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道路・交通最終更新日:2019.10.21 公開日:2019.10.21

信号機のない横断歩道。一時停車した車は何パーセント?JAFが2019年調査結果を発表。

街中にある信号機のない横断歩道では、「歩行者優先」であることはドライバーならもちろん知っていることだろう。道路交通法でも規定されており、横断歩道を渡ろうとしている歩行者を無視して進めば違反となる。しかし、実態は果たしてどうなのだろうか。JAFで2016年から調査を続けている「信号機のない横断歩道における歩行者優先の実態」について、この度2019年の結果が発表された。

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信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査(2019年調査結果)

一時停止率は昨年から8.5%アップ。

 【調査結果の数値が2桁だった都道府県】信号のない横断歩道での一時停車率

出典:JAF「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査(2019年調査結果)」

 歩行者が横断歩道を渡ろうとしているとき、一時停止をした車は全国平均で17.1%1,660台)だった。昨年の調査結果に比べると8.5ポイントの増加となったが、それでも依然8割以上の車が一時停止をしていない状況である。
 調査開始した2016年からの推移を見てみると、2016年が7.6%で以後一年ごとに8.5%8.6%と横ばいの傾向であった。今年は前年比2倍以上の増加ではあるが、決して良い結果だとは言い切れないのが現実だ。
 道路交通法第38条では「横断歩道等における歩行者等の優先」が規定されており、横断歩道を渡ろうとする歩行者がいる場合には一時停止をし、その進行を妨げてはいけないことになっている。また、横断する歩行者がいないことが明らかでない限りは、いつでも一時停止できるように速度を落として進行しなければならない。
 さらに第38条の2には、「車両等は交差点又はその直近で横断歩道の設けられていない場所において歩行者が道路を横断しているときは、その歩行者の通行を妨げてはならない」ともある。違反した場合には罰則の対象となり、「三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する」(第119条の2)と決められている。「横断歩道における歩行者優先」は、法律で定められたドライバーの義務であることはしっかりと認識してほしい。

ドライバーが「一時停止」をしない理由とは?互いの思いやりが大切。

信号のない横断歩道/一時停車しない理由とは?

 2017年にJAFが実施した「信号機のない横断歩道」に関するインターネットアンケート調査結果からは、「一時停止をしない(できない)理由」について以下のような結果が上位にあがっていた。

・「自車が停止しても対向車が停止せず危ないから」 44.9%
・「後続から車が来ておらず、自車が通り過ぎれば歩行者は渡れると思うから」 41.1%
・「横断歩道に歩行者がいても渡るかどうかわからないから」 38.4%

「信号機のない横断歩道に関するアンケート調査(2017年6月)」より引用

 これらが止まらない理由にならないことは、道路交通法を理解している方なら分かるだろう。
 最初の「自車が停止しても対向車が停止せず危ないから」は、たしかに実際に遭遇することのある状況だ。この場合は一時停止したうえで、歩行者が危険な状況であれば、窓を開けて伝えるとか、クラクションで教えるなどの対処をしてほしい。
 一方、歩行者も、横断歩道では優先であるとはいえ、事故にあわないためには、左右をよく確認をしてから横断するなどの注意が必要である。また、同アンケートの「歩行者がどのようなことを実践すればドライバーは一時停止してくれるか?」という問いでは、「歩行者がドライバーを見て手を挙げる」という回答が8割近くも挙がっていた。
 こういった歩行者の協力があれば、横断歩道はより安全になるだろう。手を上げる際のポイントは、車ではなくドライバーを見るようにすることで、それだけでも、横断の意思はよりドライバーに伝わりやすくなる。車を降りたら、ドライバーも歩行者だ。そういった路上の状況を分かっている方が歩行者になったときこそ、率先した手を上げてほしいと思う。
 ドライバーと歩行者でコミュニケーションが成立することで、どちらが優先?というどこかギスギスした関係を抜けだし、どちらも笑顔になれる。そんな “思いやり” が交通マナーにあふれることで、道路はより安全になるはずだ。

みんなが笑顔に。JAF「思いやりティドライブ」プロジェクト。

JAF 思いやりティドライブ

JAF Omoiyalty Drive「思いやりティドライブ」(https://omoiyalty.jp/) 

 法律で定められているのだから、ドライバーは「歩行者優先」のルールを守らなければならない。しかし、「法律だから」という行動理由だけではなく、そこに相手のことを思いやる気持ちを加えたら、きっと歩行者だってそれに笑顔で応えてくれる。
 「どうぞ」「ありがとう」というやり取りを気持ちよく笑顔でかわせたら、それはきっと素敵な社会へとつながるはずだ。
 JAFでは、「街をゆく全てのクルマが思いやりいっぱいだったら、もっと素敵な交通社会が成り立つはず。」という想いを込めて201611月から「Omoiyalty Drive(思いやりティドライブ)」プロジェクトを実施している。ドライバーの一人ひとりが「思いやり」について考える運転マナーへの賛同をひろく呼びかけており、公式サイトで賛同表明ができる。
 また、1024日から開催される「東京モーターショー」のJAFブース内でも同プロジェクトの賛同受付が可能だ。興味がある方はぜひイベントを楽しみながら、自分の運転マナーについての意識を高めるきっかけとして賛同をしてみてほしい。

 周りに気を配り相手の立場に立って考えることは、コミュニケーションの中で大切なこと。それは、交通マナーにおいても同じことである。今回の調査結果から交通ルールへの理解の重要性を再認識し、法律を守ることはもちろん、お互いが笑顔になれるような「思いやりのある運転ライフ」を実現していきたいものである。

【「信号機が設置されていない横断歩道」における歩行者優先実態調査方法などについて】
・調査期間:2019年8月15日~8月29日 ※月曜日~金曜日の平日のみ
・調査時間:10時~16時
・調査場所:各都道府県2カ所ずつ(軽94カ所)の信号機が設置されていない横断歩道
 センターラインのある片側1車線道路。原則として、調査場所の前後5m以内に十字路及び丁字路交差点がない箇所で、道路幅員が片側2.75m~3.5m、交通量が3~8台/分(目安)とし、制限速度が40km~60km/hの箇所
・調査対象:自家用自動車、自家用トラック(白ナンバー) 
・調査方法:横断歩行者はJAF職員、調査回数は1カ所50回の横断
・調査台数:9,730台
・天候条件:小雨を含む雨天時以外

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