2023年03月06日 06:00 掲載
次世代技術 時速360キロの空飛ぶレーシングカー!? 有人仕様で2024年にはレース開催!
世界最速のeVTOL!
画像=Alauda Aeronautics
オーストラリア南部の州都アデレードにあるアラウダ・エアロノーティクス社で設計・製造され、まるでF1マシンのような外見を持つこの機体の名は「Airspeeder MK4(以下、MK4)」という。名前の通り、本機で4代目となるAirspeederシリーズは、有人飛行でレースすることを目的として開発されたeVTOL※だ。同社では2019年にMK1を発表し、2021年にMK3を発表していたが、これまでのモデルでは人は搭乗せず遠隔で操縦していた。しかし、今回のMK4ではついに人が搭乗できるようになり、実際にパイロットが搭乗しての飛行試験も目前に控えているという。そして、2024年には有人での空中レーシングシリーズが開幕するというのだ。
まずはAirspeeder MK4とはどのような機体なのか確認し、これまでAirspeederで開催されてきたレースについても紹介しよう。
※eVTOL(イーブイトール)とは、ヘリコプターのように垂直に離着陸が可能な電動機体のこと。
MK4はF1マシンよりデカイ!
動画=Airspeeder
4組の回転翼には角度を変えるためのプロテクターが装着され、タイヤを横に倒したようにも見える。エアロパーツも追加され、MK3よりもレーシングカーらしさが増した。
画面手前にあるのが従来モデルのAirspeeder MK3。重量は130kgで、最高速度は時速120km以上。
MK4の車体サイズは全長5,730mm、全幅3,620mm、全高1,440mm、重量950kgと、F1マシンよりもひと回り大きなシルエットとなる。※参考までにF1マシンのおおよそのサイズは全長5,000mm以下、全幅2,000mm以下、全高950mm以下、重量は640kg以下。
従来モデルのMK3までは、バッテリーで駆動していたのに対し、MK4では「サンダーストライク」という水素タービン発電機で駆動し、1,000kW(1,340馬力)もの出力を実現。また、再生可能エネルギーで水を電気分解して作ったグリーン水素を燃料としながら、離陸から30秒で最高速度である時速360kmに達し、予測航続距離は300kmを超えるという驚きの性能を誇る。
また、MK4では従来のティルトローター(垂直離着陸ができるプロペラのような回転翼。傾けることで移動する)ではなく、4組の回転翼をAIが個別に調整するシステムを採用している。これにより、ジェット戦闘機やF1のような高い敏捷性で操縦が可能になるという。
MK4の背面。中央に配置されているのがサンダーストライク水素タービン。
ローター(回転翼)は垂直近くまで起き上がる。加速時の形態と思われるが、水平な状態と比べると、これはスピードが出そうだ。
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Airspeederでの空中レースを紹介!
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次世代技術