ジャパンEVラリー白馬その2 アウディ、BMW、ベンツに乗った! 欧州PHV試乗:前編【動画あり】
EVラリーのイベントの一環として開催された試乗会には12台が集結。2車種だけは助手席への同乗試乗のみだったが、ほかは運転が可能だった。画像は、BMW「ミニ クーパー S E クロスオーバー オール4」。
9月2日(土)~4日(月)に長野県白馬村で開催された、『ジャパンEVラリー白馬2017』(一般社団法人日本EVクラブ主催、白馬村/白馬村観光局後援)。
同イベントでは試乗会も行われ、国内外メーカーのEV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)、PHV(プラグイン・ハイブリッド車)にも乗ることができた。試乗レポートその2は、海外メーカーのPHVが7車種集まったが、まずは前編としてその内の4台をお届けする。
アウディA3 スポーツバック e-トロン
アウディ初のPHV「A3 スポーツバック eトロン」。充電ポートはフロントのエンブレムのところにある。リチウムイオンバッテリーの総電力量は8.7kWh。フル充電には200V電源で約3時間かかる。
アウディの「A3」シリーズは、エントリーモデルである「A1」シリーズのひとつ上のモデル。同車は、「A3 スポーツバック」をベースに開発されたアウディ初のPHVであり、2015年11月から日本国内での販売を開始した。スポーツタイプの5ドア・ハッチバックだ。
なお、アウディは現在フォルクスワーゲン(VW)の傘下であることからVW車と共通となるプラットフォーム戦略を採用している。そのため、同車はその3のPHV後編で紹介するゴルフ GTE(VW)などと同じプラットフォームをベースに開発されており、親戚のような一面を持つ。
最高出力80kW・最大トルク330N・mのモーターを搭載し、EVモードでは最高速度は時速130km、航続距離は最長52.8kmとなっている。リチウムイオン・バッテリーの容量は8.7kWh(家庭用200V電源でフル充電まで約3時間)。
ガソリンエンジンは直列4気筒ターボ・排気量1394cc。ハイブリッドモードでの燃費は、23.3km/L(JC08モード)だ。
同車の分類はハッチバック。スポーツタイプのハッチバックは、ゴルフ(VW)などによって「ホットハッチ」と呼ばれるようになったが、同車もそのひとつ。車両価格は564万円(税込)。
アウディ「A3 スポーツバック eトロン」の同乗試乗の様子。この動画では最初はEVモードで走行し、終盤は電池がなくなりハイブリッド車として走行。エンジン音が加わっているのがわかるはずだ。
BMW「ミニ クーパー S E クロスオーバー オール4」
BMW「ミニ クーパー S E クロスオーバー オール4」。車名の「ミニ クーパー S」とは、オリジナルの「ミニ」をベースに開発されたレーシングモデル「ミニ クーパー」の中のエンジンがより強力な1台にちなむ。そして「E」はPHVを意味し、なおかつクロスオーバーSUVの4WDであることを示している。助手席側のフロントフェンダーとドアミラーの間にあるのが充電ポート。
天才と称された自動車エンジニアのアレック・イシゴニスが設計し、1959年にBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)から発売された歴史的な小型車である「ミニ」(クラシック・ミニ)。何度も販売会社が変わり、現在はBMWのブランドとなっている。
そんな歴史あるミニだが、初のPHVとして2017年7月から日本国内での販売が始まったのが、「ミニ クーパー S E クロスオーバー オール4」だ。クラシック・ミニと比較すると、かなり大柄なボディとなっている。
同車は最高出力65kW・最大トルク165N・mのモーターを備え、リチウムイオン・バッテリーの容量は7.6kWh(家庭用200V電源でフル充電まで約3時間)。モーターのみの走行では最高速度は時速125kmを出せ、最長で約42.4kmまで走れる。
ガソリンエンジンは直列3気筒ツインターボで、排気量は1499cc。ハイブリッドモードでは燃費17.3km/L(JC08モード)だ。
リアビュー。試乗会では同じBMWのEV「i3」と一番人気を争い、帰ってきては次の試乗で出て行くの繰り返しだった。また、コンパクトな「クラシック・ミニ」をイメージしている人が多かったようで、ボディサイズが思った以上に大きいことに驚いている人も多かった。車両価格は、479万円(税込)。
インパネやセンターコンソールも「クラシック・ミニ」の雰囲気を踏襲している。エンジン始動はプッシュスタート式でもキーを回す方式でもなく、センターコンソールにあるトグルスイッチで行う。
BMW「530e iパフォーマンス ラグジュアリー」
BMW「530e iパフォーマンス」。5シリーズにはスタンダード・モデルに加え、高品質さを追求した「ラグジュアリー・モデル」と、走りを追求した「エム・スポーツ・モデル」があるが、「530e」はラグジュアリーとエム・スポーツの2種類となっている。今回はラグジュアリーが用意された。
BMWはPHVのラインナップ増強を図っており、この「530e iパフォーマンス ラグジュアリー」を含めて6車種。「ミニ」も含めれば7車種にもなる。
BMWの5シリーズは”エグゼクティブ・セダン”などといわれる高級車。「530e」はその1台で、部分自動運転といった同社最新の運転支援システムなどを特徴とする。5シリーズは最新モデルの7代目が2017年2月から販売を開始し、「530e」もそのときにラインナップされた。
「530e」は最高出力83kW・最大トルク130N・mのモーターを備えており、バッテリー容量は7.7kWh。モーターのみの走行での最高速度は時速120kmで、航続距離は最長で約52.5kmとなっている。
搭載されたガソリンエンジンは直列4気筒ツインターボで、排気量は1998cc。ハイブリッドモードでの燃費は、17.4km/L(JC08モード)となっている。
リアビュー。車両価格は画像の「530e iパフォーマンス ラグジュアリー」が796万円(税込)。同「エム・スポーツ」が821万円(税込)。今回の試乗会にBMWは3車用意したが、最も高価な1台。
同じBMWの中でも、今回試乗会に用意されたEVの「i3」、「ミニ」と比べるとより上のクラスの高級車であるため、車内の静粛性が高い。また、乗り心地もソフトだった。
メルセデス・ベンツ「GLC 350e 4マチック スポーツ」
メルセデス・ベンツ「GLC 350e 4マチック スポーツ」。画像はSUVモデルだが、ルーフラインを低くしたクーペモデルもある。
メルセデス・ベンツもまたPHVの増強を図っており、この「GLC 350e 4マチック スポーツ」を含めて現在は5車種となっている。なお「GLC」は、かつての「GLK」を前身とするクロスオーバーSUVで、2016年9月より日本国内での販売を開始した。また同車は同社のSUVとしては初のPHVでもある。
最高出力85kW・最大トルク340N・mのモーターを備え、リチウムイオン・バッテリーの容量は8.31kWh(家庭用200V電源でフル充電まで約4時間)。EV走行での最高速度は約135km、航続距離は最長で30.1kmとなっている。
排気量1991ccの直列4気筒ターボ・ガソリンエンジンを搭載し、ハイブリッドモードでの燃費は13.6km(JC08モード)だ。
リアビュー。車両価格は878万円(税込)。なお、クーペモデルの「GLC 350e 4マチック クーペ スポーツ」の価格は908万円。
左ハンドルなので、動画は右サイドからの撮影。今回、運転はできず、助手席や後席での同乗試乗のみだった。
2017年9月24日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)