2018年12月28日 01:30 掲載
旧車
往年のいすゞの名車たち!
「ベレット」、「117クーペ」、「ジェミニ」、「ピアッツァ」を集めてみた
国内の乗用車市場からは完全撤退してしまったいすゞだが、現在でも海外では乗用車の製造・販売を続けている。これはその1車種で、タイで生産されている「mu-x」(ミューエックス)。同じくタイで生産されているピックアップトラック「D-MAX」をベースとしてる。外見はSUVだが、駆動方式は2WDで、パッセンジャーピックアップビークルという目的の車種。
現在では、トラックやバスなどの商用車メーカーとして知られるが、かつては乗用車も手がけ、数々の名車を送り出してきたメーカーとして知られているいすゞ。前身の東京石川島造船所が自動車製造に進出した1916年を、同社の創業としている。
その後、英ウーズレー社と技術提携を結び、1922年にはトラック「A9型」の国産第1号を完成させ、自動車の生産をスタート。1929年に自動車製造部門が独立して石川島自動車製造所となり、1933年にはダット自動車製造を吸収した。1937年4月9日に東京瓦斯電気工業(とうきょうがすでんきこうぎょう)と合併し、社名を東京自動車工業に。これが現在のいすゞの企業としてのスタートであり、創業記念日は、創業日とは異なりこちらの日となっている。
「いすゞ自動車株式会社」への社名変更は1949年のこと。その由来は、1934年には商工省(現・経済産業省)が掲げた標準形式自動車を開発し、三重県・伊勢神宮の近くを流れる五十鈴川にちなんで「いすゞ」と命名したことから、それが社名にも採用された。
その後、いすゞは1960年代から1980年代にかけて、自動車史に名を残す乗用車を生産。国内では2002年で乗用車の製造から完全撤退(海外では現在も乗用車の製造・販売を行っている)してしまったが、「ベレット」や「117クーペ」、「ジェミニ」、「ピアッツァ」など、今なお愛好家が多い。今回は、それらを紹介する。
いすゞの大型トラック「ギガ」。現在はトラックなどやバスなどの商用車メーカーだが、かつては乗用車も手がけていた。「ジャパントラックショー2018」のいすゞブースにて撮影。
日本初のGTカーが設定された「ベレット」
「ベレット1600GT」。年式は不明。「ベレG」こと「ベレット1600GT」は「ベレット」を語る上で外せない、日本初のグランツーリスモ(グランドツーリングカー)とされる1台。1964年4月に発表され、1万7439台が生産された。「お台場旧車天国2017」にて撮影。「ベレット1600GT」のパレード走行を収めた動画は、別記事『【トヨタ博物館 クラシックカー・フェス 2018】(4)1960年代後編は、ホンダ「S800」やいすゞ「ベレット 1600GT」など国産の名車を集めてみた!』に収録した。
いすゞは戦後になると、1953年に「ヒルマン」、1961年に「ベレル」を発売。そして1963年に発売されたのが、「ベレット」だ。その名称は小さい「ベレル」という意味が持たせられており、可愛い「ベレル」の妹というつもりで命名されたという。ちなみに「ベレル」とは、ベルが50個(ローマ数字の50はL)=五十鈴(いすゞ)という意味。
「ベレット」はセパレート・シートや4段フロアシフトなどを採用し、さらに同クラスの国産車では初となる4輪独立懸架方式のサスペンションも採用。当時の国産車としては先進的な設計を採り入れた1台だった。またエクステリアには「オーバルライン」というスタイリングを採用し、ヨーロッパ志向も特徴だった。
当時、日本の自動車市場は商用車から自家用車へとシフトしつつある時期。いすゞはマイカー時代の到来を予見し、自家用車層にターゲットを絞って「ベレット」を開発した。内外装、エンジン、トランスミッションなどを自由に組み合わせて、ユーザーが自分だけの1台を作れるという当時としては新しい仕組みを採用していたことも特徴だった。
「ベレット」は1963年6月から1973年9月までの10年4か月で、全グレード合計で17万737台が生産された。「ベレット1600GT」については、自動車ライター下野康史さんの連載記事「ぼくは、車と生きてきた」の『いすゞ・ベレットGT』に詳しい。
「ベレット1600GTファストバック」1969年式。通常の「1600GT」とは後部のラインが異なり、ファストバック仕様。ファストバックとはクーペのスタイルのひとつであり、ルーフからテールへのラインが連続的となっているのが特徴。「ベレット1600GTファストバック」は受注生産だったため、数が少ない。「トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑 2017」にて撮影。
排気量が最も大きい「ベレット1800GT」1972年式。「お台場旧車天国2017」にて撮影。
「ベレット1500デラックス」。展示車両はボルグワーナー製3速AT仕様というレアな1台で、2018年現在、自走可能なのはこの1台だけだという。「オートモビルカウンシル2018」にて撮影。
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続いては、名車「117クーペ」!
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