2022年07月08日 12:50 掲載
旧車 日本にはZがある「フェアレディZ/ダットサン240Z」──日本が世界に挑戦した名車たち(第1回)
伝説のはじまり
日産 フェアレディZ/ダットサン240Z
今年2022年の日本自動車界におけるトップスターといえば、なんといっても「フェアレディZ/ニッサンZ」の名を挙げないわけにはいくまい。
先ごろ国内でも販売価格やグレードなどが発表され、正式デリバリーの開始までカウントダウンの時期を迎えている新型Zは、今や日本のみならず、全世界のカーマニアがリリースを熱狂的に待ち受けている日本製スポーツカーである。
そんな世界的熱愛の起源となったのは、「Z」としての初代にあたるS30系「フェアレディZ(日本向け)/ダットサン240Z(海外向け)」。話題の新型Zに、内外装のデザインにもモチーフを引用された元祖Zは、アメリカやヨーロッパの愛好家にも日本製スポーツカーの素晴らしさを初めて周知させた功労車だったのだ。
世界が認めたスポーツカーの傑作とは?
第二次世界大戦の終結後、ヨーロッパの自動車メーカーは、世界最大の自動車マーケットとなっていたアメリカに熱い視線を向けていた。この時期、新大陸では時ならぬスポーツカーブームが発生していたことから、とりわけ外貨を渇望していたイギリスではMGやトライアンフ、オースティン・ヒーレーにジャガーなど、スパルタンかつ魅力的なオープンスポーツカーが続々と登場することになる。
そして戦後復興にいそしみ、世界に羽ばたこうとしていた日本からも、日産自動車がスポーツカーづくりに名乗りを上げた。まずは1959年に登場した「ダットサン・スポーツ(S211系)」および、その小改良版である「ダットサン・フェアレデー(SPL212/213)」を、主に北米向けに少数生産。
さらに1962年には「ダットサン・フェアレディ(SP/SPL310)」へとフル・モデルチェンジを遂げ、のちに「フェアレディ1600(SP/SPL311)」を経て「フェアレディ2000(SR/SRL311)」に最終進化した。これらのモデルは、北米を中心とする海外では「ダットサン・ロードスター」とも呼ばれ、特にSP310以降は一定の成功を収めることができた。
ところがこの時代のアメリカでは、対衝突安全性を重視する機運が急速に高まっていたこと。また、スポーツカーにも快適性を求めるリクエストが多数を占めるようになっていたことから、古典的かつワイルドな高性能ロードスターだった「フェアレディ2000」に対して、後継となるS30系フェアレディZは1970年代を見据えたグラントゥリズモ(GT)。クローズドルーフを持つ、快適なクーペとして企画された。
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