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ライフスタイル最終更新日:2018.01.16 公開日:2018.01.16

【2018/1/6~3/11】 ヨーロッパ史上最大のオタク!? 「ルドルフ2世の驚異の世界展」

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◆ルドルフ2世の写実的肖像画(左)と野菜や花を使って表現したアンチンボルドの作品。ウェルトゥムヌスとは、ローマ神話に登場する果樹と果物の神のことをいう◆左:ハンス・フォン・アーヘン作のコピー 《ハプスブルク家、神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世の肖像》 1600年頃、油彩・キャンヴァス、スコークロステル城、スウェーデン Skokloster Castle, Sweden。右:ジュゼッペ・アルチンボルド 《ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像》 1591年、油彩・板、スコークロステル城、スウェーデン Skokloster Castle, Sweden

 神聖ローマ帝国皇帝として君臨したルドルフ2世(1552~1612)は、稀代の収集家として知られている。
 その彼の膨大なコレクション「驚異の部屋」の世界を紹介する「神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展」が3月11日まで、東京のBunkamura ザ・ミュージアムにて開催されている。

ルドルフ2世は、ヨーロッパ史上最強のオタク!?

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◆左の杯と蓋は灰褐色の瑪瑙で、豪奢な宝石の数々で装飾されている。右の貝の杯はダチョウの脚に乗っており、脚の先端のかぎ爪まで黒いエナメルで塗られるなどディテールまで凝った装飾がなされている。蓋には兵士が立ち剣を持ってトカゲを威嚇する◆左:《蓋付き杯》 1600年代、瑪瑙、銀、月長石、アメジスト、スコークロステル城、スウェーデン Skokloster Castle, Sweden。右:《貝殻の杯》 1577年、貝殻、銀、スコークロステル城、スウェーデン Skokloster Castle, Sweden

 ルドルフ2世がプラハの宮廷にある「驚異の部屋」に集めたものは、当時の一流の芸術家による絵画(その数は3000点にも及ぶ!)や彫刻、驚くべき技巧を凝らした工芸品、望遠鏡や時計など最新の技術、森羅万象の謎を解くための占星術、天文学や錬金術の書物、地球儀や天球儀、貴重な鉱石や宝石、イッカクの牙など珍奇なモノ、新奇な植物や動物、楽器など。

 彼はあらゆるものを集めた。それも栄華を極めたハプスブルク家の富を使ってだから、お抱えの画家に直接注文するなど、一般の収集家とは規模も方法も異なる。展示品のひとつである、コレクションの目録の厚さからだけでもそれが尋常ではないことが窺える。

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◆あらゆる季節の花が花瓶に集合した植物学的小宇宙たる作品◆ヤン・ブリューゲル(父) 《陶製の花瓶に生けられた小さな花束》 1607年頃、油彩・板、ウィーン美術史美術館 ©KHM-Museumsverband

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究極の趣味人のワンダーランドへようこそ!

 偏愛ともいうべきルドルフ2世のモノへの強いこだわりはいったいどこから来るのだろうか? 展示室を巡るごとに、この質問を胸に抱く来館者は多いと思う。 

人はなぜ収集するのか?

 一説では、繊細で芸術を愛する気質の皇帝が、政治、宗教、権力の争いから遠ざかるための逃避先として完全な小宇宙を作ったという。
 また、並外れた知識欲があった彼は、天地創造と神秘の世界の謎を解明することに飽くことなき関心を抱き、世界中の知識人が集結する「驚異の部屋」を形成したという説もある。

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◆ルドルフ2世は生きた動物を集めた動物園をも所有しており、馬の愛好家としても知られていたという。そのお抱え画家の一人、ルーラント・サーフェリーは、多種多様な動物たちが画面いっぱいに集う独特の形式を発展させ、愛らしい動物画を数多く描いた◆ルーラント・サーフェリー 《動物に音楽を奏でるオルフェウス》 1625年、油彩・キャンヴァス、プラハ国立美術館、チェコ共和国 The National Gallery in Prague

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ルーラント・サーフェリー 《2頭の馬と馬丁たち》 1628年、油彩・板、コレクトレイク市美術館、ベルギー Loaned from the City Museums, Kortrijk (Belgium)

 その答えは”彼のみぞ知る”であるが、ジュゼッペ・アルチンボルドをはじめ、ルドルフ2世が愛好した芸術家を中心に、版画を含む絵画作品約80点と当時のコレクターズアイテムであった工芸品や天文道具約20数点、天文学や錬金術に関する資料など120点あまりの作品で構成された本展覧会、究極の趣味人のワンダーランドに深く沈めば何かが見えてくるかもしれない。

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◆自然の博物を主題とした細密画を特異としたフーフナーヘルは、ルドルフ2世の求めに応じて繊細で装飾的な挿絵を写本に施した。感嘆すべき細密画は、日本初公開◆ヨーリス・フーフナーヘル 《人生の短さの寓意 花と昆虫のいる二連画》(部分) 1591年、水彩・ヴェラム、リール美術館 Photo©RMN-cliché Stéphane Maréchalle

 たぐいまれなコレクターの偏愛的心理を垣間見たいという一面。16世紀ヨーロッパ随一の栄華を映す豪華なコレクションという一面。ヤン・ブリューゲル、バルトロメウス・スプランガー、ルーラント・サーフェリーなど皇帝が庇護した卓越した芸術家の絵画作品を鑑賞するという一面。錬金術や占星術への傾倒など魔術的な魅力に満ちたミクロコスモスという一面。
 わたしたちの様々な知的好奇心を刺激し満たしてくれる展覧会である。

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◆バベルの塔は旧約聖書の「創世記」に記された物語。奢り高ぶり神に等しい存在である天国に達する塔を建てようとした不遜な人間に、神は罰を与え互いに理解する権力を奪うため独自の言語をもつ70の国に分裂させた。全てを手中に収めようとする人間の高慢さの象徴であるが、この絵が展示のはじまりに飾ってあるのも興味深い◆作者不詳 《バベルの塔》 1575-99年頃、油彩・キャンヴァス、コルトレイク市美術館、ベルギー Loaned from the City Museums, Kortrijk (Belgium)

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招待券プレゼントのお知らせ

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神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展
【会期】
2018年1月6日(土)~3月11日(日)
【開館時間】
10:00~18:00、毎週金・土曜日は21:00まで ※入館は各閉館の30分前まで
【休館日】
1月16日(火)、2月13日(火)
【会場】
Bunkamura ザ・ミュージアム(東京都渋谷区道玄坂2-24-1)
【入館料】
一般1,600円 他 ※詳細は展覧会HPでご確認ください
【アクセス】
・JR「渋谷駅」ハチ公口より徒歩7分
・東京メトロ銀座線、京王井の頭線「渋谷駅」より徒歩7分
・東急東横線、東急田園調布線、東京メトロ半蔵門線、東京メトロ副都心線「渋谷駅」(3a出口)より徒歩5分
【展覧会HP】
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/18_rudolf/

「神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展」のご招待券プレゼント応募は終了しました。
たくさんのご応募ありがとうございました!
賞品は抽選の上、2018年1月29日(月)に発送しました。

2018年1月16日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)

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応募はこちら!(3月31日まで)
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