ゴッホやダヴィンチも集結。 ルーヴル美術館初の海外別館 「ルーヴル・アブダビ」がオープン!
Louvre Abu Dhabi, Photography Mohamed Somji
アラブ首長国連邦(UAE)アブダビに、フランスのルーヴル美術館の別館「ルーヴル・アブダビ」が完成した。11月11日からの一般公開にあわせて仏マクロン大統領も現地入りし、アラブ圏初といわれるユニバーサル・ミュージアムの開館を祝った。
パリ・ルーヴル美術館初の海外別館
フランスが世界に誇るパリ・ルーヴル美術館の海外別館は、2007年にフランスとUAE政府間で合意し、2012年にオープンする予定だった。しかし、世界的な金融危機などで完成が遅れ、このほど長い間待たれていたオープニングがやっと実現した。
ジャン・ヌーヴェルの建築が話題に
設計を担当したのは、本国で「アラブ世界研究所」や「カルティエ現代美術財団」を手がけたフランス人建築家ジャン・ヌーヴェル。
フランスを代表する建築家ジャン・ヌーヴェル。Jean Nouvel (c)Gaston Bergeret
彼は伝統的なアラブ建築文化にインスピレーションを得て、ドーム型の「海の博物館都市」をデザインした。
ドームの屋根は、幾何学模様が8層に重なった約1万個のメタルで構成され、時間帯によって内部に差し込む光が変化する「光の雨」の効果をもたらす。
Louvre Abu Dhabi, Photography Mohamed Somji
海に面した建物は海岸線をまたいでおり、陸上からはもちろん、海上からも入館できるばかりか、アラブ建築に欠かせない高知から低地へと、建物の中から外に向かって静かに流れる水が効果的に用いられている。
水の反映を映す建物の空間は、水と石、光と影、反映と静寂が穏やかに融合し、国家や歴史に平穏が永続するようにとの願いが込められているそうだ。
Louvre Abu Dhabi, Photography Mohamed Somji
総面積97,000㎡の施設は、常設展示場や特別展示場、子供の博物館、ホール、作品の保存や修復用アトリエ、レストラン、カフェ、ブティックなどを内包した総合施設ミュージアムシティ(アラブメディナ)となっている。
ルーヴル・アブダビの豪華なコレクション
8,600㎡(そのうち常設展示場は6,400㎡)の展示場は12に分かれており、展示はそれぞれのゾーンを通して、ビジターに人類の歴史を経験させるという壮大なコンセプトで構成されている。
レオナルド・ダ・ヴィンチ「ミラノの貴婦人の肖像」1495~1499年にかけてダビンチが描いたといわれるルーヴルの至宝。Musée du Louvre, Paintings Departement (c)Musée du Louvre, C2RMF / T. Clot
コレクションは、先史時代の工芸品から、装飾芸術、新古典派の彫刻、巨匠の絵画、そして現代アートのインスタレーションまで、620以上のアート作品からなり、今回のオープニングに合わせて、ルーヴル美術館からの235点を初めとする、フランスの著名な美術館からの収蔵品が貸し出された。その中にはルーヴル美術館所蔵のレオナルド・ダ・ヴィンチ「ミラノの貴婦人の肖像」、オルセー美術館のゴッホ「自画像」などの名作があるのも話題のひとつだ。
フィンセント・ファン・ゴッホ「自画像」。ゴッホは多くの自画像を残しているが作品は1887年に描かれたもので、オルセー美術館が所蔵する。Musée d’Orsay (c)Musée d’Orsay, dist. RMN-Grand Palais / Patrice Schmidt
ルーヴル・アブダビでは、フランスなどの美術館とコラボレーションし、年間4回の企画展を開催するそうだ。
ルーヴル・アブダビ動画。(c) picture alliance/dpa-rufa
2017年11月14日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)