【2018年上半期・交通事故死者数】2017年との比較で減ってはいるが…
年々交通事故死者数は減っており、2017年は2年連続で4000人を下回り、3694人となった(詳細はこちら)。しかし、2016年から実施されている第10次交通安全基本計画では、2020年までに死者数を2500人以下とする目標を掲げており、今の減り方では目標達成は厳しくなってきている。
交通事故の集計、分析などを行っている公益財団法人 交通事故総合分析センター(ITARDA)と警察庁は、7月27日に2018年上半期(1~6月)の全国の交通事故統計を発表した。そのデータをまとめてみる。
2017年に対して減ってはいるが…
2017年と2018年の上半期における月別死者数の比較。現時点で17年と比較して18年は72人減っているが、1月と4月は17年を上回っており、全体としては微減に留まっている。
上のグラフは、2017年と2018年の上半期の月別死者数を比較したグラフだ。上半期で17年は1675人、18年は1603人と、72人減っている。しかし、ここ何年も続いている微減の状態は変わっていない。17年の下半期は2000人強で、同程度だったとすると、18年はトータルで3600人を下回れるかどうか、ということになってくる。
年間に2500人以下に抑えるには、単純に見積もっても上半期では1250人以下に抑える必要があり、あと350人強減らす必要がある。総じて下半期の方が死者数が増えてしまうため、実際には1000人以下に抑え込む必要があるだろう。目標達成には、何か大きく死者数を減らす方策が必要だ。
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年齢層別で見てみると?
年齢層別の死者数では高齢者がやはり多い
2017年と2018年の年齢層別に見た、上半期の交通事故死者数の比較。全体としては5年刻みだが、30歳から59歳までは10年刻み、15歳以下、75歳以上は一括りのため、見る際には注意が必要だ。17年と18年を比較すると、18年の方が増えている年齢層もある。
上のグラフは、2017年と2018年の上半期における、年齢層別の死者数の比較だ。交通事故死者数2500人以下の目標を達成するために必要なのが、高齢者の交通事故死者数を減らすこととされているが、年齢が高くなると、総じて事故死者数が多いことがわかり、対策が必要なことが改めてわかる。
また、16~19歳も増えており、その増え幅が大きいことも気になるところだ。高齢者と若年者を交通事故から守ることが、年間の交通事故死者数2500人以下を達成するための重要な要素といえそうである。
高齢者年齢層別・状態別の事故死者数
最後に、高齢者の状態別の死者数も掲載しておく。65~69歳、70~74歳、75歳以上に分け、自動車運転中や歩行中など6種類の状態でまとめた。二輪車や自転車などは利用者が少ないと思われ、その関係でどの年齢層でも自動車の乗車中と歩行中が多かった。特に75歳以上に関しては、自動車に乗る機会も減るのか、歩行中が突出している。
高齢になるほど身体機能が衰えて若い頃のようには動けないことなどが一因と考えられるが、そうした高齢者を何らかの手段で交通事故に遭わないようにする仕組みを考える必要があるだろう。
【65~69歳】
自動車乗車中:56人
自動二輪車乗車中:6人
原付乗車中:10人
自転車乗車中:19人
歩行中:66人
そのほか:0人
【70~74歳】
自動車乗車中:68人
自動二輪車乗車中:1人
原付乗車中:12人
自転車乗車中:28人
歩行中:62人
そのほか:0人
【75歳以上】
自動車乗車中:179人
自動二輪車乗車中:7人
原付乗車中:24人
自転車乗車中:82人
歩行中:286人
そのほか:2人