スピード違反はやっぱり危険!死亡事故件数で明らかに
警察庁が2021年2月に発表した「交通事故の発生状況等について」によると、時速60キロ以上で発生した死亡事故の98%以上が、規制速度超過であることが分かった。
規制速度超過の死亡事故率は約12倍
警察庁は2月18日、「令和2年における交通事故の発生状況等について」を発表した。これは、交通事故による死者・重傷者数やその発生状況などの統計をまとめたものである。その中には、車の速度と事故発生件数に関する統計もある。それによると、加害者側の車の速度が速いほど、その車は規制速度超過、いわゆるスピード違反を犯していた割合が高いことが分かった(以下のデータは、一般道での第1当事者(いわゆる加害者)の危険認知速度別事故件数)。
このデータからは二つのことが読み取れる。ひとつは、死亡事故のうち49.8%が時速40キロを超える速度域で発生しており、時速30キロ超で見ると3分の2にも達していることである。もうひとつは、時速50キロを超える死亡事故では約半数が規制速度を超過しており、時速60キロを超えるとほとんどが規制速度を超過しているということである。
規制速度超過による死亡事故率は、2013年に警察庁が発表した資料(※)によると、規制速度内の約12倍にもおよぶという。シミュレーションの結果、規制速度を超過しなければ、死亡事故に至らなかったと考えられる件数は、そのうちの約3割にもあたるそうだ。
※「速度規制の見直し状況と課題」
次に、同様な条件で重傷事故と速度との関係を見てみよう。グラフを見て一目で分かるのは、死亡事故と異なり、時速20キロ以下の低速域でより多く発生していることだ。死亡事故とは逆の傾向が読み取れる。
この傾向は、昨年だけに限られたことではない。同じ条件での2015年~2019年の統計においても、速度が上がるほど規制速度超過の割合が高くなっている。
警察庁によると、走行速度と視覚能力には関連性があり、運転に必要な情報の90%以上が視覚に依存されるという。速度を出すと視野が狭くなり、例えば時速40キロの場合の視野が100°であるのに対して、時速130キロの場合は30°にまで狭まるそうだ。警察庁の資料「速度による停止距離」では、例として、運転中、前方30mに子どもが飛び出してきた場合、時速50キロでは衝突を回避できるが、時速60キロでは衝突すると記されている。たった10キロの速度超過が、死亡事故リスクを増やすということを覚えておきたい。
※本文中資料は、いずれも構成率は調査不能を除外して算出。また、一般道における自動車が第1当事者の件数を計上したものである。