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最終更新日:2017.07.25 公開日:2017.07.25

【動画で見る衝突安全性能試験その2】時速64kmのJNCAPオフセット前面衝突試験

「オフセット前面衝突試験」を受けているトヨタ「ヴェルファイア」。重量級のミニバンのテストは衝撃の凄まじさがわかりやすい。

 国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)が毎年発表している「自動車アセスメント(JNCAP)」。最新となる平成28年度の、予防安全と衝突安全の評価結果はこれまでお伝えしてきたとおり(関連記事は最終ページ末でまとめて紹介)。

 そして現在は、『JNCAP衝突試験動画シリーズ』を掲載中だ。第2弾は、偏った状態(運転席側に寄っている)でデフォーマブル・バリアに衝突させる、「オフセット前面衝突試験」の動画を紹介する。

オフセット前面衝突試験は最も現実に近いといえる試験

 オフセット前面衝突試験は、衝撃を吸収しながらつぶれるアルミ製ハニカム構造のデフォーマブル・バリアに向けて時速64kmで試験車を向かわせ、オーバーラップ率40%という運転席側に偏った形で前面衝突させるという内容だ。

 ダミーが運転席と後部座席に乗せられており、頭部や胸部などに受けた衝撃をセンサーで計測し、また室内の変形の状況を基にして、乗員保護性能の度合いを評価するのである。

 なおこの試験は、クルマ同士の正面衝突を避けようとして、運転席側のおよそ半分が対向車に時速55kmで衝突してしまったことを想定したものである。

 注目は後席左側に乗せられた女性型ダミーの挙動を映した車内のスーパースロー映像だろう。ダミーの首の動きや上半身の動き、まるで踊っているかのように見えるほど振り回される腕などが衝撃的で、これがヒトなら明らかに首や腰などを痛めるだろうという激しさだ。

オフセット衝突試験の模擬図。国交省とNASVAが発行するパンフレット「自動車アセスメント 衝突安全性能評価 事故時にヒトを守る技術」より抜粋。

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まずは軽自動車の衝突から!

平成28年度の試験を受けた9車種

 平成28年度の試験を受けたのは以下の9車種。カッコ内はメーカー名。その後ろの数字は、オフセット前面衝突試験での運転席と後席の乗員保護性能評価。5段階評価で、最高が5だ。またカテゴリーごとにページを分け、下記一覧からリンクを張ってある。

軽自動車
・ウェイク(ダイハツ)/運転席3:後席3
・キャストシリーズ(ダイハツ)/4:4
コンパクトカー
・イグニス(スズキ)/4:3
・パッソ(トヨタ)/ブーン(ダイハツ)/サイドカーテンエアバッグ(SCA)あり5:5、SCAなし4:3
セダン
・インプレッサ(スバル)/5:5
・プリウス(トヨタ)/5:5
ミニバン
・ヴェルファイア(トヨタ)/4:5
・セレナ(日産)/4:4
・フリード(ホンダ)/5:4

軽自動車編:「ウェイク」&「キャスト」

 まずは、軽自動車から紹介する。平成28年度の試験を受けた軽自動車は、ダイハツの「ウェイク」と「キャスト」シリーズの2車種だ。なお、ウェイクは「ピクシス メガ」として、キャストシリーズは「ピクシスジョイ」シリーズとして、トヨタにOEM供給されている。

ダイハツ「ウェイク」

ウェイクは、ダイハツの衝突安全ボディ「TAF(タフ:Total Advanced Function)」の進化型を採用している。

ダイハツ「キャスト」シリーズ

ウェイク同様に進化型TAFを採用。

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続いてはコンパクトカー!

コンパクトカー編:「イグニス」&「パッソ/ブーン」

 続いては、コンパクトカーを紹介。スズキ「イグニス」と、トヨタとダイハツが共同開発した「パッソ/ブーン」を紹介だ。

スズキ「イグニス」

イグニスには、スズキの軽量衝撃吸収ボディ「TECT(テクト:Total Effective Control Technology)」が採用されている。

トヨタ「パッソ」/ダイハツ「ブーン」

技術的にはダイハツの開発であり、進化型TAFが搭載されている。なお同車はSCAなしとありを別車種として試験しており、動画も2種類を収録。

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続いてはセダン!

セダン編:「インプレッサ」&「プリウス」

 セダンはスバル「インプレッサ」と、トヨタ「プリウス」だ。なお、スバルのSUV車「XV」はセグメントは異なるがインプレッサの兄弟車扱いとなっており、同様に「プリウスPHV」もプリウスと兄弟車として扱われている。

スバル「インプレッサ」

インプレッサとXVには、「スバルグローバルプラットフォーム」が採用されており、同社の従来車に対して1.4倍の衝突エネルギーに対応。

トヨタ「プリウス」

トヨタ車に共通の衝突安全ボディ「GOA(ゴア:Global Outstanding Assessment)」が採用されている。

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最後はミニバンを紹介!

ミニバンは「ヴェルファイア」と「セレナ」と「フリード」

 最後はトヨタ「ヴェルファイア」、日産「セレナ」、ホンダ「フリード」の、ミニバン3車種を紹介。なお、ヴェルファイアには兄弟車としてトヨタ「アルファード」が、フリードにはホンダ「フリード+」があり、セレナはスズキに対して「ランディ」としてOEM供給されている。

トヨタ「ヴェルファイア」

プリウス同様に衝突安全ボディGOAを採用。SCAなどエアバッグが充実。

日産「セレナ」

日産の進化型「ゾーンボディ」を採用している。

ホンダ「フリード」

衝撃時の衝撃を制御する衝突安全設計ボディ「G-CON(G-Force Control Technology)」を採用。

2017年7月25日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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