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最終更新日:2017.10.05 公開日:2017.10.05

【NSXの系譜】初代の中で最高の走り、NA2型「NSX-R」

「NSX-R」。1990年に発表されたNA1型と比べると、2001年登場のビッグマイナーチェンジモデルのNA2型はヘッドライトがプロジェクター型になるなどフロントマスクの印象が大きく変わった。さらに、NA2型の中で走りを追求したこの「NSX-R」は、ボンネットフードにダクトがあるほか、リアスポイラーがカーボン製になるなど、さらに印象が変わっている。「AUTOMOBILE COUNCIL 2017」にて撮影した。

 ホンダの初代「NSX」(NA1型)は1990年に登場した(紹介記事はこちら)。初代NSXは2005年12月に生産を終了するまでの約15年間に、マイナーチェンジを1回(1997年2月)、そしてスタイリングも大きく変更したビッグマイナーチェンジを1回(2001年12月)行っている。

 今回紹介するのは、ビッグマイナーチェンジモデルを経た際のNA2型の中でも、さらに走りを追求したグレードである「NSX-R」だ(型式はLA-NA2) 。「NSX-R」は、NA1型の時は「NSX タイプR」と呼ばれていたグレードだが、変更したものだ。

 「タイプR」とは、ホンダ車では、現行車種だと「シビック」、かつては「インテグラ」にもあったが、走りを追求したスペックのグレード名。ホンダ党でなくても、クルマ好きの多くの方がご存じのことだろう。

 初代「NSX」は通常のグレードでもスーパーカーとして十分運動性能が高いのだが、さらに軽量化を図るなどして、より走りを追求した「NSX タイプR」が設定されていたのである。

NA1型もNA2型も同じ初代「NSX」であるため、大きなラインは変わっていない。しかしNA2型になった際にフロントマスクなどが大きく変わった上、その「タイプR」である「NSX-R」はさらにさまざまな部分が変更されている。

リアビュー。リアウィングがカーボン製に変更され、車体下端(両マフラーの間)にリアディフューザーが設けられるなど、走りの性能をさらにアップする改良が施されている。

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NA1型との比較で「NSX-R」(NA2型)の変更点を見てみる!

NA1型とNA2型(NSX-R)の比較・フロント編

 フロント部分のNA1型からNA2型への変更点は、ヘッドライトがリトラクタブル方式からプロジェクター方式に改められたことはわかりやすい。それに伴い、フロントマスクも変更が施された。「NSX-R」はさらにフロントアンダーカバーがフィン付きとなっている。

「NSX-R」のフロントアンダーカバーに小型のフィンが設けられており(黒いフロントスポイラーのすぐ上の部分)、ここでもダウンフォースが発生するようになっている。リアディフューザーによる負圧効果なども加え、こうした全体の細かい改良により、車体を浮き上がらせてしまう揚力を完全に打ち消し、逆に地面に押さえつける「マイナスリフト」を実現した。当時、一般車でマイナスリフトを実現したクルマは希有な存在だったという。

NA1型のフロントマスク。リトラクタブル方式はヘッドライトが出てくるので、そこがかっこいいという意見もあり、好みの分かれるところ。NA1型のフロントアンダーカバーの下端は斜め下方に下がっており、フィンは設けられていない。また、正面のエアインテークも形状が異なる。NA2型の方が開口率が低減しており、空気の流入が制限されている。

NA2型のヘッドライトのアップ。プロジェクター方式になり、ヘッドライト点灯時の空力(cd値)の悪化を防げるようになった。なお、ディスチャージ型。またウィンカーの位置も変更となり、NA1型のヘッドライト下からヘッドライトと一体となり、内部の2灯ライトのすぐ外側に設けられている。

NA2型の中でも、「NSX-R」にのみ設けられているのが、ボンネットフード上のエアアウトレットダクト。大きなダクトを設けることで流入する空気の抜けをよくしている。なお、ボンネットフードはカーボン(CFRP)製だ。

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続いて、NA1型とNA2型のリア部分の違いを比較!

NA1型とNA2型(NSX-R)の比較・リア編

 リアはNA2型になってバンパースカートが採用された。

 また「NSX-R」に関してのみ、スポイラーがカーボン製に変更されている。よりハイマウントになっていることから、ウィングに近い形状だ。さらに下部後端のディフューザーが追加されている。

 さらにリアに関しては、NA2型ではコンビネーションランプが採用された。

「NSX-R」のみカーボン製のリアスポイラーとなっている。LEDハイマウント・ストップランプを内蔵。量産車としては世界初となる、大型中空成形による一体構造となっている。

NA1型のリアスポイラー。NA2型の「NSX-R」以外のグレードは同様のデザイン。

リアディフューザーの追加も「NSX-R」ならではの変更点。下端にある、垂直に整流板が下方に延びているパーツがディフューザー。車体下面を抜ける空気を整流し、跳ね上げを利用して後方に素速く通過させることで負圧を生じさせ、マイナスリフトを生じさせる仕組み。また、バンパーの形状がNA1型とNA2型では異なり、NA2型ではバンパースカートが装備されている。

NA1型の下部後端には跳ね上げ処理はされているが、垂直に下方に延びる整流板がなく、ディフューザーとしての効果が「NSX-R」のものに比べると弱い。そしてバンパーの形状がNA1型はスッキリしている。

「NSX-R」の真後ろからのビュー。NA2型になってコンビネーションランプが採用された。リアバンパースカートや、「NSX-R」のカーボン製スポイラーがハイマウントであることなどもよくわかる。マフラーの径も大きい。

NA1型の真後ろからのビュー。NA2型と比較すると、細かい部分は違いが結構ある。

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NA1型とNA2型のさらにホイールやサイドの違い!

 サイドで大きな違いは、アルミ鍛造ホイールのデザイン。ワシマイヤー(現BBSジャパン)と共同で新デザインのアルミ鍛造ホイールが開発された。またNA2型になってタイヤサイズが変更され、インチアップしている。

 また細かい部分だが、サイドエアインテーク内のガードの形状が異なる。NA1型「NSX タイプR」から踏襲する形で、「NSX-R」のものはメッシュになっており、異物を吸い込みにくい構造だ。

「NSX-R」のサイドビュー。

NA1型のサイドビュー。細かい部分は異なるが、ちょうど奥側に見えている2代目「NSX」と比較すると、NA1型もも上の画像の「NSX-R」も基本レイアウトが同じであることがわかる。

左がNA2型(「NSX-R」)の、右がNA1型のタイヤとホイール。NA2型はフロントが215/40R17、リアが255/40R17。NA1型はフロントは205/50ZR15、リアが225/50ZE16だった。要は、NA1型からNA2型になり、ホイールはフロントが2インチ、リアが1インチサイズアップ。タイヤ幅はフロントが10mm、リアは30mm太くなった。

サイドのエアインテークの形状は同じだが、ガードが「NSX-R」はアルミメッシュとなっている。これは、NA1型「NSX タイプR」より踏襲された要素のひとつ。

NA1型のサイドのエアインテーク。ガードがスリット状となっている。

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最後は「NSX-R」のスペック!

「NSX-R」のスペック

【サイズ・重量】
全長:4430×1810×1160mm
ホイールベース:2530mm
トレッド(前/後):1510/1540mm
地上最低高:125mm
車両重量:1270kg(通常のNA2型は1340kg)

【エンジン】
型式:C32B
種類・シリンダー数・配置:水冷V型6気筒横置き
排気量:3179cc
最高出力:206kW/7300rpm
最大トルク:304N・m/5300rpm
燃費消費率(10・15モード走行):8.6km/L

コックピット。レカロ社製バケットシートや、メッシュタイプのシフトブーツを備えたチタン製の球形シフトノブなどが備えられていた。

2017年10月5日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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