納車後、なぜ即モディファイ?「マツダ スピリット レーシング ロードスター」で気になった6つのポイントとは
マツダが送り出した特別なロードスター「マツダ スピリット レーシング ロードスター」。その完成度の高さは折り紙付きだが、すべてが万人にとって理想形とは限らない。実際に購入した自動車ジャーナリストの山崎明氏は、どこに違和感を覚え、どのように手を入れたのか。リアルなモディファイの記録を追う。
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目次
MSpRロードスター目玉装備のリアスポイラーが気になる
納車されたマツダスピリットレーシング(以下、MSpR)ロードスターだが、前回の記事に書いたとおり、MSpRロードスターの仕立ては私が望んでいた「大人っぽい余裕の2Lのソフトトップ」の方向性とはやや異なるものである。従って、早速私の好みに合わせてモディファイを進めていくことになる。
まず最も気になる問題、それは見た目である。その中でも一番の問題はトランクフードに取り付けられたリアスポイラーである。私は若い頃からリアウィングの類いが好きではなく、以前空冷ポルシェ911を買った時も「リアウィング無し」を条件に探したくらいなのだ。
モディファイ前のMSpRロードスター。リアスポイラーは標準装備されているもの
このリアスポイラーはMSpRロードスターの目玉装備のひとつで、ニュルブルクリンクサーキットでの走行テストにより吟味されたデザインの空力的に大きな効果のあるスポイラーということだ。
ノーマルのロードスターとの違いが最もわかりやすい外観上の識別点でもある。しかしNDロードスターのリアはすごく絞り込まれており、トランクリッドの幅は結構狭くなっている。その狭いトランクリッドの上に少々背の高い黒いものが装着される格好になるので、私個人の目には腰高で幅が狭く見えてバランスが悪く、ロードスターらしい軽快感も損なっているように見える。
そもそも私は2Lエンジンの「ゆとりのある走り」のためにこのクルマを買ったので、サーキット走行で効果を発揮するものは無用の長物である。
さらにマツダ関係者に話を聞けば、MSpRの代表であり、マツダを代表するデザイナーでもある前田育男氏は当初デザイナーの観点からこのリアスポイラー装着に大反対していたという。実際、2024年の東京オートサロンで最初のプロトタイプが発表された時にはリアスポイラーはなかったのだ。
しかしサーキット走行での効果から前田氏も最終的に折れたらしい。マツダのトップデザイナーの視点でも好ましいとは言えないデザインならば、このリアスポイラーを撤去することに躊躇はない。
しかしこのスポイラーの撤去は簡単ではない。なぜならトランクリッドに2箇所穴を開けてネジ止めされているからである。板金塗装して穴をふさぐことも考えたが、マツダ純正アクセサリーの薄形リアスポイラーの取り付け穴がMSpRロードスターのリアスポイラーと全く同じ位置であることがわかった。
これなら単純に交換すればOKなので、これを装着することにした。結果は思い通りのすっきりしたもので、大満足である。
モディファイ後のMSpRロードスター。リアスポイラーはノーマルロードスター向けに用意されたものを装着
ステアリング&シフトノブの仕上げに最適な素材とは?
次に、運転して最初に気になったのがアルカンターラ(人工スエード)で仕上げられたステアリングとシフトノブである。
アルカンターラは滑りにくい素材であり、モータースポーツの世界や高性能スポーツカーで採用されているが、スエード地ゆえ素手で使っていると皮脂汚れを吸収してみすぼらしくなってしまうという欠点がある。
それを防ぐため多くのユーザーはドライビンググローブを使っているようだ。私もマツダ純正MSpRドライビンググローブを購入して使ってみたが、やはり脱着はかなり面倒だし、暑い時期は使いたくなくなるだろう。
また素手で触った感触はざらざらしていて、上質な本革と比べて質感が低く感じてしまう(このあたりは人によって印象は異なるだろうが)。さらにステアリング上端に赤いセンターマークがあるが、常に目の前にあるためかなり鬱陶しい。
モディファイ前のステアリングとシフトレーバー
というわけで、ステアリングとシフトノブを革巻きに変更することとした。選んだのはオートエグゼのスポーツステアリングと純正の革巻きシフトノブである。
オートエグゼのステアリングはノーマルよりやや太めの握りで、上質なナッパレザーで仕上げられている。センターマークはあるものの目立たないグレーも選択できる。シフトノブはノーマル車用の革巻きシフトノブの感触が気に入っていたので、それを装着した。
私個人の感覚としては、素手で操作する場合はステアリングもシフトノブも上質な本革が一番適していると思う。世界のほとんどの高級車が革巻きステアリングを採用しているのも、それが最適という判断だからだろう。
アルカンターラはグローブをすることが前提のモータースポーツ用には優れているかもしれないが、公道走行メインのクルマにはふさわしくないと思う。
モディファイ後のステアリングとシフトレーバー。仕上げを上質な本革に変更した
マツダ匠エンジニア推奨のオプションパーツがある?
そしてモディファイ最大の目玉はフジツボのチタン製マフラーである。これはMSpRロードスター専用部品で、マツダ匠エンジニア推奨の品である。
12Rの広報写真やショーでの展示車には必ずこのマフラーが装着されているが、12Rでも標準装備ではなくオプション部品である。問題は38.5万円ととても高価なことで躊躇したが、前田育男氏が「とてもいい音がするので絶対お勧め」と言うので思い切って購入した次第である。
モディファイ後のマフラー。藤壺技研工業のチタン製スポーツマフラーに変更している
実際装着してみると、中低速域ではかなり野太い低音で、高回転域では高音に変化するようだ。問題は私は低速トルクを重視して2Lエンジンを選んでいるので、高回転域の快音を聞く機会がほとんど無いことなのだ……。
さらに加えたモディファイは、アイシンの開発したモーションコントロールビームである。これは前のロードスターに取り付けていたものをそのまま移植した形だ。これは前後端の剛性を高めると同時に振動も吸収するというものだ。前のロードスターで効果を確認しているのでそのまま継続して装着した次第である。
日本車共通の情けない“あの音”を解消したい
そして最後にホーンである。ホーンの音は日本車共通の欠点と私は感じており、レクサスなどの高級車を除くとチープな平型ホーンが使われている。このホーンの音はとても情けないもので、ホーンを鳴らす機会などめったにないものの、鳴らしたときにあの音を聞くととてもチープなクルマに乗っている気分になってしまうのだ。
欧州車は大衆車でもそれなりの音色のホーンを装着しているケースが多いが、なぜ日本メーカーはあのホーンで良しとしているのか不思議だ。残念ながらロードスターも平型ホーンである。
私は今まで日本車を買うと即座にBOSCHのホーンに替えていたのだが、残念ながらBOSCHはアフターマーケット用ホーンの製造を終了していて今回は買うことができなかった。そこで選んだのが近所のカー用品店で安価に売っていたPIAA製のものである。音は十分納得できるものだ。
次は何する? じっくりと理想の姿を模索しよう
モディファイ後のMSpRロードスター
以上がこれまでに行ったモディファイである。
今後だが、今一番気になっているのが車高である。私はあまり車高を下げるのは好きではないのだが、NDロードスターの標準車高だとどうしてもタイヤとホイールハウスとの関係が視覚的にバランス悪く感じられ、15~20mm程度は下げたくなってしまうのだ。
前のNDロードスターでもヨーロッパマツダ純正のダウンスプリングで20mmほど車高を下げていた。開発した齋藤主査からは「今の車高でバランスを取っているので下げない方が良い」といわれているのだが、この車高をどうするかが目下の悩みである。何しろMSpRロードスターは標準で車高を若干調整できるサスペンションがついているのだから。
ロードスターはモディファイ用のパーツが無数にあり、いろいろ夢想するのも楽しいクルマだ。このクルマは私にとって人生最後の趣味車とするつもりで購入したので、時間をかけて自分好みのクルマに仕立てていくつもりである。
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