【2017/10/17~12/20】 展示「表現への情熱 カンディンスキー、 ルオーと色の冒険者たち」に注目
ヴァシリー・カンディンスキー《商人たちの到着》1905年 宮城県美術館蔵
色とかたちを軸として、カンディンスキーを中心とするドイツ表現主義とルオーの共鳴を探る企画展「表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち」が12月20日まで、東京のパナソニック汐留ミュージアムにて開催中だ。
2人が生きた時代の背景
抽象画家の創始者ヴァシリー・カンディンスキー(1866~1944)と、20世紀フランス最大の宗教画家ジョルジュ・ルオー(1871~1958)、2人は新しい芸術を生み出そうとする熱気溢れた20世初頭のヨーロッパに生きた。
当時のヨーロッパは産業革命や植民地主義の進行などによって社会が大きく変わりつつあった。芸術の世界でも、社会不安や非西洋文明との接触などが刺激となり、従来のキリスト教的西洋中心の価値観が揺さぶられ、さまざまな新しい表現が試みられた。
ヴァシリー・カンディンスキー『青騎士年鑑』表紙 1912年刊 宮城県美術館蔵◆「青騎士(ブラウエ・ライター、ドイツ語: der Blaue Reiter)」は、1912年にカンディンスキーとフランツ・マルクが創刊した綜合的な芸術年刊誌であり、独ミュンヘンにおいて1911年12月に表現主義画家たちが集まった芸術家サークルだ。
キリスト教の聖人を証することに端を発する西洋絵画の伝統的手法に縛られていた当時のヨーロッパは、描かれる対象の表現が重要だった。しかしドイツ表現主義など新しい芸術の波は、描く画家の感情の表現を重視するという、より自由な表現形式の扉を開いた。
内なる声に従って到達した作品の境地
カンディンスキーとルオーに共通するのは、表現への情熱である。2人は内的な必然性から表現することを追求し、独自の絵画スタイルを確立した。
カンディンスキーは、事物の形から解放された色彩が形態と共に響き渡るまったく新しい抽象画の領域へ。一方、ルオーは太い輪郭線と色鮮やかな画風で表現する深いキリスト教の精神世界へ。
展覧会では、互いに表現者として独自の世界を極めるまでの過程が、水彩画、版画、デッサン、書籍など、貴重な作品約130点によって示され、ビジターをクライマックスへと導く。
ヴァシリー・カンディンスキー《活気ある安定》1937年 宮城県美術館蔵
カンディンスキー、ルオー、クレーの豪華競演
展示の見どころは、カンディンスキー、ルオー、クレーの豪華競演である。
パウル・クレー《橋の傍らの三軒の家》1922年 宮城県美術館蔵
冒頭に紹介したカンディンスキーの抽象画に至る以前の代表作で、故郷ロシアへの憧憬を理想郷的に描いた《商人たちの到着》。それに、抽象画を確立した後の代表作《活気ある安定》。同じく抽象画家としての境地を開いたパウル・クレー《橋の傍らの三軒の家》。ルオーの最晩年の様式を代表する《降誕》や《キリストの洗礼》。
国内有数のカンディンスキーやクレー、表現主義絵画のコレクションを誇る宮城県美術館の作品を中心に、パリ・ルオー財団の協力により実現した約20点の初来日作品が集結した。
日本でルオーの魅力を紹介し続けるパナソニック汐留ミュージアムならではのラインナップを通して芸術表現への志向を探る展示会である。
ジョルジュ・ルオー《降誕》1953年頃 ジョルジュ・ルオー財団蔵
- 表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち
- 【会期】
- 2017年10月17日(火)~2017年12月20日(水)
- 【開館時間】
- 10:00~18:00(ご入館は17:30まで)
- 【休館日】
- 水曜日(ただし12/6、13、20は開館)
- 【会場】
- パナソニック汐留ミュージアム(東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階)
- 【最寄り駅】
- ・都営大江戸線「汐留」駅より徒歩約5分
- ・東京メトロ銀座線・都営浅草線・ゆりかもめ「新橋」駅より徒歩約6分
- ・JR「新橋」駅より徒歩約8分
- 【公式サイト】
- https://panasonic.co.jp/es/museum/
展示「表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち」の招待券プレゼント企画は終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました。賞品は抽選の上、11月27日に発送しました。
2017年11月20日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)