2020年10月24日 07:00 掲載

交通安全・防災 ブラックアイスバーンの危険性と注意点

冬にクルマを運転する時に気を付けたいことのひとつに、路面凍結がある。特に、ウェット路面などと見分けが付きにくい凍結路「ブラックアイスバーン」には、より注意が必要だ。一体どのような場所にブラックアイスバーンは潜んでいるのだろうか。危険性と、走行時の注意について紹介しよう。

くるくら編集部 会田 香菜子

雪が少ない道でも注意!危険な路面凍結「ブラックアイスバーン」

一見、ウェット路面のように見える「ブラックアイスバーン」

© YsPhoto / PIXTA(ピクスタ)

 秋も深まり、朝晩の冷え込みに冬の気配を感じる日が多くなってきた。そして冬になると、運転する時に気を付けたいことに路面凍結によるスリップがある。この凍結した路面のことを「アイスバーン」という。アイスバーンは、道路の雪が踏み固められて氷になる「圧雪アイスバーン」、それがさらにスタッドレスタイヤによって磨かれ、鏡のように反射する「ミラーバーン」、そして一見すると黒く凍結していないように見える「ブラックアイスバーン」に分類されることもある。

2019年の交通事故発生件数は、年間平均が3万1770件なのに対して、10月~3月の平均件数は3万2820件である。

出典:警察庁「交通事故統計(2019年)」より

 警察庁の統計によると、2019年の交通事故発生件数は、10月から3月にかけて比較的多い傾向にある。統計上は、秋から冬にかけては、交通事故のリスクが高くなるわけだ。その季節的な要因を考えると、日没時間が早くなり視界が悪くなること、スリップ事故が増えてくることが推察できる。

2010年の北海道内の冬型事故は、スリップ事故が83.9%で大半を占めていた。

出典:国立研究開発法人 土木研究所 寒地土木研究所「冬期気象条件下における交通事故発生形態について」より

 さらに調べてみると、少し古い資料ではあるが、2010年の北海道内の冬型事故(スリップ事故、わだち事故、視界不良事故など)は、スリップ事故が83.9%で大半を占める割合であった(寒地土木研究所発表)。そして、スリップ事故の原因になるのはアイスバーン。その中でも、ブラックアイスバーンは凍結しているかどうかの判別が難しいので、より走行時の注意が必要だ。

 なぜ判別しづらいのか。それは、雪のないアスファルト路面に平滑に氷が張っているため、下のアスファルトが透けているからだ。日の当たり具合などによっては、乾いた路面にも見えてしまう。そのうえ、雪があまり降らない地域でもブラックアイスバーンに遭遇することがあり、例えば、晴れていても、前日に降った雨や山腹から染み出している湧き水などが夜中に凍結してできる可能性も十分にあり得る。JAFによると、アイスバーンになりやすい道路は以下の通りだ。

【ブラックアイスバーンが起こりやすい場所】
・トンネル出口付近
・風通しのよい橋の上や陸橋
・クルマが通ったあとの雪道のわだち

 残念ながらブラックアイスバーンを確実に判別する手段はないので、こうした場所では特に注意しながら慎重に運転するようにするしかない。

ブラックアイスバーンの制動距離はウェット路面の約6

出典:JAFユーザーテスト「ブラックアイスバーンテスト」

 もうひとつ、ブラックアイスバーンについて知っておきたいことは、その滑りやすさだ。JAF2013年に公開したユーザーテスト動画で、その様子を確認することができる。ユーザーテストでは、時速40kmで走行するクルマ(スタッドレスタイヤ装着)で、ABSが作動する急ブレーキをかけた場合の制動距離測定を行った。すると、圧雪路面では20.2mだった制動距離が、ブラックアイスバーンでは69.5mと停止までに3倍以上もかかることが明らかとなった。見た目が似ているウェット路面の11mと比べると、実に6倍もの差がある。ということは、ウェット路面のつもりで走行していると、想定以上にクルマが止まらず追突事故などにつながる可能性が非常に高いということだ。スタッドレスタイヤを装着しているからと過信してはならないことが痛感させられる動画だ。

 冬期の道路事情にあわせて、スタッドレスタイヤやチェーンを装着することは大切だ。しかし、冬の道路には一見してわからない「ブラックアイスバーン」のような危険が潜んでいる。急発進や急ブレーキを避け、速度を抑えて車間距離を十分にとった走行を心がけよう。