クルマのある暮らしをもっと豊かに、もっと楽しく

クルマ最終更新日:2017.11.01 公開日:2017.11.01

【JNCAP2017】前期、衝突安全・気になる5車種の結果は?

np171115-01-04.jpg

衝突安全評価試験は、実際にクルマをクラッシュさせて、乗車させたダミーの損害値を計測するなどして評価が行われる。2017年度前期に発表された1台がこのトヨタ「C-HR」。運転席側からバリアに衝突させるオフセット前面衝突試験を実施した1台。

 後期も含めたJNCAP2017年の衝突安全・全15車種のランキングが2018年5月31日に発表されました。記事はこちらです(新しいタブが開きます)。


 国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)が毎年発表している、「自動車アセスメントJNCAP」。2017(平成29)年の前期の評価結果が10月26日に発表された。

 JNCAPとは、ユーザーが安全なクルマを選びやすいように、そして自動車メーカーにはより安全なクルマの開発を促すため、安全性能の評価試験を実施し、公表しているものだ。

 被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)のように事故を未然に防ぐための技術を評価する「予防安全性能評価」(予防安全)に関してはこちらの記事でお伝えした通りだ。今回は、衝突時の乗員や衝突された歩行者の安全性を評価する「衝突安全性能評価」(衝突安全)を紹介する。2017年度前期は5車種が発表された。

→ 次ページ:
評価結果の見方と第1位の発表!

評価結果の見方と注意点

 衝突安全の総合得点は、「歩行者保護性能評価」(100点満点)と、「乗員保護性能評価」(100点満点)、「シートベルトの着用警報装置」(8点満点)の合計208点満点で評価される。208点満点だと感覚的にわかりにくいので、カッコ内に100点満点に換算した得点も掲載した。

 なお、2016年度から歩行者保護性能評価試験の内容がより厳しくなった。そのため、2011年度から2015年度までの総合得点と同等になるよう、総合得点を算出する際は補正がかけられている。補正は、歩行者保護性能評価に関してのみ一部の細部項目に対して行われている。これにより、3項目の合計よりも総合得点の方が高くなっているのである。

 そして総合評価の星(★)の数だが、5つ星が最高評価で、「ファイブスター賞」と呼ばれる。今回は4つ星と5つ星のみ。4つ星は208点満点中の150.0点以上170.0点未満、5つ星は170.0点以上で与えられる。

 またマークに関しては、以下の通り。【SCA】は、「サイドカーテンエアバッグ(SCA)評価」を実施した場合に付与される。【感電】は、「衝突後の感電保護性能評価試験」の評価基準に適合した場合だ。

 【ASV++】は「予防安全」において、79点満点中の46点以上(100点満点換算だと58.3点以上)を獲得した場合で、【ASV+】は同じく12点以上(100点満点換算だと15.2点以上)を獲得した場合に与えられる。ASVとは「Advanced Safety Vehicle」の略称で、「先進安全自動車」を意味し、+が多いほどASVとして高性能という評価を受けたことを意味する。

2017年度前期衝突安全第1位を獲得したのは!

1位:CX-5(マツダ)
総合得点:187.3点(90.0点)

総合評価:★★★★★(ファイブスター)

歩行者保護:81.12 乗員保護:95.45 シートベルト着用:4.0
マーク:【SCA】【ASV++】

np171031-01-02.jpg

今回の予防安全でも第2位に入ったマツダのクロスオーバーSUV「CX-5」が衝突安全の第1位を獲得した。最新のマツダ車は、フレームとして「SKYACTIV-BODY」を採用する。同フレームは、基本骨格のストレート化・連続化による剛性の確保と軽量化を実現しており、また衝撃を骨格全体に広く分散させて受けるマルチロードパス構造も特徴としている。

→ 次ページ:
続いては2~5位を紹介!

2017年度前期衝突安全第2~5位!

2位:C-HR(トヨタ)
総合得点:185.8点(89.3点)

総合評価:★★★★★(ファイブスター)

歩行者保護:82.71 乗員保護:91.36 シートベルト着用:5.67
マーク:【SCA】【感電】【ASV++】

np171031-01-03.jpg

予防安全で第4位を獲得したトヨタのコンパクトSUV「C-HR」が、衝突安全でも第2位と好成績を収めた。2011~2017年度前期までの全69車種衝突安全最新ランキングでも、ベスト10に入る高得点となっている。どのトヨタ車にも、衝撃吸収ボディと高強度キャビンからなる衝撃安全ボディ「GOA(Global Outstanding Assessment)」が採用されているが、もちろんニューモデルほど新しい技術が導入されている。

 

3位:トール(ダイハツ)※SCA付き
総合得点:180.3点(86.7点)

総合評価:★★★★

歩行者保護:78.70 乗員保護:87.90 シートベルト着用:6.00
マーク:【SCA】【ASV+】

np171031-01-04.jpg

ダイハツ「トール」は、SCA付きと無しでそれぞれ別個に評価試験を受けた。なおOEM供給車として、トヨタ「ルーミー」/「タンク」、スバル「ジャスティ」も含む。同車を含むダイハツ車には、同社の衝突安全ボディ「TAF(タフ:Total Advanced Function)」が採用されている。TAFの意味は、”総合的に衝突安全機能が進化したボディ”というもの。TAFは、衝撃を効率よく吸収・分散させるボディと強固なキャビンで構成されている。

 

4位:トール(ダイハツ)※SCA無し
総合得点:169.6点(81.5点)

総合評価:★★★★

歩行者保護:78.70 乗員保護:77.23 シートベルト着用:6.00
マーク:【ASV+】

np171031-01-05.jpg

こちらは、SCA無しのダイハツ「トール」と、OEM車のトヨタ「ルーミー」/「タンク」、スバル「ジャスティ」。同じ「トール」でもSCA付きと無しで比較した場合、乗員保護性能評価の得点に差がある。SCA付きは87.90点だが、無しは77.23点となる。3種類が行われる衝突試験の内、「オフセット前面衝突試験」と「側面衝突試験」でSCAが有効なため、得点に差が出る。

 

5位:ワゴンR/同スティングレー(スズキ)
総合得点:163.0点(78.4点)

総合評価:★★★★

歩行者保護:73.42 乗員保護:75.76 シートベルト着用:4.00
マーク:【SCA】【ASV++】

np171031-01-06.jpg

スズキの軽自動車「ワゴンR」。「ワゴンRスティングレー」は「ワゴンR」と若干外見や性能が異なり、車両本体の価格が高い。また、マツダ「フレア」はOEM車。「ワゴンR」を初めとするスズキ車には、軽量衝撃吸収ボディ「TECT(テクト:Total Effective Control Technology)」が採用されている。衝突時の衝撃を吸収するクラッシャブル構造や、衝撃を効果的に分散する骨格構造、高強度なキャビン構造などを採用している。

 JNCAPでは、2011年から同じ評価試験を実施しており、2017年前期までの合計69車種を得点順にランキング付けすることが可能だ。後日、今回発表された5車種も追加した総合ベスト10を記事にするのでそちらもお待ちいただきたい。

2017年11月1日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

動画やランキングなど、JNCAP関連の記事一覧はこちらから!

171027-05-10.jpg

この記事をシェア

  

応募する

次回は5月7日からスタートです!
次回は5月7日からスタートです!