バブル世代のオジサンと20代の若者、クルマの好みはどっちがイケてる? 世代対抗オートサロン5番勝負!
「東京オートサロン2026」で気になったクルマを5台挙げれば、その人の“青春”が見えてくる。バブルを知るオジサンと、SNS世代の若者。クルマに対する価値観はどう違うのか。本気の5台で世代対抗5番勝負、いざ開幕!
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目次
オジサン vs 若者 オートサロン5番勝負!
いまや日本の自動車文化を象徴するイベントとして、世界からも注目を集める「東京オートサロン」。その歴史は古く1983年に開催された「東京エキサイティングカーショー」にまで遡る。
では、このオートサロンで本当に”刺さる”クルマとは何なのか? 世代によって好みは変わるのか? そうした素朴な疑問を実際に検証してみようと、ベテラン自動車ライターの嶋田智之さんと、若手自動車ジャーナリストの西川昇吾(筆者)がそれぞれ気になる5台を持ち寄って対決。題して「世代対抗オートサロン5番勝負!」。レディー、ファイッ!
先鋒|新旧ハチロク対決
ボディ、エンジン、空力、インテリア、すべてを「当時の姿のまま、走りだけ現代」で仕上げたという、TOM’S流のレストア+アップデートモデル
トムス ヘリテージ AE86|TOM’S HERITAGE AE86
嶋田 まずオレからはコレ! TOM’SのAE86。理由は色々あるんだけど、なんて言ってもスゲーキレイなんだよ!
西川 正直これはボクも選出するか悩みました。ぱっと見のスタイルはノーマル然とした感じなのに、ボディもエンジンも現代の技術でアップデートされているのが良いですよね。
嶋田 そう、普通に乗れそうなのが良いよね。たんにレストアしただけじゃなくてTOM’Sが手掛けるストリートチューンだから、当然のごとく扱いやすそうってのもポイントだね。
西川 個人的には時々サーキット走行をすることを想定して、フルバケットシートを装備してくれるともっと嬉しいですけどね。
嶋田 いやいや、このあえて大人しいインテリアが良いんだよ!オヤジはフルバケだと疲れちゃうからさ。
A PITが仕立てたGR86。今年発売されたばかりのHKSタービンキットを搭載し、如何に街中を犠牲にせずサーキットを走れるかをテーマに開発された
エーピット オリジナル GR86|A PIT Original GR86
西川 嶋田さんがAE86なので、ボクはGR86をチョイスしました。選んだ理由は単純に見た目です(笑)。数あるエアロの中で、このGR86が一番カッコいいと思うんですよね。
嶋田 なるほどねぇ、やっぱりチョイスが若いねー! もしGR86がマイカーだったら、正直エアロはつけないかもなぁ。GR86はノーマルでも十分楽しいからね、オリジナルの走りを存分に味わいたいし。でも20歳若かったら、俺もこのエアロつけたくなったのかも。
西川 最近のクルマはセンサーの関係などで、フルバンパータイプのエアロが少ないんですよね。このエアロはレーシングドライバーの大湯都史樹選手プロデュースのもので、彼のセンスがいいなぁと。
嶋田 レーシングドライバーのプロデュースなのか! だったら空力もバッチリ考えてるはずだよね。なんだか西川君の好きなクルマの方向性が分かってきたよ。
次鋒|これぞオートサロン対決
世界中で高い人気を誇るカスタムショップ「リバティウォーク」が手掛けたシボレー カマロ
リバティウォーク シボレー カマロ|Liberty Walk Chevrolet Camaro
嶋田 街道レーサーを思わせるオーバーフェンダー! やっぱり、東京オートサロンと言ったらオレたち世代はこういうのを期待しちゃうんだよ!
西川 イカしたカマロですね! 今や日本の改造車の原点的なヤンチャなクルマは少なくなって、逆に目立つ存在になりましたよねー。自動車メーカーもフツーに参加するイベントになりましたから。
嶋田 そうそう、自動車業界全体で盛り上げてくために必要なことかもしれないけど、法規対応の展示車が多くなって、なんだか大人なイベントになったよなーって感じだね。オートサロンって元々、分かる人には分かるというか、クルマ好きならではのセンスを活かして改造を楽しむアンダーグラウンドな雰囲気があったんだよ。リバティウォークには今でもイリーガルな雰囲気が残ってていいよね!
西川 街道レーサーの当時を知らないボクたち世代にとっては、この手のカスタム、逆に新鮮なんですよ。性能ではなく、見た目だけレーシングカーに真似ていた時代があったんだなぁ。
80スープラのボディにR35GT-Rのパワーユニットを搭載したトップシークレットの意欲作。最高出力は951psにまで高められていた
トップシークレット VR スープラ|TOP SECRET VR-Supra
西川 僕が思う東京オートサロンと言えば……な1台はこのトップシークレットのスープラです。80スープラにR35 GT-RのVR38が搭載されているんです。
嶋田 老舗だよね。昔からそうだけどさ、ここんちはキレイにクルマ作ってくるんだよ。俺が昔、チューニング誌の編集やってたころからそんな印象だなぁ。
西川 そうなんですよ、好きなのはそこなんです。VR38を積んだことよりも、VR38を移植するというすごいことをやっているのに、ノーマル然としているというか、大改造をしていない、普通のストリートチューニングカー的にシレっと仕上げているのが好きですね。
嶋田 色は派手で目立つけどね(笑)、でもそこを除けば悪目立ちせずに普通に乗れそうな感じがする。すごいことやってるのに、あえてそれを声高くアピールしない。そこがこのクルマいいところだよね。
中堅|懐かしさか? 未来か? 軽自動車対決
フェイスリフトキットを装着するだけで、キャリイトラックが往年のサニー風フェイスに一気に変身! ナショナルのペイントがオジサン世代を懐かしさで泣かせる
吉田電気 スズキ キャリイトラック(ナショナルカラー)|YOSHIDADENKI Suzuki Carry Truck
嶋田 次はナショナルカラーの軽トラ。これは“オレたち世代”を代表するならば絶対に選ばなきゃいけないと思った1台だね。
西川 おぉ~、家電量販店なんてなくて、街の電気屋さんで家電を買っていた時代ですね。地元だと、まだ街の電気屋さんがあるなぁ。
嶋田 お、街の電気屋さん知ってるの? そうなんだよ。このクルマはスズキ キャリーがベースなんだけど、当時はこのナショナルカラーのサニトラが走っていて、家電を宅配したり、修理しに来たりしたんだ。なんかこのカラーリング見ると暖かくて懐かしい気持ちになる。オレたち世代にはドンズバに刺さるんだよなぁ。
西川 ボクたち世代には、逆にこのカラーリング新鮮ですね~。でも色使いのせいなのか、暖かい気持ちになるの不思議と分かります。
ダイハツの開発陣の本気度は想像以上! FRコペンには期待しかない
ダイハツ コペン ランニングプロト2|DAIHATSU K-OPEN Running Prototype 2
西川 ボクからはコペンのランニングプロト2です。軽自動車対決……ということならば、個人的に外せません。昨年秋に開催された「ジャパンモビリティショー2026」でお披露目されたランニングプロトが僅か2か月ですごい進化しました。
嶋田 コレはオレも素直にすごいと思う。選びたかったけど、西川君が絶対選ぶと思って外した(笑)。俺は小さなスポーツカーが好きでさ、モビショーでも取材のフリしてたっぷり話し聞いたっちゃもんね(編集部註:その模様はポッドキャストで配信中です)。
西川 開発陣は色々と悩んでいるみたいですが、“いいスポーツカーを作りたい”という気持ちがスゴく伝わってくる1台ですよね。こうしたリーズナブルなFRスポーツが市場に登場するか否かは、若手のクルマ好きとして目が離せませんよ。
嶋田 そうそう、作り手の熱さというかパッションが感じられるんだよな。話聞いててコッチも楽しくなってくるもん。
副将|スゴイぜ! オートバックス対決
2002年の東京オートサロンで初登場したガライヤ。今回は外装、内装、整備を行い公道走行可能な状態にレストアしたが、今後は各部カスタムしていくそうだ
オートバックス ガライヤ|AUTOBACS Garaiya
嶋田 次はオートバックスのガライヤ。これは正直「ここで会えるとは!」的な感じ、予想外の発見で大興奮した1台。今見てもカッコいいし、欲しいと思わせる1台だね。
西川 いましたね、ガライヤ! 自分としてはSUPER GTに参戦していたイメージが強いので、市販バージョンがあることは知ってはいましたが、なんだかコチラの方が新鮮です。
嶋田 あの時代(編集部註:2002年の東京オートサロンでデビュー)、カロッツェリアが少量生産のクルマを作る……という流れが日本にもあって、こういうロードカーへの期待感が高まってたんだよね。オートバックスがやってくれた! っていうのもスゴいと感じたなぁ。
西川 今や規制が厳しくなって、新しいクルマをゼロから作るのはほぼ不可能になりましたからね。うーん、夢を感じられた最後の時代……その象徴がガライヤなんでしょうか……。
BMWのワルな顔つき、嫌いじゃない! いやメチャクチャ好み。外観はそのままに、運動性能や快適性を現代の技術でアップデートするのが、最近のカスタムトレンド
エーピット パフォーマンス E31 840|A PIT PERFORMANCE E31 840
西川 オートバックスがこんなクルマも手掛けるなんてスゴい! と感じたのが、このBMWの8シリーズです。こういうクルマのレストアがA PITでできるのは驚きじゃないですか?
嶋田 確かに、こういうクルマ買ってもどこでメンテしてもらえばいいのか分からない人が多いもんね! 欲を言えば850でやってほしかったけど、いやぁ懐かしいなぁ、ノーマルシートのレザーのこのフカっとした感じ、大人だなぁ~。
西川 あと単純に、このカスタムかっこよくないですか? ホイールチョイスやインテリアの小変更も含めて、個人的にぶっ刺さったんですよ。
嶋田 確かにこれカッコいいね! 多分これリアスポイラーとかも新しく作ってるな。懐かしいけど、今風な雰囲気を取り入れてるのがイイ感じだね。
大将|東京オートサロン2026で一番気になったクルマ対決
2026年のオートサロンでふたりが一番気になったというクルマがコレ。6点式ロールケージを標準装着したミラe:Sチューンドバイディースポーツレーシング
ダイハツ ミラe:Sチューンドバイディースポーツレーシング|DAIHATSU MIRA e:S tuned by D-SPORT Racing
嶋田 じゃあオレの最後の1台は……と思ったけど、これは西川君も外したくないみたいで、共通見解な1台となったね。
西川 ダイハツブースにあったミライースですね。
嶋田 いや~いいよねコレ、リーズナブルにモータースポーツを楽しめる素材を作ろう! ていう取り組みが素晴らしい! あとターボとMTっていう組み合わせは、もう紛れもなくスポーツカーだよ! こういうパワーが限られた小さなクルマはコースで速く走らせるのが難しかったりするから、ドライバーに技量を求める点もスポーツカー的な要素だよね。
西川 個人的はロールバーが純正で装着予定なのも嬉しいポイントです。あれ自分でやると大変だし、高いんですよねぇ。自分の愛車ロードスターにロールバー組んだ時は、瞬間接着剤で手をカピカピになってしまって大変でした。今となっては懐かしい思い出ですが(笑)。
嶋田 自分で組んだの? やるねぇ~(笑)。
西川 知人の手を借りながらですけどね。あとロードスターでサーキット走っている者としては、荷物がたくさん積めるハッチバックってのも、ちょっと羨ましいポイント。軽ならタイヤサイズも小さいし、これならタイヤと工具を積んでサーキットへ行けるのが良いですよね~。
嶋田 そうだよね、そういう部分も含めて手軽な感じがあるのがいい! これで週末にサーキットとか軽耐久とかを楽しんで、普段は商用車チックにして乗るのも面白そう。発売したら“嶋田屋書店”とか横に貼って乗りたいぐらい(笑)。
西川 最後に嶋田さん。この企画は5番勝負ってことなんで、どっちのクルマ趣味がイケてるか、決着をつけたいと思うんですが……。
嶋田 いやー今日は歩いたね。ジジイには幕張メッセの会場は広すぎるよ(笑)。でもメチャクチャ楽しかった。いろいろ会場を見て回って思ったのは、世代間に壁はないってこと。気になったクルマの前に集まってさ、みんなアレコレ熱く語ってんじゃん。それこそがひとつのクルマ文化だよね。趣味の方向性は違っても、クルマが好きってことについてはみんな同じ。判定は不可能なんじゃないかなぁ。
西川 たしかに「どっちがイケてる?」なんて企画自体、野暮ってもんですよね(笑)
嶋田 そーそー、誰だよこんな企画考えたのはー。あ、担当編集が気まずそうな顔してる(笑)。まぁとにかく、勝者は日本のクルマ文化そのもの、ってことで。それがよーく分かったイベントだったねー。
西川 じゃあ、続きはまた来年ということで(笑)
嶋田 えーっ、来年も歩かなきゃいけないの? 勘弁してよぉー。
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