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道路・交通最終更新日:2023.06.16 公開日:2021.01.30

ホワイトアウトが発生しやすい3つの地形・3つの状況とは

2021年1月は、吹雪などで視界が一面真っ白となるホワイトアウトが各地で発生し、高速道路などで立ち往生や多重事故が発生した。ホワイトアウトとは、どういった状況で発生するのだろうか。独立行政法人寒地土木研究所の情報を紹介する。

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こんな3つの地形の道路でホワイトアウトが発生しやすい

ホワイトアウトが発生しやすい地形

ホワイトアウトはどのような地形・状況で起きやすいのだろうか(※写真はイメージです) © Vitaliy Kaplin- stock.adobe.com

 吹雪や強風などで雪が舞うことで視界が白くなり、道路や景色の区別がつきにくくなる現象が、「ホワイトアウト」だ。ホワイトアウトが発生する原理は、空中に浮遊する雪に光が散乱・吸収・反射され、人の目に届く光の量が少なくなる。その結果、物体と景色を識別するための、色や陰影のコントラスト差がなくなり、遠近の感じられない平板な真っ白の景色にしか見えなくなる。そのため、ホワイトアウトのことは「視程障害」とも呼んでいる。

独立行政法人寒地土木研究所によると、ホワイトアウトが発生しやすい道路の条件は「周囲の開けた平坦な地形の道路」「峠区間や急峻地形の道路」「切土区間や盛土との境の区間」の3つがあるという。

1つ目の「周囲の開けた平坦な地形の道路」とは、風を遮る樹木や建物が少ない田畑や平原などを思い浮かべてほしい。このような地形では冬に雪が積もると雪原になり、そこに強い風が吹くと「飛雪」や「吹きだまり」が起きやすい。このような地形にある道路では降雪や吹雪でなくても、ただ風が吹くだけでホワイトアウトが発生しやすいのだ。

雪原を通る道路

風を遮るものが少ない雪原ではホワイトアウトに要注意(※写真はイメージです) © Tom Eversley – stock.adobe.com

 2つ目の「峠区間や急峻地形の道路」とは、山や坂の斜面が急な峠や谷間のような地形のことだ。このような地形は気象の変化が激しく、道路での視界も短い区間で急変しやすい。つまり平野部よりも天候の変化が目まぐるしく、急な斜面を風が吹き下ろしてくれば、ホワイトアウトが発生しやすくなる。

峠などの急峻な地形でのホワイトアウト

峠区間や急峻地形にある道路では、吹き降ろす風でホワイトアウトが発生する(※写真はイメージです) © Biletskiy Evgeniy – stock.adobe.com

 3つ目の「切土区間や盛土との境の区間」の地形は、山を切り崩して谷となっているところが「切土」で、谷や平地に土を盛ったところを「盛土」というが、上部で発生した飛雪が切土にある道路に吹きだまり、ホワイトアウトが発生する。そして切土と盛土が隣接するような「境」となるところでは、盛土から切土に吹き込む風によってホワイトアウトが発生することもある。

切土、盛土の境でのホワイトアウト

道路が周辺より一段盛り上がっている地形「盛土」(※写真はイメージです) © Tom Eversley – stock.adobe.com

 いずれも降雪がなくとも風だけでホワイトアウトが発生する可能性があるので、出発前の天気情報の確認では降雪・積雪だけでなく、風の強さにも注意しておこう。

ホワイトアウトが発生しやすい3つの状況

寒地土木研究所は、ホワイトアウトが発生しやすい状況についても発表している。それは「気温が低く風が強いとき」「道路の雪堤が高いとき」「大型車からの雪煙」の3つ。

1つ目の「気温が低く風が強いとき」は、低気温で風速が秒速8m以上になると積もった雪が吹き上げられるようになる。地吹雪が発生している状態で、高く吹き上げられたものは、乗用車に乗車するドライバーの平均的な目の高さである1.2mを超えることもある。そのため、ドライバーは上下や平衡感覚に影響を及ぼすような厳しいホワイトアウトに陥る。なお気温が1度を下回る際の強風では、吹雪が起こりやすいという統計がある。

2つ目の「道路の雪堤が高いとき」は、路側帯や道路に隣接した土地に高い雪堤(雪山)があるときだ。高い雪堤は強い風がなくてもドライバーの目線まで雪が舞い上がりやすいので、ホワイトアウトが起こしやすい。

高い雪堤が隣接する道路

高い雪堤が隣接する道路(※写真はイメージです) © G.Takase – stock.adobe.com

 3つ目の「大型車からの雪煙」とは、大型車両が走行することによって発生する、側方や後方に巻き上がる雪のことだ。この雪煙の中に追い越される車が入ると、一瞬のうちにホワイトアウトが起きるケースがある。また道路上に新雪が積もっている状況では、追い越し車だけでなく対向車も雪煙でも視界を奪われることがある。対処としては大型車との車間に余裕を持つことや、大型車が近づいたらワイパーを作動させるなどがある。

大型車の後方に起こる雪煙

大型車の後方に発生する雪煙(※写真はイメージです) © Roman Babakin – stock.adobe.com

 このような3つの地形・状況の道路を通過する際は、ホワイトアウトが起こるかもしれないことを頭に入れておこう。またホワイトアウトが起きた際の運転対処については、「ホワイトアウトでの運転はハザードランプが〇、ハイビームは×」(https://kurukura.jp/safety/20210128-81.html)の記事を参照してほしい。

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