2022年05月24日 10:30 掲載

次世代技術 デザインで差をつけろ! いま注目すべきスタートアップ企業の電気自動車(EV)たち

電動化がクルマのデザインに新たな革命をもたらす! スタートアップ企業が発表するクールでキュートな電気自動車(EV)を、自動車ジャーナリストの小川フミオが解説する。

文=小川フミオ

そんなに速くてどうすんの?

リビアン|Rivian

リビアン|Rivian
ピックアップトラックタイプの「R1T」(左)と、SUVタイプの「R1S」の2モデルをラインナップする。

 ピュア電気自動車(EV)のトレンドが、クルマを楽しくしてくれる? いまスタートアップ企業が、続々とEVを発表している。想像力が豊かで、ユニークなデザインコンセプトのクルマに注目だ。

 もっとも有名なのは、北米の「リビアン(Rivian)」だろう。歴史も(スタートアップとしては)けっこう古く、設立は2009年。電気で走るSUVとピックアップトラックを発表していて、「R1T」と名づけられた後者は21年からデリバリーが始まったようだ。

 私が最初にリビアンの車両を見たのは、2019年のニューヨーク・オートショーだった。大ぶりなサイズの車体に、縦長楕円形のユーモラスな形状のヘッドランプが印象的で、一目で引き寄せられた。

 バッテリーの容量は最大で180kWhとかなりなもの(たとえば日産アリアB6だと66kWh時)。静止から時速60マイル(約96km)まで加速するのに、わずか3秒だという。ピックアップのボディで、そんなに速くてどうすんの?と訊きたいぐらい速い。

 もうひとつの驚きは、アマゾンとの契約をとりつけたこと。アマゾンの配達のために、リビアンでは電気で走るデリバリーバンを開発し、現在テスト中のようだ。

SFっぽさ満点!

カヌー|Canoo

カヌー|Canoo
レトロフューチャーなデザインがいまどき。

 北米の「カヌー(Canoo)」は、昔のハリウッド製SF映画に出てきそうなスタイリングをもつ電気自動車だ。ところが"昔"どころか、いまNASAが計画している「アルテミス」月面着陸計画の乗組員輸送車両(CTV)に選定されたという。まあ、宇宙と関係するイメージを持った私は、あながち間違っていなかったということかも。

 CTVとはクルートランポートビークルの頭文字で、発射場までフル装備の宇宙飛行士やサポートクルーを運搬するクルマ。それに、カヌーが選ばれたそうだ。

 現在、アーカンソー州ベントンビルの工場で、一般向け量販車の生産計画が進められているカヌー。いわゆるレトロフューチャー感満載のカプセルのようなモノフォルムと、ラウンジのようなコンセプトのインテリアの組合せだ。

 カヌーの車両は、ボディとシャシーを切り離したセパレート構造を採用する。「スケートボードアーキテクチャー」と呼ばれるこのシャシーには、多様なボディを載せることができるそうだ。駆動用バッテリーは1層で、シャシーに敷き詰められる。

 サスペンションは、本格的クロスカントリー型4WD車と同様のリーフスプリングを採用。前後ともにダブルウィッシュボーン式のサスペンションシステムとの組み合わせだ。ステアリングシステムは、電気信号によるモーター式の操舵システムである。

 カヌーの車両は、「ライフスタイルビークル」「MPDV(マルチパーパスデリバリービークル)」「ピックアップトラック」の3モデルが現在、量産に向けて準備中という。「ライフスタイルビークル」のスターティングプライスは3万4750ドル(約410万円)と発表されている。

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