分を充電できるという。ソーラーパネルだけの発電で充電ゼロの状態から満充電にするには、毎日快晴だとしても1週間はかかるそうである。実際には曇りや雨もあることを考えれば、10日から2週間ぐらいはかかる模様。

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新型「プリウスPHV」に搭載の新技術にさらに迫る!

新型エンジン「Dynamic Force Engine」

 複数の機器のカットモデルが展示されていたが、ここではそこから、新型エンジン、新型トランスミッション(10速タイプ)をお見せしよう。

 まずは、TNGAにより開発された新型の直列4気筒2.5L直噴ガソリンエンジン「Dynamic Force Engine(DFE)」だ。同エンジンは、通常の一般車用とHV用の2種類がある。

 今後のハイブリッド車には、プリウスPHVで開発されたハイブリッドパワートレイン「THS II」のガソリンエンジンを、このDFEに置き換えて搭載する計画だ。DFEは熱効率の高さがポイントのひとつで、HV用で最大41%、一般車用が最大40%となっている。

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Dynamic Force Engine。(1)小型油圧ラッシュアジャスター。(2)VVT-iE(Variable Valve Timing-intelligent system by Electric motor:電動連続 可変バルブタイミング機構)エキゾースト。(3)凹R小カムシャフト。(4)VVT-iEインテーク。(5)レーザークラッドバルブシート。(6)高タンブルポート。(7)マルチホール直噴インジェクター。(8)電動サーモスタット。(9)電動ウォーターポンプ。なお、(8)の奥側下方には、「バランサー」もある。

 エンジンスペックは以下の通り。

【スペック】
●排気量:2487cc
●種類:直列4気筒直噴
●内径×行程:φ87.5mm×103.4mm
●圧縮比:13(通常)/14(HV)
●燃料噴射システム:D-4S
●最高出力:151kW/6600rpm(一般車) 130kW/5700rpm(HV)
●最大トルク:250N・m/4800rpm(一般車) 220N・m/3600~5200rpm(HV)
●排出ガス規制対応:LEV III(SULEV30)

新型10速ATミッション「Direct Shift-10AT」

 「Direct Shift-10AT」は、高級FR車用に新開発された10速オートマチックトランスミッション。他社製の8~9速ATと同程度のサイズという、コンパクトさが特徴。さらに、世界トップクラスの変速時間の短さ、ダイレクト(高応答)性などもポイントだという。なお、会場では同じく新開発のFF用8速AT「Direct Shift-8T」も展示されていた。

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Direct Shift-10AT。(1)ダイナミックロックアップダンパ。(2)小型調扁平トルクコンバーター。(3)低損失摩擦材。(4)多段ロックアップクラッチ。(5)フロントアルミキャリア。(6)別軸オイルポンプ。(7)薄肉アルミダイカストケース。(8)高応答小型バルブボディ。(9)高応答小型ダイレクトリニアソレノイド。(10)樹脂オイルパン。

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続いては日産!

日産はハイブリッド車用パワートレイン「e-POWER」などを展示

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日産のシリーズ型ハイブリッドパワートレイン「e-POWER」。2016年に小型車「ノート」がビッグマイナーチェンジを行った際、ラインナップに追加されたハイブリッド車「ノート e-POWER」に搭載された。(1)エンジン。e-POWER用にマッチングさせた1.2Lエンジン「HR12DE」。(2)インバーター。(3)奥に見えるのがバッテリー。(4)モーター。リーフ用に開発された「EM57」。(5)ジェネレーター。

 日産は、シリーズ型ハイブリッドパワートレイン「e-POWER」と、それを搭載した「ノート e-POWER」の実車、国産初の自動車専用道路同一レーン用自動運転技術「プロパイロット1.0」についてのパネルと、それを搭載したミニバン「セレナ」の実車を展示。プロパイロットに関しては実際にセレナを試乗した際のこちらをご覧いただくとして、ここではe-POWERを紹介する。

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ノート e-POWER(日産グローバル本社ギャラリーにて撮影)。

シリーズ型ハイブリッドとは?

 ハイブリッドシステムには大別して、シリーズ型とパラレル型の2種類がある。違いはエンジンの使われ方だ。

 現行の多くのハイブリッド車に採用されている方式がパラレル型で、エンジンとモーターそれぞれがタイヤを駆動する。二つの動力を平行(parallel(パラレル))して使うことから、そう呼ばれる。またエンジンは、モーターを回す電気用の発電機としても使われる。

 一方、シリーズ型のエンジンは発電のみを担当し、その電気を用いてモーターがタイヤを駆動する。つまり、タイヤの駆動は100%モーターというわけで、日産が「e-POWER」を電気自動車と呼ぶのはこのためだ。ただし、電気自動車(EV)は車上の電池に溜めた電気だけで走るのが一般的で、エンジンを搭載したクルマを電気自動車と呼ぶのはかなり違和感がある(当然、EVとしてのCEV補助金も受けられない)。それはともかく、シリーズ型は、エンジン→発電機→バッテリー→モーターと電気の伝達経路が直線的なことから、「ひと続き」や「連続」という意味がある「series(シリーズ)」と呼ばれるのである。

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ノート e-POWERの実車も展示され、ボンネットの中を披露。e-POWERがどう収まっているかを見ることができる。

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e-POWERパワートレインを多角度から!

e-POWERのカットモデルを別角度から

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e-POWERを別角度から。左奥側の黒い装置がバッテリーで、実車では前列シートの下に収まっている。

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e-POWERのカットモデルをバッテリー側から。

 エンジン「HR12DE」とモーター「EM57」のスペックは以下の通り。

【エンジンスペック】
●型式:
HR12DE
●排気量:1198cc
種類・シリンダー数:DOHC水冷3気筒
●内径×行程:φ78.0mm×83.6mm
●圧縮比:12
●燃料噴射システム:日産EGI(ECCS)電子制御燃料噴射装置
●最高出力:58kW/5400rpm
●最大トルク:103N・m/3600~5200rpm
●排出ガス規制対応:LEV III(SULEV30)

【モータースペック】
●型式:EM57
●種類:交流同期電動機
●定格出力:70kW
●最高出力:80kW/3008~1万rpm
●最大トルク:254N・m/0~3008rpm
●動力用主電池種類:リチウムイオン電池

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ホンダはちょっと変わった1機も展示

自動運転車「AUTOMATED DRIVE」

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「レジェンド」ベースのホンダ製自動運転車「AUTOMATED DRIVE」。(1)ステレオカメラ。白線および路肩認識による車線維持と前方障害物の距離計測を行う。(2)GNSS(いわゆるGPSのこと)+高精度ジャイロ。自車位置推定および高精細マップとのマッチングおよび信号遮断時の補正に使われる。(3)前方用長距離ミリ波レーダー(エンブレムの内側)。遠方の障害物の速度および距離の検出用。(4)中距離用ミリ波レーダー(四隅の車体内側)。近傍の障害物の速度および距離の検出用。(5)レーザーレンジファインダ(車体四隅とナンバープレートの下側)。周辺360度の障害物の位置および速度検出および路肩判定に用いられる。

 ホンダの自動運転車「AUTOMATED DRIVE」は、「レジェンド」をベースにさまざまなセンサー類や自動運転のための機能が追加された1台だ(2016年主要国首脳会議「G7伊勢志摩サミット」においてデモ走行を行った「アコード」ベースのものもある)。現時点では高速道路のような自動車専用道路での自動運転が可能である。

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2016年のG7伊勢志摩サミットでデモ走行を行った、アコードベースのAUTOMATED DRIVE。

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レーザーレンジファインダ。レーザーを用いた対象物・障害物の測距装置で、レーザーレーダー、LIDAR(ライダー)などとも呼ばれる。自動車系では一般的にLIDARの表現が多く、レーザーレンジファインダはロボット系で使われることが多い。

 なお、このレジェンドベースのAUTOMATED DRIVEは、2015年10月17日に、首都高湾岸線の豊洲ランプから葛西ランプまでの約8kmを往復する形の国家プロジェクトの実証実験「SIP-adus」に参加し、「本線合流」、「レーンチェンジ」、「自動分岐」に成功している。

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ホンダが新たなロボットを開発中!

最後はホンダが国内販売を目指す新型ロボットを紹介!

 ASIMOを筆頭に、ロボットの開発でも知られるホンダ。今回は、国内での販売を目指して開発が続けられているロボット芝刈り機「Miimo(ミーモ)」が出展された。

 Miimoは子会社の本田技術研究所の汎用R&Dセンターで開発され、国内での初出展は2013年の第43回東京モーターショー。ホンダ フランス・マニファクチュアリングが製造し、現在は欧州で販売中だ。ロボット掃除機を一回りから二回りほど大きくしたようなイメージだ。

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Miimo。あらかじめ指示されたルートの通りに芝刈りを実施し、障害物はセンサーで回避。庭の周囲に沿ってあらかじめ埋めておく電線「境界ワイヤー」の電気信号をキャッチしてその範囲内で動くようにもなっている。リチウムイオンバッテリーを搭載で、充電が必要になるとドッキングステーションに自動で戻って充電する機能を有する。なお、刈り取られた芝生は短時間の内に分解して芝生の栄養となることから、ゴミとして回収されるわけではない。

 ホンダはアウトドア製品などの開発・販売も行っているが、芝刈り機の歴史も古く、1978年から販売している。

 欧州では2004年頃からロボット芝刈り機の市場が拡大中だ(その理由として、ライフスタイルの変化や、欧州各国で進行する高齢化が指摘されている)。そこで、ホンダも従来の芝刈り機のノウハウに加え、独自開発した「傾斜自律制御」などの技術を導入してMiimoを完成させた。

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Miimoを横から。芝生上での駆動力のアップのため、後輪はスパイク状になっている。

 この後も、「人とくるまのテクノロジー展2017」の記事をお伝えする予定なのでご期待いただきたい。

2017年5月26日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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