クルマのある暮らしをもっと豊かに、もっと楽しく

道路・交通最終更新日:2021.10.08 公開日:2021.10.08

危険!「茨城ダッシュ」は交通違反。茨城県警がSNSでNO!

信号が青色に変わった瞬間に猛スピードで右折する危険運転「茨城ダッシュ」。この危険運転に対して、茨城県警はSNSで「茨城ダッシュは交通違反です」との警告を行っている。行政処分が科せられるだけではなく、一歩間違えば危険な事故につながりかねない。その実態や罰則などについてまとめてみた。

記事の画像ギャラリーを見る

交差点は直進が優先。割り込み右折は交通違反

危険運転のイメージ

©dzono – stock.adobe.com

 道路の走り方のルールは、道路交通法という法律のもと、基本的に全国で統一されている。それにも関わらず、一部の地方で慣習のようになっている走り方もあり、「ご当地ルール(ローカルルール)」と呼ばれたりもする。たとえば「伊予の早曲がり」、「名古屋走り」、「松本ルール」などいろいろな呼ばれ方があるが、もちろんどれも正しいルールではない。

 そんな中、今年8月、あるご当地ルールがSNSで話題になった。「茨城ダッシュ」である。投稿によると「茨城ダッシュ」とは、交差点手前で赤色信号停止していて、青色信号へと変わった瞬間、またはその直前に猛スピードで対向直進車よりも先に右折することのようだ。

 これに対して茨城県警は、SNSの公式アカウント上で「茨城ダッシュは交通違反です」との警告を行った。道交法にもとづくと、この茨城ダッシュは以下の3つの違反にあたるという。

「茨城ダッシュ」における3つの交通違反と反則金表

「茨城ダッシュ」における3つの交通違反と反則金表

 一つ目は、交差点右左折方法違反。これは道交法34条第2項で「自動車等は交差点で右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ交差点の中心直近の内側を徐行しなければならない」と定められている。つまり、青色信号で対向車が無い場合であっても、交差点を猛ダッシュで右折すること自体が違反行為にあたるのだ。

 二つめは交差点優先者妨害違反だ。道交法37条には、「車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進または左折しようとする車両等があるときは当該車両等の進行妨害をしてはならない」とある。これは、まさに対向車がいるにも関わらず、割り込むように猛スピードで右折してくる茨城ダッシュの状況に当てはまる危険行為だ。

 そして、三つ目は信号無視。青色信号へと変わった瞬間の発進は、時としてまだ信号が変わり切っていないタイミングになることがあるからだ。

 これらに違反すると、普通自動車の場合で4000円~9000円の反則金が科せられる。

(株)JAFメディアワークス「ドラドラ動画」より

 実際に、左折時に割り込まれた様子が、ドラレコ投稿サイト「ドラドラ動画」に投稿されていた。動画では、対向車がいるにも関わらず躊躇なく右折する瞬間が確認できる。投稿者によると、いきなり飛び出してきてギリギリの距離を横切って行ったという。このような予期せぬ状況では、咄嗟にブレーキを踏めないで衝突事故になってしまう可能性は十分に考えられる。

 ちなみに2016年にJAFが行った「交通マナーに関するアンケート」によると、茨城県では「無理な割り込みをする車が多い」と回答した人が65.1%。「交通マナーが悪いと思う」と回答した人は67.2%と全国で3番目であった。

 茨城県警は、「茨城ダッシュは注意力が対向車に集中し、右折先の横断歩行者や自転車に気づくのが遅れやすく、交通事故発生の危険性が大きくなる」とその危険性を強調している。安全に右折をするためには、道路中央に寄ってから対向車線と横断歩道の安全を確認し、交差点中心の内側を徐行しながら走行。そして、横断歩道手前で再確認をする必要がある。

「伊予の早曲がり」「名古屋走り」など。全国の危険なご当地ルール。

交差点での交通事故イメージ

©Pink Badger – stock.adobe.com

 今回話題になったご当地ルールは「茨城ダッシュ」だが、他の地方にも存在する。右折に関するものでは「伊予の早曲がり」「松本ルール(松本走り)」なども有名だ。右折以外でも、信号無視や車線をまたいで左右に車線変更を繰り返す「名古屋走り」、黄色信号に変わるとスピードを上げて交差点に進入する「阿波の黄踊り」など、全国には多数の危険なご当地ルールがある。

 いずれも道交法違反になることは言うまでもないが、ご当地ルールのさらに危険なところは、その地域のドライバーにとっては習慣化した行為であるため、ご当地ルールを知らない他地域の人が混在したときに、より大きな危険が発生するということ。茨城県警は、注意喚起で「大事故を起こす前に運転を見直しましょう」と警鐘を鳴らしている。

記事の画像ギャラリーを見る

この記事をシェア

  

応募する

応募はこちら!(4月30日まで)
応募はこちら!(4月30日まで)