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クルマ最終更新日:2019.12.03 公開日:2019.12.03

動画で見る「ベレット1600GT Type-R」【昭和の時代の時間箱・2】

映像作家兼カメラマンの尾形賢氏が独自に制作している旧車動画「昭和の時代の時間箱」。ナレーションを追加したパークブログ版第2弾として、「ベレット 1600 GT Type R」をピックアップ。その軽快な走りを動画でご覧いただこう。

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いすゞ「ベレット1600GT Type R」。

いすゞ「ベレット1600GT Type R」。日本初のグランツーリスモだ。

 いすゞは、現在でこそ大型商用車メーカーだが、かつては乗用車も手がけていた。今でも愛好家が多い車種のひとつが、1963年6月に発売され、1973年9月までの10年4か月で17万737台が生産された「ベレット」だ。

 中でも、1964年4月に追加されたスポーツグレードの「ベレット1600GT」、通称”ベレG”は人気が高い。キビキビと操縦でき、走りの軽快さが楽しいクルマとして知られている。

「ベレット1600GT」は日本初のグランツーリスモ

 「ベレット1600GT」は、国産車で初めてGT=グランツーリスモ(グランドツーリングカー)を名乗ったスポーツカーだった。同時期に、プリンス時代の2代目「スカイライン」にも「スカイラインGT」が存在するが、その発売は1964年5月1日。わずかに「ベレット1600GT」の方が早かったのである。

 そして1969年には「ベレット1600GT」の中に、さらに走りを求めたグレードの「ベレット1600GT Type R」(以下、「ベレット1600GT-R」)が追加された。今回動画で紹介するのは、この「ベレット1600GT- R」だ。オーナーの運転により撮影は行われた。

「昭和の時代の時間箱」パークブログ版「ベレット1600GT Type R」編。撮影・尾形賢氏(STUDIO OGATA)。ナレーション・神林良輔。再生時間4分17秒。

動画の「ベレット1600GT-R」はどんなクルマ?

 今回の「ベレット1600GT-R」は1970年式で、オーナーが入手したのは2007年8月のこと。知人が外装をレストアしており、それを譲ってもらったという。オーナーは15台の旧車を乗り継ぎ、現在はほかにもトヨタ「パブリカ」(UP20型とKP30型の2台)、「スバル360」も所有している。

 「ベレット1600GT-R」は譲ってもらった時点で車検を何とか通る程度の状態で、最初はさまざまなトラブルが発生して大変だったという。自身で、エンジンやミッションのオーバーホール、足回りの部品交換や調整、マフラーの交換などを実施。そうしてきちんと走れるようにし、現在までに4万5000kmほど走っているとのことである。

オーナーになったことで素晴らしい人たちと出会えた

 オーナーは、かつては週1回のペースでイベントやクラブのツーリングなどに参加していたが、現在は時間的な余裕がないことから、月1回ほどのペースで運転しているという。

 旧車はしばらく乗らないとエンジンのかかりが悪くなったり、バッテリーが弱ってしまっていたり、暖機運転が必要だったりと、走らせるまでに時間がかかるもの。「ベレット1600GT-R」もその例に漏れないため、乗るときは準備と意気込みが必要な上、エアコンもないことから、あまり普段使いには向かないとのことである。

 現代のクルマのように手軽で快適とはいかないが、「ベレット1600GT-R」のオーナーとなったことで、大きなものも得られたという。「乗っていなかったら出会うことのなかった、素晴らしい人たちと出会えたことはとても大きいですね」と語ってくれた。

今ではエンジンが止まってしまったトラブルもいい思い出

 仙台と広島でエンジンが止まってしまったときは、「なんでこんなクルマに乗っているんだろう?」と思ったが、多くの人の助力を得て、無事帰宅できたそうだ。「ベレット1600GT-R」には、トラブルが発生する度に原因究明や応急処置など、旧車ならではの対処方法を勉強させてもらったという。「故障はない方がいいに決まっていますが、そうした数々のトラブルも今ではいい思い出です」と、旧車のオーナーならではの言葉を語ってくれた。

 苦労も素敵な思い出に変えてくれる。そんな魔法を使えるのが、名車なのだろう。「ベレット1600GT-R」のような名車は、これからも長く乗り継がれていってほしいものである。

【動画の「ベレット1600GT-R」のスペック】
名称:ベレット1600GT Type R
型式:PR91W
年式:1970年
購入時期:2007年8月
走行距離:約4万5000km

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